被験体番号036(multimillionaire)
大富豪回...
長かった割に大富豪あんまりしなかったという...
『...フザケルナ』
普通にゲームをしていたが、これは可笑しい...
タカカズの動きが計画的すぎる。
他の2人が何かしてるとは思えないが、
恐らく
ディーラーと手を組んでいるか、もしくは観客の内の誰かが合図しているか...
疑わしいヤツなんてたくさん居る、しかし確証がないのが問題だ。
1つ言える事は、これか確実に罠で
相手はイカサマをしている。
5セット目でそれを見つける事が出来るかどうか...
それがこのゲームの勝敗を決めるだろう。
だいたい目星はついている、怪しいヤツを3人に絞り込むまではいった。
もう少しだ...
どうせモルじゃ出来ない事だろうから
私がやらなきゃ...
「...フザケルナ」
横の方から、聞いたこともないような
野太い声がした...
しかし、タカカズの声のようにじゃがれてはおらず
別の誰かが発した声だった。
声のした方を見ると、モルが立ち上がっていた。
「モル、まだゲームは終わってない。
座れ」
私がモルに命令したが、モルはびくともしない。
「モル?」
「嫌だ...負けたくない...」
モルの口から漏れた言葉は、いつものように冷静で大人びたものではなく
子供の戯言のような、わがままだった。
もちろんそれにも驚いたが、何よりも驚いたのが...
「あの子...あんなに声低かったっけ?」
...そう。
本来のモルの声より、ずっと低く
ドスが効いていた。
これはやばいと思い、私も立ち上がり
モルに歩み寄った。
「まだゲームは終わってないんだ。
最後まで我慢しろ」
「ゲームが終わってない?
負けが決まったゲームの...
一体何が終わってないんだよお!!!!」
モルは気が狂ったように叫びだし、会場を駆け出した。
「モル!!!」
呼び止めようとしたが、モルは正気を失っているのか
まったく私の言葉に反応しない。
そしてモルが向かっている先は、ユーフィの居る景品台だった。
会場は混乱している。
客達はざわめき出し、一気にうるさくなった。
私は何が起こるかわからないが、念のためモルを追いかける。
「...モルさん」
私がモルに追いついた時には、
モルはすでにユーフィの目の前で立っていて。
なにやら会話をしていた。
ざわめきのせいで、よく聞き取れないが
ユーフィが必死に何かを訴えている。
モルはなんの反応をみせず、ただじっとしてユーフィを見据えてた。
すると突如、目を見開いたモルが
ユーフィの隣に置かれていた箜篌に手をかけた。
「モル!本当にやめろ!!!
お前今自分が何をしているのかわかってるのか!?」
私も訴えるが、人混みにまみれて、なかなかモルに近づけない。
今はファンとかそんなのどうでもいいだろ!!
すると、モルの居る場所から
上に何かが飛んだのが見えた...
あれは...弓...?
バリイイイィィィィィン
弓は天井のシャンデリアに直撃した。
弓が触れた部分から爆発が起こり、シャンデリアは木っ端微塵となった。
弓は1つじゃ終わらない。
直ぐに複数の弓が宙を舞い
全てのシャンデリアを破壊し、部屋の明かりを全て無くした。
時間は夕方、薄暗くなる時間帯のため
窓からの明かりでは、状況を把握するのに不充分だった。
唯一光っているのは
モルの手元のみ...
モルの手元には、炎の欠片が浮いていた。
おそらく、あれが爆発の原因だ。
カジノテーブルの上で弓を構えたモルは
上から私を見下していた。
弓矢、そうか...
あれが、箜篌の武器となった姿なんだ。
私はモルを止めるべく、自分の武器を探しに行こうとするが。
室内の人間が慌て騒ぐため、私の行く手を阻む。
こんな所で止まってる場合じゃないのに...!
私の後ろでは、絶えず爆発音が続いている。
同時に大きな悲鳴、鳴き声が聞こえる。
もしや、モル...
人を射ってる?
私達がさっきまで居たカジノテーブルを見ると、タカカズと2人の被験体が
大きな火傷と共に倒れていた。
...なんてことだ。
アイツ...人を殺しただと...!?
私は観客達を無理矢理押しのけ、自分の武器を置いた部屋へ走る。
どうにかたどり着き、部屋を開けようとするが、鍵がかかってるようで開かない。
タカカズ...まさかお前がやったのか...?
こんな展開じゃなく、2人が逃げ出す展開でも考えていたのか...!?
被験体は武器がなければただの見た目だけの化物なんだ。
今の私じゃ何も出来ない...!
モルは観客を目がけて弓を射ってるようで、私の近くでも爆風が起きている。
いったいこれで何人が死んだんだ?
もしかして、これの責任は全て私の御主人が負うのか...!?
バカも大概にしろ!
こんな事になるなら連れて来なかったぞ!!
どうしてこんな事になったんだ!
こんなに取り乱すようなヤツでもなかったはずなのに...
ふと、頭のなかに二ーファとの会話がよぎった。
『つまり、これから殺す事があるかも...
という事ですか?』
《そうだ》
...まさか
《トランプカード、全員を倒した...
その頂点に立つ者が、代表だと俺は思う》
心臓が激しく波を打つ。
『世界はね、世界の都合のいい方にしか転がらないんだよ』
...じゃあ
このモルの行動は...!
私は自分の身の安否など忘れて、モルに向かって走り出していた。
「モル!!!
お願いだ!!!
目を覚ましてくれ!!!!」
51人の犠牲の上で成り立つ代表なんてものに
アイツをさせてたまるか!
「世界の都合通りにいったらダメなんだよ!!!!」
まるで、壊れた機会のように弓を乱射するモルは。
おそらく、二ーファのように意識がないのだろう。
...私に、何が出来るんだ?
次で大富豪回ラストです...
長かった...
こりゃ2つのゲームに分けたが良かったかも...
後悔しても遅いってね!!!
ちくしょう!!!!




