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cards[トランプ]  作者: しるしん
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32/43

被験体番号031(multimillionaire)

大富豪戦に...

早く入りたい...

被験体番号031(multimillionaire)


『嘘だぁー!私より大切な人なんて御主人様だけだと思ってたのにー!!』


鬼はそう泣き叫んだと思えば、唐突にペンを取り出し、細長い棍棒へとペンの姿を変えた。


「待つんだトイフェ!落ち着け!!」


僕達を客間に案内した、機械仕掛けの被験体が鬼を止めようとする。

兵器の被験体だろうか。


「俺がラミ様の2番に決まってるだろ!!」


えええええ!!!!


「アーズも何を寝ぼけたことを!

ラミ様のお食事を作ってる私が2番だ!」


何処から湧いたのか、コックと思われるユニコーンの被験体が更に加わってくる。


てかこの城は全て被験体で回っているのだろうか、門番からお世話、コックまで被験体だなんて。


ってこれどうすればいいんだ。

徐々に本格的な戦闘に入りそうな雰囲気になっていた。


ここに居る被験体だ、きっとこの3人も成功作の上級か、傑作品の強者だろう。

こんな狭い空間で暴れられたらひとたまりもない。


かといって、この部屋から出られそうもない。

ユニコーンが入ってきたせいで、喧嘩は扉の前で起こっているのだ。


「も、モルさん...窓から逃げる?」


「ええ、そうしましょう」


助かる方法は、恐らくこれしかない。

ユーフィに賛成し、窓を開けようとした時。



「トイフェ、アーズ、マー...

こんな所で何をしてるんだい?」



大人の人間が、部屋に訪れた。

後ろにはラミさんがついている。


「御主人様...」


「ラミのお客さんの前だよ、はしたない行動は慎みなさい。」


「す、すみません」

「以後、気おつけます...」


人間の一言で、さっきまで興奮していた3人はおとなしくなった。


体格こそ僕より大きいが、おそらく3人とも僕より年下だ。

15か18あたりの子供のはず...


「うちの被験体が失礼したようだね。

心からお詫び申し上げるよ...

ラミが選んだお友達くん。」


人間は、こっちを見つめて話しかける。


「いえ、こちらも癇に障る事を言ってしまったようですし...」


「ぼ、僕が悪いんです!ごめんなさい...」


ユーフィが慌てて口を挟む。

確かに原因はユーフィの一言だが、それで勝手にヒートアップしたのはあの3人だから、そんなに気にする必要もない気が...


人間は、ユーフィの体を頭から爪先まで眺め

そして確信したのか、一言だけ発した。


「...なるほど、君がグリーを殺したという被験体だね。」


「グリー?あっ...」


ユーフィが何か思い出したようで、

都合が悪いのか、俯いてしまった。


言いたく無さそうだか、ユーフィは重たそうな口をゆっくりと動かす。


「...死神の被験体の子、ですか?」


「あぁ、そうだよ。」


思い出したのは、ユーフィと初めて会った日の夜。

全ての始まりだったあの日だ。


「で、でも!あれは!」


「あの事は黙っておくよ」


「...え?」


人間が言ったのは、意外な言葉だった。


「確かに、グリーは唯一、神の被験体の成功作。

亡くすにはとても惜しい人材だった。


しかし、彼は燃費が悪くてね。

誰かを殺さなければ生きていけない体質だったのさ。」


死神故の問題だろう。

人を殺す才能に長けていれば、それを使いたいと思ってしまうものかもしれない。


僕だって、動物と話したくてしょうがない時もある。

それの悪化版と思えば、被験体である僕達は納得出来る。


「だから、囚人である僕達を生贄にしてたんですか?」


僕は人間に問いかけた。

そう考えればつじつまが合ったから。


「...そうだよ。

だから、この件はお互い水に流そうじゃないか。」


「......」


人間は、とくに悪びれる様子もなく、

あっけらかんと言ってのける。


コイツは僕達を殺そうとしたんだ。

それを忘れろと言っている。

僕達の殺人を忘れるかわりに...


「とんでもない人ですね」


「死神を殺した君達に言われたくないよ」


人間の言葉に、言い返せずにいると。


「...モルさん」


ユーフィが、僕を心配するように話しかて来た。


ユーフィの優しさ故に、こんな事になってしまったのか...

そう考えると、この優しさが憎らしくも思える。


しかし、それも過ぎた話。

今やるべき事を思い出せ。


「話はかわりますが、こちらに僕の武器はありませんか?」


「...?武器?」


「はい、貴方は僕達の居た牢獄の管理者のはずです。

預けた武器を返して貰いたいのですが...」


「......」


人間は黙り込み、バツの悪そうな顔をした。


あれ?

嫌な予感


「被験体の武器ってね、凄く高価で売れるんだ。」


...へ?


「囚人達の武器は、全て売っちゃったんだよ」


.........


「ええええええええええ!!!!!!!」

これで大富豪回何話目だったかな?

まだまだ先がながそうだ...

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