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比翼の乙女たち~見えぬ呪いを斬り裂き、因果を断つ女子高生異能剣士と祈りの幼女巫女の現代怪異譚~  作者: GOM


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第40話 断てぬ陰謀

「さあ、いらっしゃいませ。我が福沢家へ」


「いつも思うんだけど、豪邸だよねぇ」


「どーして、此方。こんなところに連れてこられたのじゃ?」


 二月も半分過ぎようとしている中の土曜日。

 わたし達は、結衣の家で集まっている。

 これまでの事、今後の事を話し合うために。


「結衣ちゃんの家なら、盗聴も無いって話なんだけどね」


「そ、それは分かるのじゃが? じゃが、結衣お姉さまを巻き込むのはダメなのじゃ!」


「ひなちゃん。そこは気にしなくてもいいわ。わたくし、覚悟はできていますから」


「と、暴走しちゃうんだね、ゆいっちも。あやっち共々暴れん坊だから、アタシがストッパーやっているんだ」


 女三人寄れば(かしま)しいとなるが、四人の乙女が揃った今、結衣の家はとても賑やかだ。


  ◆ ◇ ◆ ◇


 一旦落ち着いて、お茶を飲みながらの話。


「で、どうしてこうなったか。説明はしてくれるのじゃな?」


「ええ、わたくしから説明しますね。ひなちゃん」


 結衣の家。

 代々、大手銀行頭取の一族である名家。

 都内某所の豪邸の一室に、わたし達は集まっている。


「新学期が始まって以降、綾香さんの様子がずっと変でした」


「明らかに無理しちゃっているのが、分かるんだよねぇ。何も言わなかったけど、警視庁の事件で二人が戦ったのは間違いないし」


 由衣と葵から、わたしの学校での様子が話される。

 正直、ひな以外には事件のことを話せる相手がおらず、その上に切れない「敵」の存在を知って、わたしは正直行き詰っていた。

 そんな時、二人から詰問された。


「で、二人から全部話せって言われたの。友達に隠し事は無しだって言い切られちゃった」


「それでも、公務において守秘義務はあるのじゃが」


 わたしが二人に全部話した事を説明するが、ひなの表情は渋い。

 もちろん守秘義務違反なのは承知だが、わたし自身も両親にすら何も言えないのは苦痛だった。


「でも、ずっと綾香さんが誰にも相談できずに悩まれているのを、わたくし見ていられませんでしたわ」


「アタシも黙っていられなかったから、無理やりに聞き出したの。ひなっち、そこは謝る」


「わたしには謝らないんだよね。でも、二人には感謝だよ」


 二人に話す事で、わたしはとても気持ちが楽になった。

 そして、わたしだけでは思いつかなかった事もあった。


「で、一体何を話し合うのじゃ? 此方も、母さまやひいお婆さまには少々聞き込みをしたのじゃが、二人とも口が堅いのじゃ。此方に隠し事をしているのは間違いないのじゃ」


「うふふ。で、ここからがわたくしの出番ですの。財界有数の銀行がどれだけ情報を操るのか、その一端をお見せしますわ。おーほほほ!」


「あー、ゆいっちのスイッチが入っちまった。お嬢さまモードに入ると止まんないからなぁ。前の時も凄かったよねぇ」


 ひなも情報が集まらずに行き詰っていたことを確認し、結衣がいよいよ暴走を始める。

 わたし自身、彼女の暴走を見るのは二回目。

 最初に見たのは中学一年の夏に発生した女性教師イジメ事件。

 まもなく産休に入る若い女性教師に対し、一部男子がからかいを始めた。


  ……思春期突入した男の子にとって、妊婦ってのはまあ色々思うところがあるのかもねぇ。妊娠って、『そういう行為」をした結果だから。


 また何故か女子生徒の一部も一緒になり、女性教師を影ながらイジメ始める。

 そんなこんなで、精神的に不安定になった女性教師は授業中に泣き出してしまった。

 そして産休を早めるという事になり、結衣が動いた。


「あの時は、学校全体が大騒ぎになったからねぇ。でも、一人。いや二人(母子)の人生が助かったんだからOKだよ」


「妊婦さんをイジメるなど言語道断ですわ!」


「何か面白そうな話みたいなのじゃ。時間があるときに、またゆっくり聞きたいのじゃ!」


 結衣が『力』を行使。

 先生をイジメていた子たちは親子ともども青くなり、一部は逃げるように転校。

 イジメを黙って放置していた校長、教育委員会も人員総とっかえになったのは、記憶にも新しい。


 ……今でも年賀状で、先生とお子さまの幸せそうな写真が送られてくるのは良かったわ。


「ええ、平和になったらゆっくりお話しますわ。さて、今回ですが綾香さんがおっしゃっていた『点』。残念ながら繋がってしまいました」


「……やっぱり」

「一体、どういう事なのじゃ? 詳しく話してほしいのじゃ」


 わたしが危惧していた事。

 ここ最近起きた怪異事件が全て繋がっているのではないか。

 予感でしか無かった事が、現実になった。


「では、今からお話します。資料をお配りしますが、これはここだけの物。終わり次第シュレッダーに掛けて処分しますので、ちゃんと記憶していてくださいませ」


 結衣は、束ねていた紙をわたし達に配る。

 そして優雅に茶を口に含んだ後、お嬢さま風だった口調を改め、凄腕秘書の様に話し出した。


  ◆ ◇ ◆ ◇


「まず最初は、廃病院怪異事件。異界からの脅威が現れましたが、普通あのようなモノが現れないのは、ひなちゃんならご存じですよね」


「うむ。異界との扉を開かねば現れる筈も無いし、現れようとも何らかの『器』を与えねば存在できぬ。それこそ、星振が正しき刻限。星の位置が特定の場所に並んだ際に、召喚せねば顕現せぬ」


 結衣は、わたしとゆいが最初に共闘した廃病院事件から話し出す。

 わたしはオカルトには、そこまで詳しくはないが、結衣の言うように簡単に異界のモノが現れるのは不自然だ。


「ゆいっち。案外とオカルトにも詳しいんだよねぇ。アタシはちんぷんかんぷんだよ」


「うふふ。一度襲われますと、対処方法も考えます為に勉強致しますのよ。ということで、誰かが故意にあの廃病院を『器』にして魔神を召喚なさった訳ですわ」


「うむ。此方や本家筋もそこまでは意見が一致しておったのじゃ。誰が召喚したまでは分からぬままじゃったが」


「でも、誰が何の目的でそんな事をしたのかしら?」


 結衣やひなの考えによれば、魔神を意図的に呼び出した存在がある。

 だが「敵」の目的が、わたしには思いつかない。


「実験、なのでしょうね。この後の『点』も基本は壮大な実験の一部と思われますわ」

お読み頂き、ありがとうございます。


面白い、続きが読みたいと思って頂けたなら、『ブックマーク』と広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけたら、とっても嬉しいです^^


皆様の声援が、作品を書き続ける原動力となります。


なにとぞ、今後とも応援を宜しくお願い致します。 

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