被験体番号032(multimillionaire)
何時もの時間帯に投稿出来ませんでした
すみません。
『囚人達の武器は、全て売っちゃったんだよ』
予想外の言葉に、僕は頭が真っ白になった。
いままで頑張って情報集めて、
色んな取引きして、
こんな所にやって来て、
こんな格好までしたのに...
...売った?
「まあコレクターに売ったわけだし、何処にあるかくらいはわかってるよ。」
場所はわかっても、今度はそこまで行くのにどれくらいかかるのか...
なんだろう、とてもおっくうだ...
「御主人、それをどうにか返して貰えない?」
ラミが懇願してくれている。
こんな時だけ尊敬します...
...こんな時だけ
「んー...こっちもそれなりのお金貰ってるし...」
人間は悩んでくれている。
頼む、僕達が外に出るために必要な物なんだ...!
「あっ!彼の屋敷でパーティしよう!」
「「え?」」
「なるほど、それならなんとかなりそうですね」
「「ええ?」」
ラミさんは理解したようで、話についていけない僕とユーフィだけが驚いている。
「まあ、私達に任せてればいいんだよ」
...せめて説明をしてほしい
「ラミが来るとすれば、今日突然にお邪魔してもたぶん許してくれるさ」
「そうと決まれば準備ですね、お前らはここで待っているといい。」
そう言うなり、2人は忙しく部屋を出ていった。
「...何をするのかな?」
「...分かりません」
それでも何も出来ない僕達は、やっぱりここで待機してるしかないんだ。
「ねぇねぇ、モルさん」
ユーフィが話しかけてきた。
「なんですか?」
「外に出たいんだよね?
それでどうして武器が必要なの?」
そう言えば言ってなかったような気もする。
たとえ言っていたとしても、覚えてないのなら教える必要があるだろう。
「僕の能力については言いましたよね?」
「動植物とお話出来るヤツだよね?
それなら聞いたよ」
「そう、それで動植物が僕が原因で争いが起こる事も言いましたね?」
「うん、聞いた聞いた」
ユーフィは頭のてっぺんに1本だけ伸びた
アホ毛のような鳥の羽を
ミョンミョンと音がしそうな感じで動かしている。
あれって神経通ってたのか...
「モルさん?」
「はっ!いや、なんでもありません」
気を取られてたやばいやばい...
「えっと...それで、その争いを収める事が出来るのが、僕の武器である箜篌だけなんですよ」
「くご?」
ユーフィのアホ毛が疑問符の形になる。
やっぱ神経通ってるよね?
「片手で持てる、ハープのようなものですよ
それで曲を奏でると、動物達は大人しくなるんです」
「モルさんが演奏するの!?
聞いてみたいな!!」
アホ毛 ピョンピョン
気になりだしたらどうしようもないなこれ...!
「と、取り戻すことが出来たら聴かせてあげます...」
「モルさん?どうして口元抑えてるの?」
1時間後
「移動するぞ!」
突如部屋に訪れたラミさんの開口一番。
「パーティーを開く事が決定した。
すぐに車に乗れ、お前の武器を買った人の所へ行くぞ」
「本当に開けたんですね!?」
単純に凄いと本当に思った。
なんの予告も無しに、今日やりたいから行っていい?って聞いてOK貰ってた認識であってるだろう。
凄いな本当に。
「何せ、私が出向くのだからな。
普通は1人20万くらい出さなきゃ入れないパーティーを5万でやってやると言えば、こんなもんだ。」
「20まん?5まん?」
万の単位がわからないのか、ユーフィが疑問符を作っている。
「数字が5、6ケタあるんですよ」
「なんかよくわからないけど凄いんだね!」
「こいつ、私より年上だよな?」
ユーフィはたまに、一般知識が足りないことがある。
電子時計しか見たことないのか、針時計を見て不思議そうな顔をしたりもする。
二ーファさんの過去を聞いてる時も、所々理解出来てなかったようで
夜に全て説明し直したくらいだ。
「まあ馬鹿はともかく、
モル、お前は行くぞ」
「え?ユーフィは連れて行かないんですか?」
「何故連れて行く必要がある。」
ラミさんの言葉が一瞬理解出来なかった。
しかし、ユーフィをあらためて見ると...
恐ろしい目、羽毛の髪、歪な羽、鳥の脚...
パーティーに相応しい者でないのは一目瞭然だった。
「し、しかし...」
「いいよ、いってらっしゃい。
僕はモルさんの帰りを待ってるよ。」
ユーフィは分かっていたと言わんばかりに、笑顔で言った。
悲しさなんて感じさせない、暖かい笑顔だ。
「...こういうのは、慣れっこだもん」
「ユーフィ...」
なんとなく、思い出した。
ユーフィが最初に言っていた事を...
『僕は...ただ必要とされたい、不要に、なりたくない...』
「...」
「おい、モル
早く行くぞ、車は用意してある。」
「すみません、ラミさん...
僕にはユーフィが 必要 なので、連れて行ってもよろしいですか?」
「え?」「は?」
ラミさんとユーフィ、2人が反応する。
「ユーフィ、一緒に行きますよ」
「え、でも...」
僕の発言に驚いたのか、ユーフィは混乱しているようだ。
しかし、置いていくつもりは無い。
理由はわからないが、なんとなく...
ここでユーフィを置いて行ったら、後悔する気がしたから。
僕はなかなか動かないユーフィの腕を掴み
そして引っぱった。
「言った通りです、
必要ですから一緒に付いてきてください」
僕の行動を見て、呆れたのか
ラミさんが口を開いた。
「わかった、連れて行ってもいいから
あまり人を怖がらせるな、そして
ソイツの責任は、全てモルが負えよ?」
「はい、わかりました」
「も、モルさん!?」
後先ほとんど考えてない発言と行動だったが、僕はこれでいいと思った。
後悔する為に生きてるわけじゃない。
誰かのヒーローに成れたら、
それは幸せな事だなと思っただけなんだ。
...武器を買った人の
屋敷のサブの名前を
また考えなければ...




