第81話 おりがみのひと
どんよりとした、黒い雲に覆われた場所がある、雨が丘だ
「ここが【雨が丘】でしょうか」
「なんか雨降ってるし絶対ここだろ、てか傘出せや、ちょっとは気が利かねえのかよ無能が、ほんと礼儀ないんだよな」
ジャンは舌打ちをした
「仕方ないなぁ、これでいいかな」
エイントは3本の傘の絵を描き実体化
「ほらみろやクソアマ!ちょっとはこいつを見習えよ、やっぱ女って無能しかいないな」
フィステリアは無視
「ちょっと君…流石に失礼じゃないか?」
エイントがジャンの腕を強く掴む
「余所者の分際で何言ってんだよ!ここでは僕に従ってくれなきゃな」
エイントは溜息を漏らすのだった
その時だ、雨がピタリと止んだ
「人は折り紙を折る。何を折るかに気をつけろ。折り紙には人の本質が映される。」
そんな声が聞こえてくる、刺客だろう
「うおっ!ポエマー来ちゃった!おい、あとお前ら戦うから傘捨てとけよ」
ジャンは皆に呼びかける
「私は世界を知る者、シンなり。」
白い装束を纏う赤い目の青年、シン
張り付いた笑顔が不気味だ
「お前、鍵持ってんのか?」
「それは世界を開くもの。あるいは、獲物に掛ける罠。術式展開【平の変身】!」
その瞬間、シンは姿を消してしまった!
「どこに行ったのでしょうか」
フィステリアがシンがいた場所に駆け寄った
「人は現象に呼ばれ、現象に弄ばれる。【紙巻き包み】!」
その瞬間、足元に巨大な紙が敷かれていることに気づく
紙は一瞬にして、跳ね上がり、体を包み込む
フィステリアは巨大な紙に包まれていた
「なんですの、これは!」
フィステリアは身動きがとれなくなった
「時を戻せばいいと思うよ!」
「……っ!それ、いい考えですわ」
フィステリアは紙にリセットをかけ、脱出した
「シン…どこにいった?」
「どうしましょう」
「魔法を使おう…shukriya!shewa・melet・thet・delvilera・’S・harlovailon!」
エイントは星形の魔法陣を描いて実体化させ、探知魔法を唱えた
その瞬間、シンがいる場所に地中から虹色の光が漏れ出た
「そこに隠れてたのかよチキン野郎!ゴミみたいなポエム聞かせるだけ聞かして逃げるな!」
ジャンは飛びかかり、光に向かって蹴りを入れる
ジャンが蹴ったのはただの一枚の紙であった
「一枚の紙は、時に人を欺く。」
いや、それは紙に変身したシンだった
「ロケットパンチですわ!」
シンはロケットパンチをひらりとかわす
「あいつの能力は…なんなんだ」
「我が能力は【紙の神業】。紙を統べる技なり。」
「へぇ」
「うおっ、聞いたか?『かみのかみわざ』だってよ!ガキかよ!」
「鶴は物語を紡ぐ。【|絡繰折紙《からくりおりがみ・鶴】!」
その瞬間、虚空に現れた一枚の巨大な紙が折られ、折り鶴になった
折り鶴は飛んだ
「警戒して…なにかが来るよ!」
折り鶴は、低空を飛び、音速を超える
エイント達は衝撃波で吹き飛ばされた
「恐ろしき将軍至る時、天から風花舞い降りる。幸ある者至る時、祝福の儀が起こる。【欺・紙吹雪】」
その瞬間、天から紙吹雪が舞い降りて
視界を、奪った
「何も見えないですわ!どうしましょう」
「終わった!クソ駄作ポエムしか聞こえない!頭おかしなるって」
「人は眩しさに、戻れなくなる瞬間がある。危機は、兵が告げる。【絡繰折紙・袴奴】!」
巨大な紙が二枚召喚されたかと思うと、折り紙の【はかま】と【やっこ】の形にそれぞれ折られ
一つになった
袴奴はエイントに襲いかかった
「なんだ、何が起こって…ぐわぁあああ!」
エイントの体は紙に抉られていた
「エイントさん!リセットのお時間ですわ」
フィステリアはエイントの体の時間だけを戻す
「ありがとう…そして死んでくれるかな」
袴奴に、赤い絵の具を付けた筆を突き刺した
絵の具を実体化すると、それは袴奴の傷に変わっていた
袴奴は死んでいた
「よし」
「白き世界の安らぎに心を奪われし者は、紅き花弁の恐怖に咲かれる。世界に終わりの花が裂く。【緋咲御幣・帯縁切り】」
その瞬間、幾億本もの長い紙の帯が、空間に張り巡らされた
そして、紙の鋭い縁は
エイントの首を切り裂いた
フィステリアの右腕を切り裂いた
ジャンの右の脇腹と左肩を抉った
鮮血が巻き起こる
「がっ…痛っ…リセットのお時間ですわ!」
フィステリアは自分たちの体だけ時を戻した
「おい完全にあいつのペースに乗せられてる、やばいって!危機感持てって!厳しいって!」
「もちろん、分かってるが…」
「じゃあなんか、今すぐ召喚しまくれ」
「はいはい」
エイントは大量のドラゴンの絵を描いた
ドラゴンの炎が周囲を燃やしていく
「世界が底に沈むとき、賢者は方舟に乗り、神は空に踊る。【絡繰折紙・飛行機】」
その瞬間、シンは紙飛行機に変身して、ドラゴンの群れに突進、ドラゴンは衝撃波に吹き飛ばされる
「はぁ!ふざけんなぁ!」
ジャンがようやく蹴りを入れる
シンはふっ飛ばされた
「強き者が現れば、亜空に呼び、消す。真の強者はそこより戻り討つ。【封印神祇・星の占札】!」
シンによって3枚のカードを投げられた、その瞬間
カードは強力な力で三人を吸い込み始めた
「仕方ない…」
エイントは絵筆に黄色の絵の具をつけた
やがて三枚それぞれのカードに一人ずつ、完全に吸い込まれようとしていた
「皆様、本当に申し訳ございません…」
フィステリアが完全に封印された
「こんな卑怯なことするなんて!お前人間じゃねえや!人外ポエマーはほぼバケモンやろ」
ジャンが封印された
「今だ!」
エイントが吸い込まれる直前、カードに鸚鵡の絵を描いた
そして、エイントも封印された
「真の強者には、在らずか。」
シンがハイドに報告しに戻ろうとしたが
ここで鸚鵡が実体化
鸚鵡がシンに襲いかかる
「世界を知る者、最後の希を見届ける。」
しかし、鸚鵡はシンから鍵のかけらを奪うことに成功した
そして鍵のかけらを咥えて、カガルミナ王国に飛び立って行った
今回は、まさに能力バトルって感じですね。最後は負けてしまいましたが、これからどうなるんでしょうか




