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cards[トランプ]  作者: しるしん
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30/43

被験体番号029(multimillionaire)

大富豪戦まで長くなりそうだ...

『それでは二ーファさん!いってきますね!!』


私は今、天使の腕の中に抱かれ、空を飛んでいる。


文章だけ見れば、美しく素晴らしい情景にも思えるが。

実際は見た目が歪な、失敗作天使と、布に包まれ隠されたヴァンパイアだ。

ついでに天使の足元にはエルフもいる。


「ラミくん、ラミくんのお城って

あの真ん中の大きい建物?」


私をしっかり抱きしめた状態で、私からも見える大きな城を見つめながら、ユーフィが問いかける。


「私も外からあの城を見るのは初めてだから、自信はないが...

あれが中央だし、多分そうだ。」


私が居たのは窓のない部屋。

城の窓を見ても、私の部屋は見えないから確証はない。

だが、中央の城であるなら、恐らくあれが

私の住んでいた城なのだろう。


「大きいですね、僕達がいた建物とは比べ物になりません」


後ろのほうで、モルが興味深そうに言う。


「ねーねー、何処に降りたらいいの?」


ユーフィが聞いてくる。


「...とりあえず、正門と思われる

あの一番大きな門の前に降りろ」


たまに見た事がある程度の門だったが、あんなに大きかったのか。


私は、日光があたらないように

布で影を作りながら前を見る。


てか風すごいな、時速何キロだこれ。


「あの大きな門ね、わかった!」


そういって、ユーフィは急降下した。


「まっまて!!ゆっくりおりろ!

風で布がめくれる!!!」


「ご、ごめん」






そうして、無事着陸。


門の前には、門番であろうミノタウロスの被験体が2人立っていた。

身長は170cmくらいで高めだが、おそらくユーフィとモルより年下だ。


「そこの2人、ちょっといいか」


私は門番2人に話かける。


「なんだ、囚人を連れた怪しいヤツめ」

「ちっこいな、もしや被験体か?」


失礼なヤツだと思ったが、今は布で体を隠してるわけだ、しかたない。


私は傘を開き、頭だけ日に隠れるようにし

頭の部分だけ布をとった。


「私はラミィヴァーニ、ここの主人の被験体だ。

わけあって長らく外出していたが、この2人の被験体に協力してもらい、帰ってくることが出来た。」


「ら、ラミィヴァーニさま...!?」

「いったい何が...!!?」


門番がどよめく。


「私の顔に覚えがないか?

ならば思い出すまで近くで見てもいい。」


「そんな!滅相もない!!」

「貴方は確かにラミィヴァーニ様です!」


「ならば、直ぐに門を開けよ

御主人への詫びと、この2人へのお礼もしたいからな。」


「「はっ!!」」


すると、2人は門を開きはじめた。

実に重そうな門だ、ミノタウロス程の力量じゃないと開かないのだろう。


ゴゴゴゴゴゴ...


重たい音と共に門は開いた。


「ラミィヴァーニ様がお帰りになった事を皆に伝えろ。」

「わかった、ラミィヴァーニ様は任せたぞ」

「おう」


門番の一人が城へ走って行く。


「ラミくんかっこいい!」

「あのミノタウロス、成功作の中でも上位のものだな」


後ろではユーフィとモルが勝手な事を言っている。


「まず私と御主人を合わせてくれ、

そして2人には新しい服を...

私の隣でも恥ずかしくない格好をさせろ。」


「わかりました」


門番のもう一人はそう言うと、リモコンの様なものを取り出し、紫色のボタンを押した。


途端に、城の上階の窓から羽の生えた被験体がこちらに向かって飛んでくる。


門番が手で合図し、被験体を呼び寄せて、話をし始めた。


この被験体は悪魔の被験体で、よく私のステージ衣装を選んだり、メイクをしたりしてくれるものだ。

顔は綺麗だし、短い黒髪もキメてて、一見かなりカッコイイおしゃれなヤツだが...


「あんらぁ〜♡

かわいいエルフちゃんじゃなぁ〜い♡」


「え...」


おねぇ口調の綺麗なのが大好きなオカマなのが玉に傷...

そしてモル、気に入られたな...


「んもぉ〜!せっかく綺麗なお顔してるのになんて服着てるのよぉ!

私が選んでア・ゲ・ル♡」


「ちょ、ちょっとまって下さい」


モルは露骨に嫌そうだ。


「ん〜♡抵抗してもダ〜メ!

私がとびきり可愛くしてあげるんだからあ〜♡♡」


「うわああぁぁぁ!!!」


悪魔はモルを抱きしめ、ユーフィと同じ要領で飛んできた方向に飛んでいく。

部屋に連れていったようだ。


「え、えっと...」


取り残されたユーフィ


「部屋はわかっただろ、飛んでいけ」


「う、うん...わかった...」


私がそう言うと、ユーフィは悪魔の部屋へ飛んで行った。


なんだか、窓の前で揉めてる気もするが...


「ラミィヴァーニ様、主人殿が貴方の部屋で待っているそうです。」


「...わかった、すぐ向かう。」


「それでは俺は門番に戻りますので、他の者をつけましょう」


「必要ない、自分の部屋くらい一人で行ける。」


「...わかりました」


そうして、門番は門へと戻り

私は一人となった。


私は城に入り、傘を閉じ

布を勢いよく脱いだ。


前と同じ、堂々とした“ラミィヴァーニ”の状態で、私は御主人の元へと向かった。

あのオカマ悪魔、これからも乱用しようかなぁ...

いや、出番があればだけど...

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