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第10話:勇者の鎧は【費用対効果(ROI)】が最悪。プライド高きライバルへのスポンサー契約

いつもお読みいただきありがとうございます!

第10話は、かつてマコトを追放した勇者・カオルとの直接対決です。

派手なだけの勇者装備を、トップ営業マンが【費用対効果(ROI)】で徹底的にコンサルティング(論破)します!

ただの「ざまぁ」では終わらない、二人の意地のぶつかり合いをお楽しみください!


「ここは神聖な商談の場(店舗)だ。もし我々のブランド価値を下げるようなクレーム(暴挙)に出るなら……かつての同期とはいえ、容赦はしないぞ」



俺の静かな警告に、勇者カオルは鼻で笑った。



「ハッ! 服屋の売り子風情が、勇者様に説教か? いいぜ、お前らの売ってるその『地味で貧乏くさい服』と、俺様のこの『至高の黄金装備』、どっちが優れてるか教えてやるよ!」



ガチャガチャとやかましい音を立てて、カオルが一歩前に出る。



全身から生えた黄金のトゲ、無駄に巨大な肩当て、そして引きずるほど長い七色のマント。



彼の背後にいる元・同僚たちも「カオルさんの装備は国宝級だぞ!」「お前らの布切れと一緒にすんな!」と囃し立てている。



俺は小さくため息をつき、首を振った。



「……カオル君。君は営業時代から、見た目のインパクト(プレゼン資料の派手さ)ばかりにこだわって、中身の『顧客ニーズ』を軽視する傾向があった。その装備も同じだ。――シオリ、彼らの装備の【費用対効果(ROI)】を可視化してくれ」



「はいっ、先輩! スキル【議事録データ・アナリティクス】!」



シオリの瞳が青く発光し、カオルたちの頭上に巨大なホログラムの「円グラフ」と「赤字の警告文」が浮かび上がった。



「な、なんだこの空中の文字は!?」



カオルが狼狽える中、俺は冷徹なコンサルタントの顔で数値を読み上げた。



「重量過多による機動力低下:マイナス80%。無駄なトゲ装飾による死角の増加および味方への危険度:Aランク。そして何より……メッキの維持費と装飾の修繕費にかかるランニングコスト:月額50万G」



「なっ……!?」



図星を突かれたのか、カオルの顔が引きつる。



「さらに言えば、そのトゲのせいで関節の可動域が極端に制限されている。剣を振るうたびに脇腹の隙間が完全に露出する、致命的な【設計ミス(バグ)】だ。……実戦での防御力は、その辺の革鎧以下だよ」



「で、デタラメを言うな! これは王国の鍛冶職人が半年かけて作った……!」



「デタラメかどうか、市場マーケットの評価を聞いてみよう。――【顧客レビュー(カスタマー・フィードバック)】」



俺が指を鳴らした瞬間。



1階のカフェでくつろいでいた本物の凄腕冒険者たちや、2階で試着をしていた目の肥えた貴族たちの「本音」が、可視化されたコメントとしてカオルの周囲に弾幕のように流れ始めた。



『成金趣味すぎて一緒に歩きたくない』



『あのトゲ、迷宮の狭い通路で絶対引っかかるだろ(笑)』



『THE HUBのハイ・カジュアルな服のほうが100倍強そうだし上品』



『あれ着て勇者とか、王国のセンス疑うわー』



「な、なんだこれ!? や、やめろ! 俺を見るなァ!!」



周囲からの冷ややかな視線と、辛辣なレビューの嵐。



さらに、俺の言霊によって『ROIが最悪であるという事実』が異世界の法則に強制適用され、カオルの黄金の鎧は「ただの重くて動きづらい鉄屑」へと物理的に変質してしまった。



「ぐ、おもっ……! 体が、動か……!」



その場にガシャンと膝をつくカオル。後ろの同僚たちも、自分たちの派手な装備の重さに耐えきれず次々と倒れ込んだ。



圧倒的な論破。そして完全な『ざまぁ(制圧)』。



だが、俺は優秀な営業マンだ。論破して悦に浸る三流ではない。



俺はカオルの前に歩み寄り、膝をついて彼と同じ目線になった。



そして、とびきりの営業スマイルを浮かべ、彼に手を差し伸べたのだ。



「カオル君。君の『勇者としての知名度インプレッション』は高く評価している。だから、ビジネスの話をしよう。――俺たちと【スポンサー契約】を結ばないか?」



「……は?」



息を切らすカオルが、信じられないものを見る目で俺を睨む。



「君たちパーティーの装備一式を、我々【THE HUB】が最新のハイ・カジュアル素材で無償提供する。君たちは圧倒的な軽さと強さを手に入れ、俺たちは『勇者御用達のブランド』という最強の広告塔アンバサダーを得る。お互いに利益しかない、完璧な【Win-Win】の提案だ」



周囲の客が「おおっ……!」と感嘆の声を漏らした。

かつて自分を追放した相手に対し、私怨を捨てて手を差し伸べる器の大きさ。これがTHE HUBの責任者、マコトの凄みだ、と。



だが。



「……ふざ、けるな」



バシンッ!!



カオルは、俺の差し伸べた手を思い切り払いのけた。



「誰が……誰がお前なんかの哀れみを受けるかよ! 営業成績も、異世界でのスキルも、全部俺の方が上のはずなんだ! お前の作った地味な服なんか着てたまるか!」



顔を真っ赤にして立ち上がったカオルは、重い鎧を引きずりながら俺を睨みつけた。



「いいかマコト! 俺は勇者だ! この黄金の鎧が正義だってことを、魔王を倒して証明してやる! お前みたいな小賢しい商人に、俺の誇り(ブランド)は絶対に売らねえ!!」



「行くぞお前ら!」と吐き捨て、カオルは逃げるようにTHE HUBから飛び出していった。元・同僚たちも慌ててその後を追う。



「……行っちゃいましたね、カオルさん」



シオリが呆れたように肩をすくめる。



「ああ。感情プライドで合理的な商談を蹴るとは……彼は相変わらず、営業マンとしては三流だな」



俺は払いのけられた手を軽く払い、苦笑した。



「でも、悪くない顔をしていましたよ? なんだかんだ、先輩へのライバル心だけは一丁前というか」



「まあ、競合他社ライバルが元気なのは、市場が活性化する証拠だ。次に来店した時は、もう少しマシな提案プレゼンを持ってきてくれることを期待しよう」



こうして、勇者カオルとの初顔合わせは決裂に終わった。



しかし、自らの足で泥臭く茨の道を進もうとする彼のプライドの高さを、俺は嫌いにはなれなかった。



「さて、シオリ。勇者パーティーへの営業は失注したが、店内のお客様へのアピール(宣伝効果)は絶大だったようだ。――営業再開だ!」



「はいっ、先輩!」



【THE HUB】の快進撃は止まらない。



立ちはだかる商売敵も、空気を読まない勇者も、すべてを飲み込んで、マコトのビジネスはさらなる高みへと加速していく。




第10話もお読みいただきありがとうございました!

完全に論破されても、美味しいスポンサー契約を蹴って自分の意地ブランドを貫いたカオル。永遠のライバル(競合他社)として、彼もなかなか憎めないキャラクターになってきましたね。

「ROIの可視化エグい!」「マコトの器がデカすぎる!」と少しでも楽しんでいただけましたら、

ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援をお願いいたします!

皆様からの評価カスタマー・レビューが日々の執筆の励みになります!

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