第12話 フレンズ.1
肩を叩かれた。トントンという軽やかなものではなく掴むようにガシガシと。意識は現実に引っ張られ、戻ってくる。あいつだな、と叩かれた彼は思った。
「おい、アオイ、講義終わったぞ。何寝てんだ。」
なんというか、芯のあるような低い声だなとアオイは変に分析しながらむくりと顔を上げ、彼の方を見た。
どこかの戦闘民族を彷彿させるような目立つ金色とツンツン尖った髪、割と威圧感ある鋭い目、身長はアオイとどっこいどっこいの友人ーーー朝比奈 寛司がそこに立っていた。
「あ、あぁ、終わったのか、、、」
起きたてのアオイは寝ぼけた声と様子でそう答えた。
「珍しいな、お前が講義寝るなんてよぉ〜。俺でも寝てなかったぞ。」
「考え事してたら寝てたみたい。
、、、お前はいっつも寝てるよな。試験どうなってもしらないよ?」
「うおお、それは困る!
またいつもみたいにノート見せてくれ!!」
慌てふためくカンジをアオイは笑って見せた。
ふと、カンジは真面目な表情になって、アオイに聞いた。
「それより、考え事って悩みか?
ずっと今日ぼーっとしてるじゃねぇか。」
カンジなりになにかを察したのかもしれない。神妙な面持ちになっている。
「そんな大したことじゃないし大丈夫だよ。」
なんとかアオイはそう答え、ぎこちなく笑って見せた。どこか心ここに在らずと言った感じで。
「、、、やっぱ1ヶ月前のことか?
まあ、無理もねぇよなぁ、あんな怪物にマジで追いかけられたなんて。」
彼なりの推測した答えだったのだろう。さらにカンジは真面目な表情を見せる。いつも明るく笑っているせいか、少し暗くも見えた。
1ヶ月前のこととは、アオイがヒナミを助けるためにNWCに追われたことである。
あのあと、ヒナミとアオイは黄金のバラの戦士たちに運ばれ、気がつくとシェルター内の医務室のベッドの上にいた。どうやらアオイは4、5日ほど眠っていたようで、すでにNWCによる襲撃は終わり、復興活動が始まっていた。ヒナミはというと、運ばれてからすぐに目を覚まし両親に無事に届けられたと言うことであった。
その両親が礼を言っていたぞと医者の先生は言った。ヒナミが無事でよかったとアオイは胸をなでおろした。
それから簡単に健康状態をチェックされ、問題なしということでアオイも復興活動に参加した。瓦礫の撤去や清掃などしているうちに彼はカンジ含む大学の友人と再会したのであった。
それから1ヶ月経ってから復興の目処が立ちそうということで、大学が昨日から再開しのであった。流石は現代のテクノロジーといったところだ。
変わったことといえば、アオイがずっと考え込むようになったことである。1日のほとんどをぼーっと考えて過ごす、そんな風になっていた。普段から悩むことない彼であったため、NWCへの恐怖がトラウマになったように見えたのかもしれない。
「、、、まあ、大丈夫だよ!
つーか、おまえそんな真面目顔すんなよ、似合わないよ」
アオイは努めて、いつものように明るく振る舞って、カンジをいじった。
「うっせ! せっかく心配してやったのによ。ま、なんかあったら言えよ、相談くらい乗ってやるからよ。」
カンジはそれに答えてしししと歯をのぞかせた。
「ありがとな。」
アオイも微笑んで見せた。そして、
ぐぅ〜〜〜
二人のお腹が同時に鳴り、空腹を伝えた。それが可笑しくってしょうもなくって二人は笑いあった。
こんな日常が続けばいいのにーーーアオイの頭にそんな考えがよぎった。
そして二人は食堂に向けて歩き出した。




