表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
比翼の乙女たち~見えぬ呪いを斬り裂き、因果を断つ女子高生異能剣士と祈りの幼女巫女の現代怪異譚~  作者: GOM


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/61

第42話 切り結ばれる線

 敵の姿がぼんやりと見えたものの、こちらから攻める事は出来ない。

 怪しげな会社であっても、捜査権と逮捕権も無いわたしとひなに出来る事は無い。

 くやしいが今は辛抱し、チャンスを狙って現行犯として捕まえるしかない。


 ……でも、向こうが事件を起こすのを待つのはイヤだよねぇ。


 しかし、わたしには待っている時間は無かった。


「ひなちゃん、ニュースを見た!?」


「今見て驚いたのじゃ! お母さまもまだ帰ってこぬから、話も聞けぬのじゃ」


 二月後半。

 まもなく三年生の卒業式が近づく頃。

 夕方突如、飛び込んできたニュース。


「どうして、警視庁の代わりに、帝都安全保障庁なんて出来たの?」


「ニュースでは、警察機構の力だけでは東京を守れぬと言っておるのじゃが、まさか警視庁襲撃事件の事を隠さずに発表するとは……」


 ニュースでは、ふくよかな中年首相が省庁設立のいきさつを説明。

 そして新たに帝都安全保障庁の長官に選ばれた若き議員が、警視庁襲撃事件において異世界の魔物が暴れた事を話している。


「今回、若輩ながら帝都安全保障庁の初代長官に選ばれました鷹宮(たかみや) 恒二(こうじ)と申します。昨年末、警視庁を襲った者たち。以前はテロリストとお知らせしておりましたが、真実は違います。異界からの侵略者、魔神(デーモン)と呼ばれるものが暴れた結果です」


 この間まで防衛相政務官であったイケメンが、深刻そうな表情で真実を語る。

 彼の周囲に集まる記者たちは、皆驚きの表情を示し、質問すら飛び出さない。


「彼らに対し、これまでの警察機構の力では対応できません。今回設立された帝都安全保障庁。先日、海外派兵されました特務部隊を元にし、異界存在に対しても戦える装備、そして異能を持つ者たちを選びました。この部隊により、再建中の警視庁に成り代わり東京の治安を守ってまいります」


 なんと、魔神だけでなく異能を持つ者の存在さえも、マスコミにアピールしていく長官。

 記者たちは一瞬、言葉を失う。

 カメラのシャッター音だけが会見場に響き、ようやく「魔神?」という小声と共に、騒然となりだした。


「綾香お姉さま。これは、やられたのじゃ。一気に情報を流す事で、新たな組織に正当性を持たせる手なのじゃ」


 電話から聞こえるひなの声。

 それはひどく震えており、これから起きる事に対して不安を感じさせた。


「もう……」


 わたしは思わず呟く。


「わたしでは『斬れない』様になっちゃった」


  ◆ ◇ ◆ ◇


「綾香さん。少しお話があります。ひなさんと一緒に当家にまた来て下さいませ」


「……あのニュースの件ね」


 結衣から、再びわたし達は呼ばれた。


「母さまも、今回の動きに驚いておるのじゃ。せっかく警視庁の再起動を準備しておったのに。ここしばらくは家にも帰って来ぬのじゃ」


「警察機構も、上から動くなと言われて困っていたでしょうね。東京都の治安維持は帝都安全保障庁で行うって言われましたら」


「アタシの家でも大騒ぎしているよ。店の売り上げが激減してるって」


 前も集まった応接室にて話し合いが行われる。

 今回も盗聴対策は万全だ。


 ……わたしはともかく、ひなちゃんの周囲には警備の名目で尾行が付いているものね。


「葵さんのご実家はショットバーでしたね。確か、お父さまがカクテル作りの名人バーテンダーと」


「オヤジは昔ながらのバーテンダーだから、女の子とかは雇っていない分、まだなんとかだけどね。アイツらが動き出して夜の街もずいぶんと人が減っちゃったよ」


 葵の家は、お父さまが脱サラをしてカクテルの勉強のために海外渡航。

 技術を学んでお店を始めた。

 お母さまは、自由人な夫に半分呆れながらも、葵や弟を学校に通わせるためにパートタイムで働いていると聞いたことがある。


「そうなのかや。葵お姉さまの家も大変なのじゃな」


「その代わり、街での噂話はよく入ってくるんだ。今回の事も例のフロント企業が『おしぼり』斡旋なんかで飲み屋街に口を出してきてたから」


 わたしも葵から聞いたのだが、昔からヤクザは飲み屋街には「おしぼり」の販売や用心棒という名目で収入を得ていた。

 もちろん、彼らも贔屓の店にはお金を落としていたとも。


「なんでも、右目が機械っぽい義眼で右手に杖ついてた男が若い衆を使って、中国系ヤクザを街から追い払っていたって話。まあ、これ自体は良い話なんだけどね」


「右目が義眼? むむむ、何か引っかかるのじゃ」


「そうだよね、ひなちゃん。あ!? わたしがグレーターデーモンの潰した眼が右側だったわ!」


「右手に杖、ということは左側に麻痺がある可能性がありますわ。目と共に右脳を破壊されていれば、左側に麻痺が起きます。ということで……」


 ……つまり、そいつがグレーターデーモン!


「線が繋がった!」


「後、正体不明でしたフロント企業の役員、奈良原(ないはら) 礼斗(れいと)。彼が『とある』人物の補佐役であるのが分かりましたわ」


「結衣お姉さま。それは、もしや!?」


 結衣の言葉を待ち、他の全員が固唾を呑んだ。


「ええ、お察しの通り。若手与党議員にして、二世議員。初代帝都安全保障庁長官、鷹宮(たかみや) 恒二(こうじ)ですわ」

お読み頂き、ありがとうございます。


面白い、続きが読みたいと思って頂けたなら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけたら、とっても嬉しいです^^


皆様の声援が、作品を書き続ける原動力となります。


なにとぞ、今後とも応援を宜しくお願い致します。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ