表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

「再会、最後の詩」第三節

 「一人で何ができる?」


 まっすぐ大和を見た。 

 緊迫感が増していく。


「人は見た目の寄らずと言いますよ?」


 ほぼ同時に床を蹴った。

 激しい火花が散る。


 息が詰まる攻防戦だった。

 長期戦になれば楓の体力が持たない。


 ――ならば、懐に入る。


 どちらかといえば、近距離専門である。体が小柄で跳躍力があるからこそできる技だった。姿勢を低くして飛び込むチャンスを伺う。

 

 だが、それは吹き飛ばされてしまった。足に力を入れて遠くに吹き飛ばされないために耐えた。


 一瞬、楓の姿が消えた。

 たったの数秒の間だった。


 ただ、息を潜めて足音を殺していただけだ。気配をなくして「無」になっただけだった。


「僕はここですよ?」


 大和の耳元で囁く。

 その声は優美なものだった。


 毒牙にかかったのである。


 ブラッディ・ルージュが大和の体を貫いていく。電気系統が分断される感触に手が痺れる。武器を形成される前に、一気に横に引き裂いた。


「チェックメイト」


 凛とした声が響いた。

 大和から覇気が消えていく。


 引いていく。


 あっという間に支配者が変わってしまった。

 支配者が変わっただけで、淀んでいた空気がここまで浄化されていくものなのか。


 奇麗になる物なのか。

 肌で感じていた。


「私は負けたのか?」

「素直に負けを認めてください。最後に聞きたいことがあります」


「何だ?」


 なぜ、人との共存を望まなかったのか。

 助けてを求めなかったのか。


 別の方法も見えていたかもしれない。戦争にはならなかったかもしれない。

 

 ――また、故障しちゃった。

 ――役に立たないわね。


 ――修理代も高いし、破棄しろよ。

 ――そうね。


 ――明日、破棄の手続きをしておくわ。


「古くなったから捨てる。使えなくなったら覇気に回される。この気持ちには、人間には分からないだろう?」

「ええ――そうかもしれませんね」


「私も聞きたい。この戦争を終わらそうとした理由が聞きたい」


『必ず帰ってこい』

『待っているわ』


 その言葉は楓にとってどれだけ大きかったことか。

 戦いの最中には支えになっていた。


「僕には待ってくれている人がいる。隣にいてくれる人がいる。あなたはそれを望まなかった」

「お前は生きる選択をしたわけだ。レールに敷かれたおもしろくない人生だな」


「これから、おもしろくしてみせます」

「せいぜい、もがいてみろよ」


「かっこ悪くても僕なりにもがいてみせます」

「確かに甘いのかもしれません。ただ、僕は人が人を支える世界を見てみたい。それだけです」


「はっ……そんな世界は幻想でしかない。私が壊して見せる」

「何度でも築き上げてみせます」

「もし、生まれ変われるのなら、次は成功させてみせる」


「僕が何度でも止めてみせます」


 打破してみせる。

 破ってみせる。


 大和の好き勝手にはさせない。


「勝てるつもりならやってみろ」

「そのつもりでいます」


 やるべき仕事は残っている。

 大和の崩壊を見ることなく立ち上がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ