第7話:洗練されたロゴは【ブランド力】の証。利権を貪る悪徳貴族に、宣戦布告の挨拶(名刺交換)を
いつもお読みいただきありがとうございます!
今回はいよいよ、アパレルとカフェ・バーの複合施設『THE HUB』のグランドオープンです!
洗練されたブランド力で大繁盛する中、パクリ店を裏で操っていた「黒幕」が直接乗り込んできて……!?
マコトの規格外な反撃にご注目ください!
職人ドランを仲間に引き入れてから数週間。
商業都市ルイーダのメインストリートの一角に、異世界の人々が今まで見たこともない「洗練された異空間」が突如として出現した。
「先輩……ついに、ついに完成しましたね!」
「ああ。ここからが本当の勝負だ」
俺とシオリが見上げる先にあるのは、木と鉄、そして美しいガラスを基調としたモダンな二層構造の店舗。
正面には、無駄を削ぎ落としたシンプルかつ力強いデザインの**【THE HUB】のロゴマーク**が、洗練された光を放って掲げられている。
「このロゴこそが、我々の『品質』を保証する絶対的な刻印になる」
今日はいよいよ、複合型施設【THE HUB】のグランドオープンだ。
1階はガンツが仕切る「スタンドバー&カフェ」。
極上のコーヒーの香りと、昼間からドワーフの火酒を楽しめるオープンで開放的な空間。
そして2階は、ドランが手掛けたアパレルショップ。
派手な装飾を捨て、計算し尽くされたシルエットと極上の肌触りを追求した【ハイ・カジュアル】な普段着や、ヴィンテージ・ドラゴンレザーのジャケットが美しく陳列されている。
「開店と同時に、すごい人です! 1階でコーヒーとみたらし団子を買ったお客様が、そのまま2階で服を試着して、セットで買っていきます!」
「これが『シナジー効果』だ。空間そのものを楽しむ体験(UX)を提供すれば、単価は自然と上がる」
シオリの【議事録(POSレジ機能)】がフル稼働し、恐ろしい勢いで売上が積み上がっていく。
一方、広場に乱立していた「みたらし団子」や「原始焼き」のパクリ屋台からは、完全に客足が消え失せていた。
彼らが売っていたのは「ただの安い真似事」。
俺たちが売っているのは、【THE HUB】という洗練されたロゴに裏打ちされた「本物の体験とステータス」だからだ。
「完璧なブランディングの勝利だな」
俺が満足げにコーヒーを飲んでいた、その時だった。
『――そこをどけェ!! 邪魔だ下民ども!!』
突如、店の外で怒号が響き、入り口のガラス扉が乱暴に蹴り開けられた。
楽しげに談笑していた客たちが悲鳴を上げて道を開ける。
ズカズカと土足で踏み込んできたのは、豪奢なベルベットの服に身を包んだ、顔の広い太った貴族の男。
その後ろには、完全武装した王国騎士が十数人も控えている。
「ひっ……! 領主の、ギルバート伯爵……!」
客の一人が震える声で呟いた。
「おい、この店の責任者は誰だ!! 貴様らか!!」
ギルバート伯爵は血走った目で店内を睨みつけ、俺とシオリを指差した。
「お初にお目にかかります。当施設の責任者、マコトと申します」
俺はいつものように、完璧な45度の角度で一礼した。
「貴様……! よくも私のビジネスを邪魔してくれたな! 広場の屋台の利権は、すべてこの私、ギルバートが裏で牛耳っているのだ! お前が作ったみたらし団子ブームを独占し、ボロ儲けするはずだったのに……このふざけた店(THE HUB)のせいで、屋台の売り上げがゼロになったではないか!!」
なるほど。パクリ店を裏で操り、粗悪品を大量に売り捌いて暴利を貪ろうとしていた黒幕は、この街の領主自身だったというわけだ。
「……それは誠に遺憾ですね。ですが、市場は正直です。粗悪なコピー商品ではなく、我々の『本物の品質』をお客様が選んでくださった。ただそれだけのことかと」
「黙れ下民が!! 貴族であるこの私に口答えする気か!!」
ギルバート伯爵の顔が怒りで真っ赤に染まる。
「いいだろう。領主の権限をもって、今日この瞬間に『新しい法律』を制定してやる! この街での飲食と衣服の販売は、すべて我が伯爵家の許可が必要となる! 許可証のないこの店は、ただちに違法建築として取り壊し、貴様らは投獄だ!!」
騎士たちが一斉に剣を抜き、殺気を放つ。
シオリが息を呑み、2階から駆け下りてきたドランやガンツも武器(ハンマーと串)を構えようとする。
権力による一方的な市場の独占。そして理不尽な法律の改ざん。
絶対絶命のピンチ。しかし――俺の口角は、自然と吊り上がっていた。
「……シオリ。今の伯爵の発言、ならびに『職権濫用による不当な市場介入』の証拠。バッチリ取れているな?」
「はいっ! スキル【議事録(リーク用隠し録り)】で、一言一句、表情の歪みまで完璧に保存しました!」
俺はゆっくりと伯爵に歩み寄り、胸ポケットから一枚の光り輝くカードを取り出した。
「ギルバート伯爵。あなたは大きなミスを犯した。ビジネスにおいて『私情で市場のルールを捻じ曲げる』行為は、最も市場から嫌悪されるのです」
俺はとびきりの営業スマイルを浮かべ、光るカードを伯爵の顔の前に突きつけた。
「まずはご挨拶から。――【名刺交換(宣戦布告)】」
ピキィィィィィンッ!!
俺の指先から放たれた光のカード(名刺)が伯爵の額に突き刺さった瞬間。
彼の脳内に隠されていた『過去の不正な税の横領記録』や『他国との裏取引のデータ』といった、すべての【致命的な弱点】が、俺の脳内にエクセルデータとして鮮明にダウンロードされた。
「な、なんだ!? 今、私の中に何かが入り込んできたぞ……!?」
「ええ、しっかりと頂戴いたしました。あなたの『会社の台所事情』を、ね」
俺はネクタイを締め直し、騎士たちの剣に囲まれながらも堂々と宣言した。
「さあ、ここからは【敵対的買収(TOB)】の時間です。伯爵、あなたの持つすべての利権と資産……私が適正価格で『買い叩いて』差し上げましょう」
最強の営業マンによる、国家権力(貴族)を相手取った前代未聞の「ビジネスバトル」が、今まさに火蓋を切った。
第7話もお読みいただきありがとうございました!
ついに国家権力(貴族)との直接対決が幕を開けました。武力ではなく「スキャンダル(裏帳簿)の把握」と「敵対的買収(TOB)」で貴族を追い詰めるマコトの戦い方、いかがでしたでしょうか?
「TOBの展開が熱い!」「悪徳領主をどう買い叩くのか楽しみ!」と少しでも楽しんでいただけましたら、
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