英雄がいないので、ただの兵士を伝説に仕立て上げることにしました
最新エピソード掲載日:2026/05/10
# あらすじ
大国ヴァルハルト帝国の侵攻により、滅亡寸前へ追い込まれた小国リステリア。
敗戦が続き、王都には恐怖が満ちていた。兵は逃げ、民は祈り、王家の威光もかつての力を失っている。国を救う名将も、民を奮い立たせる英雄も、どこにもいなかった。
宮廷記録官ノエル・アルバートは悟る。
この国に必要なのは、真実ではない。
人々がもう一度立ち上がるための“物語”だと。
そんな時、陥落したアグニス砦から、一人の若い兵士が帰還する。
名はライナス・ベル。
彼は敵を討ったわけでも、砦を守ったわけでもない。ただ恐怖に震えながら逃げる途中で、泣いていた子供を見捨てられず、背負って王都まで戻ってきただけだった。
だが、彼の持つ折れた盾には、偶然にも星のような傷が刻まれていた。
ノエルはその小さな事実を利用し、ライナスを古き伝説になぞらえ、“星盾の兵”として国中に広め始める。
最初は嘘だった。
けれど、その嘘に兵は踏みとどまり、民は顔を上げ、ライナス自身もまた、自分に向けられた期待から逃げられなくなっていく。
「俺は英雄じゃない。怖いし、逃げたい」
それでも彼は、泣く子を、友を、王都を、見捨てられなかった。
これは、英雄が生まれる物語ではない。
英雄などいなかった国で、ただの兵士が嘘によって担ぎ上げられ、やがて自らの弱さと選択によって、本物の伝説へ変わっていく物語である。
大国ヴァルハルト帝国の侵攻により、滅亡寸前へ追い込まれた小国リステリア。
敗戦が続き、王都には恐怖が満ちていた。兵は逃げ、民は祈り、王家の威光もかつての力を失っている。国を救う名将も、民を奮い立たせる英雄も、どこにもいなかった。
宮廷記録官ノエル・アルバートは悟る。
この国に必要なのは、真実ではない。
人々がもう一度立ち上がるための“物語”だと。
そんな時、陥落したアグニス砦から、一人の若い兵士が帰還する。
名はライナス・ベル。
彼は敵を討ったわけでも、砦を守ったわけでもない。ただ恐怖に震えながら逃げる途中で、泣いていた子供を見捨てられず、背負って王都まで戻ってきただけだった。
だが、彼の持つ折れた盾には、偶然にも星のような傷が刻まれていた。
ノエルはその小さな事実を利用し、ライナスを古き伝説になぞらえ、“星盾の兵”として国中に広め始める。
最初は嘘だった。
けれど、その嘘に兵は踏みとどまり、民は顔を上げ、ライナス自身もまた、自分に向けられた期待から逃げられなくなっていく。
「俺は英雄じゃない。怖いし、逃げたい」
それでも彼は、泣く子を、友を、王都を、見捨てられなかった。
これは、英雄が生まれる物語ではない。
英雄などいなかった国で、ただの兵士が嘘によって担ぎ上げられ、やがて自らの弱さと選択によって、本物の伝説へ変わっていく物語である。
第1話 英雄のいない王都
2026/05/10 20:30
第2話 星痕の盾
2026/05/10 22:00