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魔道具エンジニアによる異世界革命〜魔改造済みにつき魔王はご主人様に逆らえません〜  作者: マシナマナブ
第六章

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森の番人

 午人の一人は、ふわりとした金髪の少女。まだあどけなさが残る。大きな瞳で、こちらを真っ直ぐ見つめている。


 その後ろに立つのは、白銀の髪を持つ女。視線は鋭く、明らかにこちらを警戒している。


「ヒッポ、少し下がれ」


 制したのは、後ろに立つ銀髪の女だった。

 彼女は弓に矢を番え、前に出る。


「ここから先は、悪意なき者のみが進める」


 女は俺たちを見据えて宣言した。


「シルヴァ、この人たちから、悪意は感じないよ。でも何か焦ってるね……」


 ヒッポと呼ばれた金髪の少女がポツリと漏らす。

 だが、シルヴァと呼ばれた女は、弓を構えた手を緩めることはなかった。


「お前の感覚は参考にする。だが、それだけで通すわけにはいかない。あたしにもわかる。この魔力……ヒトの域を遥かに超えている……」


 張り詰めた空気の中、俺は一歩、前に出る。


「俺は、リバティ・クロキ・フリーダム。魔道具師だ」


「魔道具師だって?」


 シルヴァの目がさらに鋭くなる。


「そんな桁外れの魔力を持つ魔道具師がいるものか。魔王……いや、それ以上……」


「ああ、クラスは大魔王だ」


 俺が答えると、その場の空気が固まった。


「だ……大魔王ッ! 最大危険因子だ。通すわけにはいかんが……かと言って勝ち目も……これをどう解く……」


 慌てるシルヴァ。ヒッポも顔色を変える。


「シルヴァ、どうする? 死んだふりとか?」


「それは却下だ」


「……終わったね。短い人生だったよ」


 ヒッポは目を潤ませながら、シルヴァの背後に隠れた。


「安心せい」


 そこでエルマが前に出た。


「こやつはアースガルドの元首じゃ。無闇に力を振りかざす輩ではない」


 するとヒッポが少し顔を出す。


「あ、それ聞いたことある。最近元首になった大魔王……評判いいって……貫禄以外は……」


 なんか余計な一言が……


「大魔王など、あちこちにいるはずがない。ならばやはり、この男が元首……となれば、軽々しく武器は向けられない」


 シルヴァが疲れ切った表情で弓を下ろし、こう呟いた。


「フ……もはや、大魔王とかけて大地震と解く、と言わざるを得ないな」


「その心は?」


「どちらも、周囲を震え上がらせる」


「ウマい!」


 ヒッポだけが満足げに頷いた。

 いや、ウマい……のか?


「では残りの娘たちは? 一人は……こちらも並ではない魔力を感じるな」


「儂はエルマ・フェンリル。仙人格の賢者じゃ。ここに来るのは八十年ぶりかの」


 エルマが名乗るとヒッポが目を丸くした。


「え、八十年ぶりって……一体何歳? 見た目私と同じくらいなのに」


「小娘と同じにするでない」


 その横で、シルヴァの視線がヴォイドへ移る。


「で……そこの娘は?」


「ロイナ・ヴォイド。AIロボティクスエージェントだよ」


「え、なにそれ?」


 当人があっさり名乗るが、皆ぽかんとした顔だ。


「こいつはただの子供だ。勉強したくてついてきただけだ」


 俺は慌てて誤魔化しのフォローを入れる。

 シルヴァは答えず、じっとヴォイドを見据えていた。


「妙だな……まるで魔力が感じられない。完全に空だ。魔力欠陥か、それとも――」


「欠陥って、ひどくない?」


 ヴォイドが軽く言い返す。


「私も、この子の中に何の感情も感じないよ。不思議」


 ヒッポも近づいてきて、首を傾げた。


「でもさ、もう通すしかないよね。もし本当にアースガルドの元首だったら、ここで追い返したら国家間の問題になりそうだし」


 シルヴァも諦めたように息を吐いた。


「……通そう。ただし、最終判断は上だ。ついてこい」


 牛人の二人が先に立ち、導かれるまま、俺たちは森の奥へ進む。


 しばらくすると森の景観が変わった。

 大木が道を空けるように両側に揃い、枝は頭上で重なり、日差しを遮る。

 足元の苔も手入れされているように均一に広がっていた。

 通りの両脇には、木でできた素朴な家が並んでいる。


「ここが……賢人の森」


 自然の中に、街が埋め込まれていた。

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