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第3話:異世界にSNSはない? ならばスキル【情報の拡散(シェア)】で脳内に直接ダイレクトマーケティングだ

いつもお読みいただきありがとうございます!

第3話は、閑古鳥が鳴く路地裏の酒場を「大繁盛店」に変えるための集客戦略です。

マコトの放つ異世界流の「バズ・マーケティング」と、飯テロにご注意ください!

翌日の夕刻。



商業都市ルイーダの路地裏にある大衆酒場『ドワーフの金床』は、開店準備を終えて静まり返っていた。



「よし。仕込みは完璧だな、ガンツさん」



「おう! 串焼きの肉も川魚も、嬢ちゃん……シオリの指示通りに串打ちを終えたぜ。裏メニューの『みたらし団子』のタレも最高の出来だ」



腕を組んで鼻息を荒くする店主のガンツ。



この世界にはスマートフォンもSNSもない。だが、ビジネスの基本はいつの時代も、どの世界でも同じだ。



『良いプロダクト(商品)』があるなら、あとは『適切なターゲットに情報を届ける(認知させる)』だけである。



「先輩、でもどうやって宣伝するんですか? 路地裏すぎて、表のメインストリートからは全く見えませんよ?」



「問題ない。口コミの基本は『シズル感』の共有だ。視覚と嗅覚に直接訴えかけるのが一番早い」



俺は店先の路上に立ち、大きく息を吸い込んだ。



本来ならインフルエンサーを起用したり、SNSで動画をバズらせたりするところだが、あいにくここは異世界だ。


ならば、自分の足と声で稼ぐ『ドブ板営業』をやるしかない。



「よし……まずは表通りの客に向けて、大声で宣伝(呼び込み)をしよう。シオリ、ガンツさん、商品の魅力を全力でイメージしてくれ! ――行くぞ、【情報の拡散シェア】をお願いします!」



俺はポンッと両手を打ち鳴らし、大通りに向かって最高の営業スマイルを向けた。



ただの気合いを入れた呼び込みのつもりだった。



だが、次の瞬間。



ドゥンッ……!!



シオリの目には、俺の体から不可視の『爆風』のような超高密度の魔力波が、都市全体に向かって放たれたのが見えたらしい。



「えっ……? 先輩、今、なんか空間が歪みませんでしたか!?」



「ん? 声がよく通った証拠だな。さて、お客さんが来る前に持ち場に戻るぞ」



「いや絶対違いますって! これ、広域精神汚……ゲフンゲフン!」



その頃、大通りを歩いていた裕福な商人たちや、腹を空かせたSランク冒険者たちの身に『異常事態』が起きていた。



『……なんだ!? 脳内に直接、恐ろしく美味そうな匂いが……!』



『見ろ、空中に幻影ホログラムが! 炭火に滴る肉の脂……ジュワァァって音が聞こえるぞ!?』



『こ、この黄金色に輝くタレに包まれた丸い食べ物(みたらし団子)はなんだ!? 甘じょっぱい香りが鼻腔を直接殴ってくるんだが!?』



俺が放った【情報の拡散シェア】。



それは、ガンツの店の『原始焼き』の圧倒的なシズル感(音、匂い、照り)を、半径1キロ以内の見込み客の脳と五感に「強制的に直接インストールする」という、悪魔的なダイレクトマーケティング魔法だった。



「お、おい見ろ! 路地裏からとんでもなくいい匂いがするぞ!」



「あそこだ! 幻影で見た『みたらし』とかいう神の食べ物はあそこにあるぞォォォ!!」



ズドドドドドドドッ!!



「……ん? なんか地鳴りが聞こえないか?」



俺が耳を澄ませた直後、路地裏の角を曲がって、血走った目をした数十人の客が雪崩を打って押し寄せてきた。



「た、頼む! その炭火で焼いた肉と、甘じょっぱい団子をくれ!! 金ならいくらでも払う!」



「俺にもだ! 早く、あのジョッキに入った冷たい火酒を!」



あっという間に店内は満席になり、外には長蛇の列が出来上がった。



「す、すげえ……! なんだこの客の数は!? 焼いても焼いても追いつかねえぞ!!」



ガンツが嬉しい悲鳴を上げながら、囲炉裏の炭火に次々と巨大な串を突き刺していく。



滴る脂が炭火で爆ぜ、香ばしい煙が店内に充満する。



外はパリッと、中は熱々の肉汁が溢れる原始焼きにかぶりついた客たちは、あまりの美味さに涙を流しながらドワーフの火酒を煽っていた。



そして締めに提供される『原始焼きのみたらし団子』の焦げた醤油の香りが、さらに次の食欲を無限に刺激していく。



「お、お待ちのお客様! 2名様ご案内します!」



「先輩! 3番テーブルから火酒の追加、5番テーブルはお会計です!」



「了解だ! シオリ、顧客データと注文履歴の管理は任せたぞ!」



「はいっ! スキル――【議事録(クラウド保存)】!」



シオリの瞳に無数の文字が走る。



彼女の脳内では、全テーブルの注文状況、提供時間、顧客の顔と好みが一瞬で完璧にデータ化(POSシステム化)され、一切のミスなく店内が回っていく。



俺は満面の営業スマイルで客席を飛び回り、完璧な接客ホスピタリティで客単価をガンガン上げていった。



「いやあ、大繁盛だな! やっぱり気持ちを込めて大声で宣伝すれば、想いは届くんだな!」



「先輩のポジティブさが怖いです! 今、外で『脳内に響いた声の主を崇拝する会』みたいなのができ始めてますよ!?」



客席の隅、一番上等なVIP席。



そこにいつの間にか座っていた金髪のエルフの美女――シエラは、みたらし団子を優雅に齧りながら、くすくすと笑っていた。



「ふふっ……『情報の拡散』ね。強制的な認知の共有化……ええ、最高の商売(魔法)だわ。この街の経済、彼一人でひっくり返っちゃうかもね」



異世界初の『SNSバズ・マーケティング(物理)』は大成功を収め、俺たちの事業は最高のスタートダッシュを切ったのだった。



今回もお読みいただきありがとうございました!

異世界初のSNS(物理)バズり、いかがでしたでしょうか?

シオリちゃんの優秀すぎるPOSレジ機能も光っていましたね!

「みたらし団子が食べたくなった!」「マコトの集客エグい!」と少しでも楽しんでいただけましたら、

ページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価いただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします!

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