健康……診断……?
お待たせしました! 最新話です! バリバリ書いていきますよー! (でも、最近忙しいのでもしかしたら投稿が遅くなるかもしれません。多忙でスミマセン……)
「さぁ! 楽しい検査の開始だよッ!」
「はい、マスター」
「おいこら、なにが『楽しい検査の開始だよッ!』だ! 殺戮ショーの間違いじゃねぇか!」
片メガネをかけたマッドサイエンティスト、レンバル先生がメスを振り上げ狂気の笑顔を俺に向ける。
白衣には多くの血が飛び散っており、これまでの犠牲者の数を明確に物語っていた。
一方、俺は手術台に括り付けられ、目に涙を浮かべる。さながら実験直前のモルモットだ。
「大体、これはちゃんとした健康診断なんだよな!? 決してなんかの改造手術なんかじゃないよなぁ!?」
「当たり前だろう、グレイ君。私を誰だと思っているんだい。これはちゃんと『君を絶対に健康にさせる診断』、略して健康診断だ。診断と診察と、悪い箇所があった時の治療を同時並行で行なっていくよ」
「最後に余分なサービスはつけないで下さいますかぁ!? 診断と診察だけで結構なんで俺の犠牲をリーズナブルにできませんかぁ!?」
「ふむ、だがしかし君は非常に貴重なサンプルなんだよ。それの細胞を提供してくれる価値を考えるとこれでも安い方なんだが……」
「今このマッドサイエンティスト、患者をサンプルって言ったぁ!?」
「こら、暴れるんじゃない。ソーニャ、患者を押さえつけてくれたまえ」
「はい、マスター」
レンバル先生の一声で、彼の助手兼看護師のソーニャが俺を締めているベルトをきつく締める。
────待てギブギブ! 締め過ぎだ! 息ができずに死んじゃうって!
「失礼。マスターは勇者相手はこのぐらいがちょうどいいと申しつけられておりました故」
「アホか! 俺と人体実験に使う勇者を一緒にするんじゃねぇ!」
「申し訳ありません。 ソーニャは手加減が苦手です」
「しっかりしてくれよぉ……」
まったく、これだから診察は嫌いなんだ。
赤い線が着いた首元を心の中でさすり(もちろん腕も縛られている)、平坦な口調で淡々と謝るソーニャにため息をつく。
「ホントにコイツ、俺の細胞を使った人造勇者なのか? その割には全然勇者らしくないんだが」
「それは心外だよ、グレイ君。ソーニャは私が作った最高の人造勇者だ。……だがまぁ、素体を様々な勇者の器官を組み合わせた作った故に神経系が常人ではない構造をしている。おそらくそれがソーニャの情緒に影響しているのだろう。これからの反応をじっくり観察していくつもりだ」
「ソーニャは人造勇者です。それ以上でもそれ以下でもありません」
やはり抑揚のない声で、ソーニャは断言する。
そう、ソーニャは人造勇者、様々な勇者を無理やり組み合わせた、この世に存在しないはずの勇者なのだ。(ちなみに、俺の細胞はそれぞれの勇者から取り出した部品をくっつける糊の役割をした。なぜか他の勇者の細胞と適合性が高いらしい)
故に、ソーニャは高い戦闘能力と基礎スペックを有している。ツギハギの体からは信じられないくらいの可能性を秘めているのだ。
他にも、ソーニャの体にはレンバル先生によって多くの非人道的行為のための道具が埋め込まれ、もはやどこぞの決戦兵器と化している。
いいか、人はその気になればここまで残酷になれるのだ。戒めとして心に刻み込もう。
「それではグレイ君。準備はいいかい?」
「優しく殺してぇ……キルミーソフトリィー……」
「なぁに、静かに寝ていたらすぐに終わるよ。……ソーニャ、注射器」
「はい、マスター」
ソーニャは頷き先生に腕を差し出すと────皮膚を突き破り注射器が飛び出る。
何回見ても慣れない光景。というか普通に慣れてしまったら人間失格だと思う。
「毎回思うんだが、その注射器はちゃんと殺菌してるんだろうな? 俺の体の中に入れても大丈夫なんだよな?」
「安心したまえ、しっかりとソーニャが殺菌している。この注射器はこの世のどんなものよりも清潔だよ」
「マスターの発言を肯定。ソーニャの体に細菌等が侵入した場合、ソーニャの特殊免疫により三秒以内に対象は死滅します。そのあとソーニャの胸腺からは永久的に記憶細胞が産出され、同じ細菌による二次感染を起こすことはありません。ご心配なく」
「自然の力を不自然に活用するな」
自信満々にソーニャが答える。
生命の底力を見た。
「い、痛くするなよ?」
「選ばれし勇者が何を弱音を言う必要があるんだい? ────ほら」
「いっ!」
「ハハハ、君は何年たっても注射が苦手だね」
歯を食いしばり、腕の痛みを我慢する。
うう、血がごっそり抜けた気がする。
「はい、終わりだよ。……ソーニャ、はい」
「了解」
レンバル先生が俺の血が入った注射器を軽く振った後、それをソーニャに渡す。
ソーニャはやはり無表情で俺の血を受け取ると……
「ごきゅッ……。鑑定完了。これから詳細な数値を奏上します」
「……ああ、ソーニャの目が青色になったね。健康的な数値のようだ。安心していいよ」
「どうしてこんな機能をソーニャにつけたんだよ」
俺の血を飲んだソーニャを見て、レンバル先生が俺のカルテに結果を書いていく。
なぁ、勇者の定義って何だと思う? 少なくとも血を飲んだら成分を数値化できるやつを勇者とは言わないよな。
「さぁ、次は心音検査だよ。ソーニャ、聴診器」
「はい、マスター」
そして、なんのストップもかからずに健康診断が続く。
今度は肩か……ソーニャ、あなたはびっくり箱かなんかなんですか?
「ふむふむ……うん。普通だね。すこし心音が早いのは緊張しているからかな?」
違います。命の危機を感じているからです。生存本能です。
しかし、そんな俺の悲痛な心の叫びもむなしく、どんどん健康診断が進み、ソーニャの体からあらゆる器具が飛び出していく。
俺、これを見るの苦手なんだよね。ソーニャはどちらかというとアンデットの分類だから血が噴き出すなんてことはないのだが、人間の形をしているので肌に穴が開くとハラハラする。
「さぁ、次は口を開けてくれないかな。不足したサンプルをとりたいんだが……」
「なぁ、先生。この前俺からとった細胞はどうしたんだよ」
「全てソーニャに使ったよ。どうも最近美容に目覚めたみたいでね。身長を伸ばすのと肌のつなぎ目を目立たなくするのに培養分を消費された」
「早く本物の勇者になりたい故。そのために魔王城の女勇者を分析した結果、85%の女勇者は外見に気を遣うことが確認されました。これが勇者に近づくための最適な手段だと断定。以下の理由によりソーニャは美容を研究することにしました」
「お前、まさかその女勇者を殺してパーツを奪ってるんじゃないだろうな?」
「肯定。自身の成長を期待するよりも外部から素材を供給する方が効率的だと判断しました」
「お前、外見よりもまずは中身を直したほうがいいぞ」
思えば、肌が白くなったり足がすらりとしたり、綺麗と言えば綺麗になっている。
ただこいつ、このパーツを手に入れるためにどれだけの勇者を厳選したのだろうか。
勇者になりたいがために勇者を殺す。どんな悲しきモンスターだよ。
「じゃあ口を開けて……」
「しょうがねぇなぁ……痛ッ」
マッドサイエンティストによって無理やり肉がちぎられる。
うう……口に血の味がする。今夜は甘いものだけだな……。
口内炎になった頬をさする俺を尻目に、レンバル先生は培養液のたっぷり入った瓶に俺だったモノを落とす。
「うん。終わりだよ。今度はしっかり培養するから安心したまえ」
「マスター、今度は目を新調することを提言いたします。前回の施術時より二割程の視力の低下が確認されています」
「ああ、じゃあいつも通り自分で調達してくれよ。私はこれからグレイ君の細胞を培養しなくちゃならない。……くひひっ、今度はどう使ってやろうか。考えるだけでワクワクするね」
倫理観を失った二人が俺の細胞を見て笑う。
そのぶっ飛んだ姿を手術台の上で見ていた俺は、白目をむきながら静かに呟いた。
「過ぎた技術は人を狂わせるって本当だな」
みんなもやりすぎには気を付けていただきたい。
もしかしたら、この人たちみたいになるかも知れないから。
読んでいただきありがとうございます!
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ついでに投稿モチベも上がり、作品がより良いものになるかも知れません。作者は素直な子なのです。
気が向いたらでいいです。ぜひ評価の方を




