第13話 フレンズ.2
食堂、花月堂はなかなか繁盛していた。席の8割が埋まっている。さすがこの大学1、人気の食堂だけある。
NWCの襲撃から1ヶ月しか経っていないが来る人は大学に来るのだなとも思った。まあ、この東京東大学が総合大学ということもあるかもしれないが。
アオイとカンジはそれぞれ食券を買って厨房前の列に並んだ。二人とも今日はカツカレーだった。
少し時間が経つと、彼らの番になった。
「あら! 梯くんと朝比奈くんじゃない!
よくきてくれたねぇ〜 いつものお礼だよ、これはサービス!」
そう言って食堂のおばちゃんはアオイとカンジにカツを余分にもう一個くれた。元気で明るい彼女がいるのもこの花月堂が人気の理由だ。
カンジとアオイはこの食堂の食材運搬などをよく手伝うのだ。
「あ、ありがとうございます。」
「へへへ、いつもありがとな、おばちゃん!」
二人は礼を言ってカツカレーを受け取ると席を探しはじめた。
なんとか4人席を見つけ、アオイとカンジは座った。広々と使えてなかなかいい。
2人の空腹も限界だったので、席に着くとすぐに食べ始めた。
サクッといい歯切れのいい音が響く。
「うめぇ、やっぱいつ食べてもここのカツカレーは最高だ!」
夢中でカンジはカレーとカツを口にかき込んでいる。アオイもだ。サクサクの衣と肉汁が溢れる中身、理想のトンカツだ。それにカツを包むカレーもまた絶品だ。
そんな至福のひと時を人一倍彼らは楽しめるのだ。ボランティアではないが、人助けは素晴らしいとまで思った。
「うん、うまい。」
アオイもご満悦のようだ。
「お、おまえ、カツ残してんじゃねぇか。
いらねぇんだったらもらうぞ〜。」
カンジのスプーンが伸びヒョイとアオイのカツを奪った。
「あ、おい!
最後の楽しみにとっておいたのに、、、」
「、、、相変わらず仲良いね。」
2人が騒いでいると第3の声が後ろから響いた。彼らは振り向いた。そこには2人の女の子がいた。
「お、アカリ!ユイもいるじゃねぇか!」
カンジは2人をそう呼んだ。左にいるのが、赤に近い茶髪のロングを後ろでまとめた髪と大きな丸目が特徴の白石 明梨である。そして、右にいるのが、青色ショートの髪、少し垂れた優しそうな目が天然感を醸し出している永野 結衣である。まぁ実際は天然ではないのだが。
2人とも手には昼食を持っている。
「席空いてないし、相席いい〜?」
ユイはのんびりとした声で言った。
「おう、いいぜ。」
カンジは快諾し、4人の昼食が始まった。
「この4人で集まるのも久しぶりだね!」
アカリはうどんをすすりながらそう言った。口はもぐもぐと動いている。
「こらこら行儀悪いよ〜」
ユイはそんなアカリをのほほん口調で注意した。彼女はアカリと違ってお嬢様かというほど上品に食べている。
「確かにこうして集まるのは久々だね〜
元気してた〜?」
「おう」
「うん、まあね。
1ヶ月ぶりかな?復興活動中は会わなかったもんね。」
確かに復興中は彼女たちには合わなかった。担当作業が男女で分かれていたせいであろうか。
「まあ、みんな無事で良かったよ!」
アカリは再開が嬉しいのかニッコリ笑ってそう言った。
アオイ、カンジ、アカリ、ユイはよく集まるメンバー、俗に言ういつメンというやつだ。
大学1年生の時の一般教養の授業で作ったグループで知り合ったメンバーだ。何故こんな長く仲良く続いているかは本人たちもわかっていないが、よく遊びに行ったりなんかもする。何というかちょうどよくて居心地がいいのだ。
今日もいつものように話しながら楽しく昼食をとっている。だが、アオイに限ってはどこか上の空といった感じであった。
「あ、そろそろ時間だな。
俺ら次講義入ってるからそろそろ行くわ。」
「そうだね、行こう。
じゃあ、またね!」
アオイとカンジは席を立って食器を戻しに行った。
「うん、また!」
「じゃあね〜」
ユイとアカリはもう少しゆっくりしていくらしい。2人でおしゃべりを始めた。
ユイは眉を少しだけひそめて、食堂を後にするアオイの方を見ていた。




