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cards[トランプ]  作者: しるしん
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34/43

被験体番号033(multimillionaire)

なんか疲れたなぁって思ったら

いつもより文字打ち込んでました。

『僕にはユーフィが 必要 なので、連れて行ってもよろしいですか?』


モルさんからの言葉。

それは本当に、僕にはもったいなさ過ぎて涙が溢れそうだった...


けど、泣いたらモルさんに怒られちゃうから、そこは我慢したよ。



そして今は、車に乗せられて移動している。


車内の窓のほとんどには真っ黒なカーテンがしてあり、日光がラミくんに当たらないようになっていた。


「あっちについたらトイフェについていけばいい。

トイフェ、2人の案内を頼む。

カジノルームにでも連れて行くといい。」


「わかりました。」


ラミくんの隣に座っていた、鬼のおねーさんが返事をする。

褐色肌の金髪、スレンダーで動作も綺麗だし、とても素敵な人だと思う。


ラミくんが関わらなければ...ね。


「ラミさん、カジノとはどういう事でしょうか?」


モルさんが問いかける。

そういえば、パーティーに行くのに

どうしてカジノなんだろう?


「モルの武器を賭けるんだ、私も参加するから。」


「僕の...武器を...賭ける?」


モルさんは納得行かないのか、眉間にしわを寄せている。


「僕の武器は、ラミさんのステージと交換してもらえるんじゃないんですか?」


「そんなに都合いいわけないだろ?

私のステージは、急きょ開くパーティーの為だ。」


モルさんは、しまったと言いたげな顔で

下を向いた。


「あの、モルさんの武器を賭けてもらうのはわかったけど

こっちは何を賭ければいいの?」


僕が問いかけると、ラミくんは

顎に手を当てて考え始めた。


「...モル、もしくはユーフィかな?」


「え?」


声を出したのはモルさんだった。


「お前ら、何も持ってないんだろ?

だったら身体だろ。」


ラミくんは平然と言う。

きっと、ラミくん達の世界では、当たり前の事なんだと思った。


「そ、それはダメです!!

また振り出しに戻るかもしれない...

いや、もっと悪化するかもしれないのに!!」


モルさんは声を荒らげた、それほど許せない事だったんだ。

確かに、モルさんが捕まったら

今までの努力は水の泡だなぁ...

それはやだな...


「ならば勝てばいいだけだ、参加出来るのは2人まで

モルと私、どちらかが勝つ事が出来ればいい話だ。」


モルさんは口を噛み締め、目つきを怖くしている。


「モルさん...」


僕はモルさんの手を握った。

突然握ったから、気持ち悪いかもしれないけど

モルさんは拒まなかった。


「きっと、大丈夫だよ

ラミくんもいるし、モルさんなら...」


「ユーフィ...」


僕は、あの日から

ずっとこの人の1番近くにいた。

だから、この人の事は、なんとなくわかるんだ。


怒ってるけど、その裏では怯えてる...

じゃあ僕に出来ることは、こうやって言葉をかけてあげることだけ...


「皆様、後数分で目的地に着きます。」


鬼のお姉さんがカーテンの隙間を覗き、僕達に報告してくれた。

なんとなく気はずかしくなって、僕はモルさんの手を

そっと離した。


「私のステージはラストだ、

それまでの間にカジノを終わらせるんだぞ」


ラミくんがそう言い終わるのと

ほぼ同時に車が止まった。


カーテンが貼られている為、外がどうなっているのかわからなかったけど

車のドアが開き、ようやく外が見えた。


車は日陰のある出口付近に止められたようで、建物の全体を見る事は出来なかったけど

内装からして、きっとラミくんのお城と同じくらい

すっごい人の建物なんだと思った。


「モル様、ユーフィ様

私について来て下さいね。」


鬼さんに声をかけられて、僕は建物への感想はやめて

鬼さんについて行くことにした。

もちろん、隣にモルさんもいるよ。


「では、移動しますね。」


そう言って建物へ入って行く。






「唐突な事で驚いたが、これは大きな収穫になりそうだな」


「ラミ様のステージを低額で見られますからね」


「あぁ、それもだが

もっと魅力的なのが来てるんだよ」


「ラミィヴァーニのステージ以上に魅力的なのってあるの?」


「あぁ、あるさ


...死神に勝った天使とか...ね」






「ここがカジノルームとなります。

お2人はここでしばらくお待ち下さいませ。」


鬼さんはそう言って、すぐに他の仕事を手伝いに行った。

とても忙しそうだなぁ...

けど僕が手伝ってもなぁ...


どうしようもなくなり、なんとなく僕は

このカジノルームを見渡した。


緑の絨毯の敷かれたテーブルがいつくもあり、僕の知らない道具がたくさんある。


なんか沢山ボールがあって、長い棒が添えられてるのとか(ビリヤード)。

なんか丸いやつが机に付いてたり(ルーレット)。


とりあえずよくわからないけどすごいと思った。



「やあ、君達が例の武器を探してる子達かい?」



部屋を見ていると、後ろから野太い声が聞こえた。


まるまるとした大人の人がこっちに歩いて来ていた。

1歩1歩がとても重たそうな人だなぁ...


「ふむふむ、なるほどね」


その人は僕とモルさんをジロジロ見てきた。


なんだろう、あまりいい気分じゃない...


「あぁ、急に見つめてごめんね?

こんなおじさんに見つめられても嬉しくないよね」


...モルさんの眉間がすごい、カード挟めそう。


おじさんはニコニコしてる。

...なんだか、笑顔まで気持ち悪く感じてきた。


「君の武器だったかな?これは」


そう言っておじさんの来た扉から

大きなガラスケースがタイヤの付いた台に乗せられて運ばれてきた。


台を押してるのはミノタウロスの女の人と、ユニコーンの女の人だった。


二人とも鬼さんに負けないくらい綺麗な人で、なんだかこのおじさんにはもったいない気がする。


そして、ガラスケースの中をよくよく見たら...

中には緑色の、ハープのようなものが入ってた。


「...!!僕の箜篌!!!」


「ははは、合っていたようで何より。

これをカジノで賭けるからね。」


おじさんは

何が嬉しいのかわからないけど、とてもニコニコしてる。


「...ところで、僕は何を賭ければいいのですか?」


またモルさんの目つきが鋭くなる。


「もちろん、その武器に見合ったものさ」


「...その見合った物は今持ってません」


ピリピリした空気に、僕は縮こまった。

こんなに怖いモルさん初めてだ。


「え?

ははは、冗談を言うね?

見合った物は持っているだろう?

君のすぐ隣に」


おじさんの目は、僕を見ていた。


僕はおじさんの目を、とっても汚いと思った...

やっと...戦いに入れそう...

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