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第11話:直営店展開への現地視察(ダンジョン攻略)。勇者の泥臭い戦闘と、トップ営業の【業務効率化】

いつもお読みいただきありがとうございます!

第11話は、新商品開発のための素材集めで「Sランクダンジョン」へ!

命懸けで泥臭く攻略を進める勇者パーティーを尻目に、トップ営業マンのマコトは「スーツ姿」のまま規格外の攻略法ビジネススキルを見せつけます。圧倒的な効率化と商談劇をお楽しみください!



複合型商業施設【THE HUB】本店が軌道に乗り、莫大なキャッシュフローを生み出し始めた頃。



俺たちは次なる一手として、迷宮都市バビロンへの「直営2号店」の出店計画(事業拡大)に乗り出していた。



「先輩、2号店の物件候補は絞れました。でも、目玉となる『新商品』の素材が足りません」



「ああ。最高位【ダイヤモンド】ランクへのロードマップを最速で進むには、他社が絶対に真似できない圧倒的なレア素材が必要だ。……よし、シオリ。今日はスーツ(ハイ・カジュアル)のまま『現地視察』に行くぞ」



俺たちが向かったのは、街の郊外にあるSランク指定の危険地帯『黒竜の迷宮』。



新アパレルラインの素材となる「黒竜の鱗」と、新メニューに使う「幻のキノコ」の直接買い付け(採集)が目的だ。



ダンジョンの入り口に到着すると、そこには見覚えのある黄金のトゲトゲ鎧の集団がいた。



勇者カオルと、元・同僚たちだ。



「マコト!? なんでお前らみたいな非戦闘員がこんな危険なSランク迷宮にいるんだ!」



「奇遇だな、カオル君。我々は直営店展開のための市場調査リサーチと、素材の仕入れに来たんだ」



「市場調査だと? ふざけるな、ここは魔物がうごめく地獄だぞ! 剣も持たずに服屋の制服スーツで来る場所じゃねえ!」



カオルは俺の軽装を鼻で笑い、チャキリと派手な聖剣を抜いた。



「いいかマコト、よく見とけ! お前に俺の『勇者の力』と、この黄金装備の正しさをたっぷりと見せつけてやる! 俺たちパーティーが先に最下層のボスを倒して、迷宮の宝を独占してやるからな!」



カオルたちは喚きながら、ダンジョンの暗闇へと突撃していった。



相変わらず、気合いと根性(精神論)だけで乗り切ろうとする古い体質の営業スタイルだ。



「行っちゃいましたね。私たちも後を追いますか?」



「いや。あんなトラップや雑魚モンスターが密集している『非効率なルート(一般道)』をバカ正直に進む必要はない。ビジネスにおいて最も重要なのは【タイムパフォーマンス(時間対効果)】だ」



俺はダンジョンの壁に手を当て、とびきりの営業スマイルを浮かべた。



「無駄なプロセスは省きましょう。――スキル、【業務効率化ショートカット】」



ゴゴゴゴゴォォォォォッ!!!



俺が言葉を発した瞬間、分厚い迷宮の壁がまるで自動ドアのように「スゥッ」と左右に開き、最下層のボス部屋まで続く『一直線の綺麗なアスファルトの通路』が強制的に生成された。



「ええええっ!? ダンジョンの構造そのものをリストラ(削減)しちゃったんですか!?」



「ただの導線設計の最適化だよ。さあ、安全で快適なVIPルートで視察を続けよう」



俺とシオリが鼻歌交じりに、魔物も罠も一切ない一直線の通路を歩き、最下層の巨大な扉を開けると。



そこには、ボロボロになって息を切らすカオルたちの姿があった。



「はぁっ……はぁっ……! やっ、と最下層だ……! 雑魚魔物が多すぎるし、この鎧……重くて、死にそう、だ……」



彼らの黄金の鎧は罠で傷だらけになり、無駄なトゲが壁に引っかかったせいで体力リソースを著しく消耗していた。以前、俺が指摘した【ROI(費用対効果)の悪さ】が完全に露呈している。



『グルルルォォォォッ!!』



部屋の中央で、巨大な黒竜ダンジョンボスが咆哮を上げた。



Sランクの圧倒的な威圧感に、カオルたちは完全に足がすくみ、剣を取り落とした。



「ひぃっ!? む、無理だ……! 今の消耗しきった俺たちじゃ、あんな化け物……!」



カオルが絶望の声を上げた、その時。



「お疲れ様、カオル君。飛び込み営業(ダンジョン攻略)の基本は『余力を残して決裁者ボスに会うこと』だ。その様子じゃ、とてもマトモなプレゼンはできそうにないな」



「マ、マコト!? なんでお前が傷一つなく、涼しい顔でここにいるんだ!?」



スーツのシワ一つ乱していない俺とシオリを見て、カオルは幽霊でも見たかのように目を見開いた。



俺はカオルの横を通り抜け、巨大な黒竜の鼻先へと歩み寄る。



「さて、黒竜社長。初めまして、THE HUBのマコトと申します」



俺は黒竜に向かって、完璧な45度の一礼をした。



カオルが「バカか! 魔物に挨拶なんて通じるわけねえだろ!」と叫ぶが、黒竜の圧倒的な暴力(炎の息)が放たれる直前、俺は名刺(光のカード)を差し出した。



「【名刺交換】。……なるほど、あなたは『極上の肉(供物)』を求めてこの迷宮の底に引きこもっていたんですね。しかし、迷宮の魔物(社員)たちが持ってくる餌の品質に不満を抱いている、と」



『……!! なぜ、我が長年の悩みを……!?』



黒竜の脳内に直接、驚愕の意思が響く。



「ビジネスチャンスですね。我が社が誇る最高品質の『原始焼き』と『みたらし団子』を、毎日あなたの元へデリバリー(納品)いたしましょう。その代わり、あなたの『抜け落ちた鱗』を我々に独占提供していただきたい」



俺は黒竜の巨大な顎を優しく撫で、営業スマイルで決定打を放った。



「さらには、あなたを我が社の直営2号店の『最高警備責任者セキュリティ・トップ』として好待遇で迎え入れたい。――【外注アウトソーシング契約】です」



ピキィィィィンッ!!



言霊の契約が成立した瞬間、Sランクの凶悪なダンジョンボスであった黒竜の目に「マコトへの絶対的な信頼」と「美味い飯への期待」が宿り、まるで従順な大型犬のように俺の足元に平伏した。



「よし、契約成立クロージングだ。シオリ、鱗の回収と、直営店への移送手配を頼む」



「はいっ先輩! ボスモンスターの物流管理ロジスティクス、完璧に議事録に落とし込みました!」



たった数分の出来事だった。



カオルたちが命懸けで、泥水と血をすすってようやく辿り着いたSランク迷宮のボスを、俺は「一切の暴力を使わず、笑顔の商談(スーツ姿)」だけで完全に制圧し、自社の社員(警備員)にしてしまったのだ。



「うそ、だろ……? 俺の、最強の黄金装備が……勇者の力が……たった一度の『名刺交換』と『世間話』に、負けたっていうのか……?」



カオルはその場にへたり込み、完全に戦意を喪失していた。



俺は彼の肩をポンと叩き、優しく声をかけた。



「カオル君。君のその泥臭い『行動力(足で稼ぐ営業)』自体は悪くない。だが、戦略がない努力はただの自己満足だ。……いつでも直営店の『店長候補』として雇ってあげるから、気が向いたらTHE HUBに履歴書を持っておいで」



圧倒的な力の差(ビジネスの理力)を見せつけられた勇者は、ただ呆然と、黒竜の背に乗って迷宮を後にする俺の背中を見送ることしかできなかった。




第11話もお読みいただきありがとうございました!

罠も壁も【業務効率化】で吹き飛ばし、Sランクの黒竜すら【外注契約】で自社の警備員にしてしまうマコト。勇者カオルとの「ビジネス力の差」が残酷なまでに浮き彫りになりましたね。

「ダンジョン攻略が斬新すぎる!」「黒竜がチョロい!(笑)」と少しでも楽しんでいただけましたら、

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