第89話 天才とはなにか
「あれ、キャンディはどこいったんや?」
ハイドがキョロキョロと辺りを探す
「私はここにいるぞ!」
キャンディは水面に浮いていた
「なんや、早よ死にたいみたいやなぁ!」
「私が死ぬわけないだろうが!【飴鉄炮】!」
すぐに放たれた飴玉鉄炮がハイドの胸を貫いた
傷口から鮮血が飛び散る
そして、その瞬間、ハイドに一筋の電流が走った
「あはははは、ほんまにあいつにそっくりや、待て…そういうことかアハハハハ!」
「何がおかしい!」
「今の攻撃で思い出したわ……さてはお前……ジーニアスやな」
「今更気づいたか!だが、そんなことは関係ない!」
「ああ、でもうちはお前のことよく知っとるからな」
「……僕のこと、忘れてるよね、犯罪者!」
ここで、ジャンのドロップキックが炸裂
ハイドが思いっきり吹っ飛ばされる
「誰?誰?お前誰?ほんまに誰?ふざけんなや!」
「キャンディお嬢様に仕える騎士、ジャン=キスカット・ソレオナイツ・アークルタイルだ!」
「ごめんな、存在感薄すぎて気づかんかったわ!」
「ああ、お嬢様を護るには存在感が薄い方がいいんだよ!ん?まて!侮辱罪じゃねぇか!お前は逮捕な!てか普通に人殺しだから死刑か」
「逮捕か、でもその前に教えたるわ!お前の前にいるそいつはキャンディじゃないで?」
「何言ってんだ馬鹿野郎!無知ってのは恐ろしいんだな!」
「無知はお前な!お前、こいつはただのキャンディの別人格や思ってるやろ!」
「違うのか!お嬢様も反論しろ!」
「私はれっきとしたキャンディだ!アバウトなことを言うなハイド!」
「教えてあげるわ!こいつキャンディに取り憑いてる悪魔のジーニアスだ!」
「なんだと………、あれ?なんかそういうデータあるのか?」
「そうだ!エヴィデンスを示せ!」
キャンディも同調する
「エビデンスな、あ、そうや!キャンディ本人に聞いたらええねん!」
「やってみるぞ!」
ジャンはキャンディを力いっぱい蹴飛ばした
衝撃がキャンディのスイッチを切り替える
ショックで、キャンディの動きが停止して、倒れたかと思えば、立ち上がった
キャンディの瞳が蒼く染まる
「……っ!?なんで、こんなことに?みんな死んでいるのです!」
キャンディの人格が元に戻った
「それはハイドがみんな殺したんだよ」
「そんな!」
「で、ひとつ聞きたいことがある、ジーニアスって誰だ?」
「あ、ジーニアスさんはキャンディが契約してるあk……な、なんで知ってるんですか!?」
キャンディは思わず手で自らの口を塞ぐ
「ほらな、言ったやろ!」
ハイドは得意げな顔をする
「お嬢様!なんで悪魔なんかと…ははぁ、さては7年前だな」
「違うのです!いや、何も違わないのですが、ジーニアスは悪くないのです」
「だったらなんで契約した!」
「あれは、7年前の襲撃事件の時なのですが…」
……7年前、カステラ城にて
「お母様、大変なのです!【傾いた天秤】が城に侵入しているのです」
「ついに来たね、私とフレックで食い止めるから、あなたは地下の隠し部屋に隠れてなさい!」
この日、カステラ城は宗教団体【傾いた天秤】から襲撃を受けていた
「お母様とお父様は大丈夫なのですか?」
「少なくともキャンディよりは大丈夫だと思ってるが」
「さぁ、早く行きなさい!」
「はい!」
キャンディは両親の言われるがまま地下の隠し部屋にこもっていた
「国王を殺せ〜!」
「一族根絶やしにしろ!」
「王妃が居たぞ!」
「殺せ!」
【傾いた天秤】の信者達がどんどん城に侵入してくる
王妃ブラスカは信者達と戦っていた
「まだまだ私は戦えますよ!」
ブラスカは体から突風を巻き起こして戦うのだ
しかし
「獲物みっけ!死んじゃえ!」
信者の一人が、ブラスカの心臓を槍で貫く、同時にブラスカから放たれた突風はその信者の胸部に風穴をあけていた
「…あの子にだけは、絶対に触れさせない…」
ブラスカはそこで死んでしまった
「おい、王はどこにいるんだ!」
「吾輩はここにいるぞ!だが、まずは話せば分かる!……いや無理か」
フレックは手足を自由自在に伸ばして戦っていた
拳で体を貫いたり、腕を長く伸ばして鞭のように扱ったり、長く伸ばした腕で遠くの敵を殴ったりもしていた
しかし、ある信者はフレックに呪いをかけた
「へへへ、この呪いにかかったらもう長くは生きられねえ!まぁ、呪いを使ったからには俺も長くは生きれねえが、王が死んでくれるんなら命なんぞ惜しくねえさ」
「どうして、我が王家の命を狙う!」
「どうしてってそりゃ、預言者ナレッジ・リブレルゲーヌ・リーフル=ウェリバース様の教えに背いているからだろうが!」
「なんだと!吾輩がいつ教えに背いた!」
「常にお前はナレッジ様を冒涜しているだろうが!」
「もういい、国王に攻撃するとは万死に値する!」
フレックが拳でその信者を貫いた
そこに、ジャンが現れた
「国王、何があったんだ!」
「傾いた天秤が襲撃しに来おった!」
「僕が片付けますよ!」
ジャンは信者を物凄い勢いで倒していった
しかし、ジャンもまた何者かに倒された
「お…お嬢様…!」
ジャンはそこで意識を失った
……
「おい、王女が居たぞ!」
「やれ!」
キャンディにも魔の手が迫っていた
「あ、あ、あ、…ポップコーン!」
キャンディは巨大なポップコーンを爆発させ、信者を吹き飛ばす
何度も、何度も…ところが
「ははは、お前をキルしてやる!Die!」
ここで、最後の刺客として現れたのがジーニアス
この時のジーニアスはちょうどキャンディと瓜二つな見た目をしていた
ジーニアスは火炎瓶を投げ入れた
「はわわわ私そっくり…なんで?、あああああキャンディバレットぉおお!」
飴の弾丸がジーニアスの胸を抉る
同時に、火炎瓶の炎がキャンディを炙り、焦がす
……
「かはっ…ん…どうして…こんなことするのですか…」
「ああ、知らん…私は何も知らない!こんなことさせられるとは思わなかったんだ!ほら、君と私は顔がそっくりだろ!だからこのクーデターに使えるんじゃないかって言われて」
「なに…それ?」
「ただマネーがたんまり貰える仕事としか聞いていない」
「ていうか、あなたは外国から来たのですか?」
「ああ、よく分かったな?まぁ肌が黒いからわかるか。私は遠い帝国からやってきたトラベラーでな!」
「なんでこんなのに協力したのですか!?」
「いきなりあいつらに捕らえられたんだよ!まぁマネーをくれるから協力してやったが」
「キャンディ達は死ぬのでしょうか」
「こんなことさせられるとはな、あいつの言うこと聞いてればなぁ、こんな国来るんじゃなかったなぁ、二人で仲良く死のうぜ、もう助からねえ」
「そんな…でも、諦めたらダメなのです、何か二人とも助かる方法は…」
「ああ、助かる方法な……一つだけある」
「本当なのですか」
「もちろん、私は悪魔族という種族でな、【悪魔の契約】ってのが結べるんだ!」
「悪魔の…契約?」
「契約内容はこうだ、お前の命を助ける代わりに、お前のボディを私に捧げる、そして私の命が助かる代わりに、私のボディをお前に捧げる」
「つまり…?」
「私とお前は一心同体にユナイトするってことだ、私とお前は偶然見た目がそっくりみたいだし、誰も気づかない、どうせ死ぬんだから賭けてみないか?」
「……契約するのです!」
「いいのか?」
「このまま死ぬわけにはいかないのです!」
「じゃあ契約完了だな!」
ジーニアスはキャンディをとりこんだ
キャンディの瞳に赤い炎が宿る
ジーニアスが瀕死だったので、体の主導権は不完全な形になった
……
「いや、ジーニアスが悪くね?僕のお嬢様を誑かしてんじゃねえよ!どうやってもジーニアスが有罪な」
ここで、ジーニアスに切り替わる
「誑かしなど…、いや、私が悪いのは分かってる、そもそも遊び半分でこんなとこまで探検しにきた私が悪いのだ!」
「いや、知らねえよ」
「だから、今は私が戦う…私が死んでもキャンディは無事のはずだ!」
「そうか、じゃあ望み通り殺したるわ!【流】!」
ハイドが水を放つ!
「それならこっちも【甘氷乳華 】!」
巨大なアイスクリームを召喚
その冷気が、ハイドが放った水を凍らせる
ハイドは氷によって手が拘束されてしまった
「死んどけ!」
ジャンが上空から蹴りを入れる
「な、待て待て待てってぁああああ!」
ジャンの脚がハイドの腹部にうめり込む
「【粘樹隗】!」
巨大なガムがハイドに絡みつく
「ふざけんなや!こんなんおかしいやろ!さっきまでうちが勝っとったやんけぇええ!」
「お嬢様、バリアってのは2方向からの同時攻撃に耐えられないってのは覚えてるよな?」
「もちろんだ!」
「じゃあ、いくぞ!」
ジャンは天高く飛び上がる
そして、ハイドに狙いを定める
「術式展開だ、【絡糖膨玉 】!」
巨大なキャラメルポップコーンが爆炎と共に弾けた
「【反射板】!」ハイドはバリアを展開!
そして、同時にジャンの蹴りが炸裂
【反射板】で防げたのはジーニアスの攻撃だけだった
ジャンの蹴りに受け身も取れず直撃
当然、無事で済むはずがない
「がはぁああああ!っふざけ……」
ハイドの胸が抉れている
ハイドは出血多量で、気絶してしまった
「で、半殺しにしたってことは…」
「えへへ、ハイド乗っ取れちゃった!」
なんと、プリズムが体の主導権を奪った
「やりましたね!」
「うん、じゃあ行くよ!」
プリズムは目を瞑り、首を掴んだ、そして、そのまま折った
「わぁあ……痛そう」
ハイドは死亡した
プリズム、大蛇、そして、サメ、ワニ、タコが排出された
「ん…なんじゃこれは!」
大蛇はこの惨状をみて驚く
「悪魔族のハイドが、あなたと契約してここで暴れ回ってたの」
「なんじゃと…というかお主ら誰なのじゃ!」
ここでジーニアスが活動を停止、倒れる
そして、キャンディに切り替わった
「あ、カガルミナ王国のキャンディなのです!」
「カ…カガルミナ!?ということはここは鏡面世界?どういうことじゃ」
「色々あったんだよね!」
「おう、お主はプリズムじゃな、ところでハイドが悪魔族とはおどろきじゃな、あやつに鱗を渡すんでなかった……、あ!?なんじゃこれは、人がたくさん死んでおる!」
「そうなんだよね、ケミも死んじゃったし、どうしよう!」
「妾に任せるのじゃ、【癒しの水】!」
大蛇は虹色の液体をばら撒いた、それがハイド以外全員を復活させる
「お、勝ったみたいだね〜」
「あら、どうやって蘇生したのかしら?」
「妾の力じゃ」
「大蛇が復活したのか、これは心強いね」
「それより、ドロップとシャープは居らぬか?」
「ああ、ドロップ君は既にここを出たけど、シャープ君はあそこにいるよ!」
「おう、シャープよ、久しぶりじゃな」
「あ、大蛇!マジで会いたかった、マジで最近辛すぎてヤバみがヤバいんすよ!やっぱ大蛇がいるだけでもうね、負ける気しないっすよ」
シャープの瞳に光が灯る
「そうか、待て、ここから、どう出るのじゃ!」
「きらめきの鍵はここにはないのよね」
「ああ、それなら僕に任せて!」
アイムはかがやきの剣を構える
そして、天に向かって振りかぶった
──空は裂けた
「な…なにそれ」
「どんなものでも斬れる【かがやきの剣】、それって世界の境界も例外じゃないと思ってね」
「じゃあ、早く行かなきゃ」
「分かってる、キャンディ君とジャン君はさよならだね」
「いや、ちょっと待てよ!その帝国たぶんここも獲るつもりだろうが!僕達も行く!」
「では!キャンディも!」
「おお、ありがとう!」
「ああ、そういえば、ハイドの遺体なんだが、ちょっと悪魔族の研究をしてみたくて、少し持って帰るぜ!」
ケミは、ハイドの髪を剥ぎ取った
「ああ、全然いいよ」
「じゃあ、早く帰ろ」
「そうだね」
ハイド戦終了です!まだまだ帝国編は続きますが、とりあえずカガルミナ編は終了です!
今回は面白かったでしょうか?
さて、ハイドはこれで終わるのか……?




