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比翼の乙女たち~見えぬ呪いを斬り裂き、因果を断つ女子高生異能剣士と祈りの幼女巫女の現代怪異譚~  作者: GOM


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第41話 切先に映る影

 レーザー盗聴を警戒してか、窓に分厚いカーテンが掛けられた応接室。

 結衣から、これまでの事件の流れと繋がりが話されだす。

 普段のお嬢さまではない。

 冷徹な秘書のようであり、世界の欺瞞に怒る女神のようでもあった。


「実験?」


「ええ。敵なる存在は、多くの『実験』を重ね、実績を積み上げました。出資者に対し宣伝の意味を兼ねて」


 わたしの呟きに答えてくれる結衣。

 いつものほんわかな雰囲気ではなく、冷徹な表情で。


「次の事件。病院でのお話はあまり関係ないですね。しいて言えば事件の原因を作ったVチューバーへの出資者の一つに敵組織があったくらいですね」


「綾香お姉さま、本当に結衣お姉さま達に全部話したのじゃな。まあ、今回はしょうがないのじゃ。此方も誰かに話を聞いて欲しかったのじゃからな」


 ひなは、わたしの顔を見てしょうがないという風に呟く。


「そして、わたくし達全員が出くわしたファーストフード店での強盗事件。あの犯人ですが、綾香さんから聞いた話では人事不省。お話など出来ない様子でした。彼の口座履歴、通信履歴、接触記録を調べましたところ、闇バイトに参加されていたとあります。そこで治験という名目で、なんらかの投薬を成されていた様ですね」


「ちょ! 結衣ちゃん、個人の預金情報なんて、どうやって……」


「此方が母さまから聞いたよりも情報が多いのじゃ!」


 結衣から話されるのは、警察以上に詳しい内容。

 預金・通信情報など、個人が入手していいものではない。


「ゆいっち、前もすごかったけど、今回もやるねぇ」


「おほほほ! とある方にお聞きしましたの。わたくし、大事な人たちの為には手加減しませんですわ」


 お嬢さま風に笑うのだが、悪役令嬢風味が満載。

 もはや手加減無しな様だ。


「さて、彼が接触していた会社ですが、俗にいう暴力団体のフロント企業です。この暴力団体、過去には与党議員ともつながりがあったのではと言われています。フロント企業ですが海外展開も一時行っていて、オレオレ詐欺などに関係していたようですが、昨今は急に規模が大きくなり、国内業務に力を入れています」


「何処まで分かっているのかや、結衣お姉さま?」


 ひなは、もう呆れたという表情だ。


「彼らのフロント企業は複数存在します。強盗犯が接触していた人材派遣会社『ネクサス・ヒューマンサポート』。他に不動産運用会社『アーバンリンク・ホールディングス』。そしてIT開発と資金運用を担う『シグマ・リソース』」


「三社もあるの?」


「ええ、綾香さん。お互いに業務分野を分けて行動しています。このうち、不動産運用会社が廃病院を去年の秋ごろ土地ごと購入しています。事件が表立つ一月ほど前。最初の犠牲者がとじ込まれた時期とほぼ一致しています」


「それは、実に怪しいのじゃ。じゃが、結衣お姉さま。三社が繋がっておると、どうやって分かったのじゃ?」


 結衣の話から色んな事が分かるが、まだ彼らのつながりが見えない。

 お互いに『点』としか、わたしには見えなかった。


「企業の動きってさ、ゆいっちの話だとお金の流れを見れば分かるんだって。後は、会社関係者情報を見たら良いって話」


「この三社ですが……」


 結衣は、わたしたちの顔を見回わして、話す前に一呼吸置く


「会社役員に、同一人物がいますわ。こちらに記載されていますが、奈良原(ないはら) 礼斗(れいと)さんとなっています、彼については、おとう。いえ、わたくしがお話を聞いた方でもどんな人か情報が手に入りませんでした」


 奈良原 礼斗、その名前を聞いた時。

 わたしの中で、何か違和感を感じた。

 普通の日本人の名前のはずなのに。


「むむむ? どこか引っかかる名前なのじゃ」


 ひなも、何かを感じた様だ。


「さて会社情報ですが、銀行情報だけではありませんわ。政府発刊の『官報』や登記情報、データバンク会社の資料から調べられます」


 呆れ驚きまくっているわたし達に、ちゃんと説明してくれる結衣。

 どうやら、彼女の話す情報は公開されているものも多い様だ。


「この辺りは個人でもできますので、投資前には調べると良いですわ、おほほ」


「ゆいっち、普通の女子高校生は投資なんてしないよぉ。FXとかNISAとか聞くけど、興味無いよ」


「此方も、そーいうのは分からんのじゃ」


 簡単げに会社情報がどうのと結衣は話すが、経済関係は素人のわたしには、ちんぷんかんぷん。

 葵もひなも理解不能の様だ。


「そして、最大の事件であります警視庁襲撃事件。この事件において魔神に変貌した犯人ですが、彼らも全員『ネクサス・ヒューマンサポート』から治験の斡旋を受けています」


「なるほど、そういう事なのかや!?」

「ええ、ひなちゃん。彼らは全員、誰かから力を貰ったと話していたわ!」


 そして『点』が『線』に繋がる。

 このところ起きた事件、全てが暴力団体フロント企業に繋がった。


「ですが、何故。ただのフロント企業がここまでの実験を行ったのか。まだ彼らの背後になんらかの黒幕がいるはずです。そこは、もう少しお父さまに聞いてみますわ。あ、今の話は聞かなかった事で……。おほほほ」


 ……やっぱり、結衣ちゃんのお父さまが情報の出どころね。お父さま。厳しい事も多いけど、娘に甘いからねぇ。山の神事件の時も凄かったし。


 わたしは結衣に呆れながらも、敵の姿がおぼろげながらも見えた事で、もやもやしていた気持ちが少しすっきりとした。

お読み頂き、ありがとうございます。


面白い、続きが読みたいと思って頂けたなら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけたら、とっても嬉しいです^^


皆様の声援が、作品を書き続ける原動力となります。


なにとぞ、今後とも応援を宜しくお願い致します。 

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