表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/13

第8話:敵対的買収(TOB)からの鮮やかな【Win-Win】。腐敗貴族は最強のスポンサーへと生まれ変わる

いつもお読みいただきありがとうございます!

今回は第7話からの続き、領主による武力介入という絶体絶命のピンチ……かと思いきや、マコトの反撃ビジネスが火を噴きます!

腐敗貴族を相手に、トップ営業マンが提示する「魔王すら引く極悪な解決策」をお楽しみください!


「……敵対的、買収だと? 狂ったか下民め! 騎士団よ、こいつらを今すぐ斬り捨てろ!」



ギルバート伯爵の顔面が怒りで朱に染まり、十数人の騎士たちが一斉に剣を振り上げる。



シオリが悲鳴を上げ、ドランとガンツが俺を庇おうと前に出た。



だが、俺はネクタイの結び目をスッと直し、営業スマイルのまま指を鳴らした。



「暴力による市場介入は【コンプライアンス違反】だと、先ほど申し上げたはずですが」



ピキィィィィンッ!!



空間に不可視の壁が出現し、騎士たちの剣がピタリと空中で静止した。どれだけ力んでも、彼らの剣は俺の頭上数センチから下へ降りることはない。



「な、なんだこの力は……!? 動かん!!」



「無駄な労力コストはおやめなさい。さて、伯爵。先ほどの【名刺交換】で、あなたの『裏帳簿』のデータを拝見しました。――シオリ、王都への納税額の差異と、隣国との不正取引の証拠をモニター(空)に投影してくれ」



「はいっ! スキル【議事録(プロジェクター出力)】!」



シオリの瞳から放たれた光が、店内の空中に巨大なホログラムを形成する。



そこに映し出されたのは、伯爵が横領した莫大な税金の流れと、敵国へ横流ししていた兵器の密輸記録だった。



「ひっ……!? な、なぜお前が王都の地下金庫に隠したはずの帳簿を……!?」



ギルバート伯爵が膝から崩れ落ちる。剣を構えていた騎士たちも、自分たちの主の『国家反逆罪』の証拠を目の当たりにし、真っ青になって剣を落とした。



「伯爵。このデータを、私のスキル【情報の拡散シェア】で王都の監査局の脳内に直接送信すれば、あなたは明日には断頭台送りです。パクリ屋台の小銭稼ぎに執着したばかりに、とんだ高い代償ペナルティを払うことになりましたね」



俺の静かな声が、店内に冷たく響き渡る。



圧倒的な情報力と、有無を言わさぬ証拠。


まさに【敵対的買収(TOB)】の完了だ。


相手の会社の息の根は、完全に俺の手の中に落ちた。



「た、頼む……! それだけは……! 財産なら半分やる! だから見逃してくれぇ……!」



プライドも何もなく、床に這いつくばって命乞いをする伯爵。



周囲の客たちも、あの悪逆非道な領主の無様な姿に息を呑んでいる。



だが、優秀な営業マンは「死体」からは一円も利益を生まないことを知っている。



俺はゆっくりと伯爵の前にしゃがみ込み、彼の震える肩にポンと手を置いた。



「伯爵。財産などいりません。私はあなたを破滅させたいわけではないのです」



「え……?」



涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした伯爵が、間の抜けた声を上げる。



「来月、王都からあなたの領地へ『特別監査』が入りますね? 今のままでは横領の穴が埋まらず、あなたは確実に処刑される」



俺はとびきりの営業スマイルを浮かべ、彼に提案した。

「私と『業務提携』を結びませんか? 当施設【THE HUB】の莫大な利益と、ゴルド社長の流通網を使えば、来月の監査までにあなたの横領の穴(赤字)を完全に補填し、完璧な帳簿に偽装リファクタリングして差し上げます」



「なっ……! ほ、本当か!? 私の首は繋がるのか!?」



「ええ。その代わり、あなたは領主の権限を最大限に行使し、【THE HUB】を『領地公認の特区』として免税・優遇措置を取り、我々のビジネスを全面的にバックアップする。――どうです? お互いに損のない、完璧な【Win-Winウィンウィン】でしょう?」

俺がその言葉を口にした瞬間。



ギルバート伯爵の脳内に、俺たちと手を組んだことで得られる「処刑の回避」と「領地がかつてないほど発展し、王都から称賛される黄金の未来」のビジョンが強制的にインストールされた。



「あ……ああ……! す、素晴らしい……! あなたは、私の救世主だ……!!」



先ほどまで俺を殺そうとしていた伯爵は、まるで神を崇める信者のように俺の足元にすがりつき、ボロボロと歓喜の涙を流し始めた。



「マコト殿……いや、マコト先生! ぜひその『特区認定』の契約にサインさせてくれ! このギルバート、一生あなたと【THE HUB】の犬……いや、最高のビジネスパートナーとして尽力させていただきますぞォォォ!!」



「ええ、共にこの領地を豊かにしていきましょう、伯爵」



俺は完璧な笑顔で、彼と固い握手クロージングを交わした。



これで、商業ギルド(流通)に続き、領主(権力と法律)までもが俺たちの完全な支配下(傘下)に入ったのだ。



「……先輩。ついに国家権力まで『都合のいいパトロン』にしちゃいましたよ。もうこの国、実質先輩のモノじゃないですか……」



シオリが呆れたようにツッコミを入れるが、俺は満足げにコーヒーを飲み干した。



「ふふっ……あははははっ! 最高よマコト!」



2階への階段の踊り場で、その一部始終を見ていた女神シエラが腹を抱えて笑っていた。


「権力を力でねじ伏せる勇者は腐るほど見てきたけど、弱みを握り潰した上で『命綱(利益)』を渡して、絶対服従のスポンサーに変えるなんて……。あなた、魔王よりずっとタチの悪いバケモノね」



女神の言う通りだ。



俺は勇者ではない。ただの、しがない営業マンである。



こうして、権力という最強のバックアップを手に入れた【THE HUB】は、ルイーダの街を飲み込み、異世界全土の経済を揺るがす巨大なハブとなっていくのだった。



第8話もお読みいただきありがとうございました!

弱みを握って潰すのではなく、利益を与えて「都合のいい最強のスポンサー」に変えてしまう。まさに魔王よりタチが悪い(?)マコトの交渉術でしたね!

「この交渉術エグい!」「TOBからのWin-Win最高!」と少しでもスカッとしていただけましたら、

ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして、本作へのご評価をお願いいたします!

毎日の【ブックマーク】での応援も、最大のモチベーションになっております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ