第11話 NEM&NWC.2
合計死傷者10億人以上、行方不明者数15億人以上。想像を絶するほど多くの人間がなくなった。建物は崩れ、燃え、都市や国は崩壊した。突然の出来事だった。誰しもがそれに絶望し、恐怖し、その果てに死んで行った。かつて都市だったところはすでに地獄の焦土と化していた。
腐臭が漂い、血が滴る。コゲた臭いは充満し、煙は天高くまで広がり空を覆った。光が差すことはなく、どこまでも果てしなく暗黒が広がっている。存在する明かりといえば世界を燃やす炎だけ。世界の終焉のような光景だった。
そして、この大災害の元凶こそがアオイを襲った怪物ーーー通称”NWC”であった。
NWCは突如として世界各地に現れ、人類を殺し始めた。もちろん人類も殺されまいと抵抗した。だが、彼らの文明の利器は全くと言っていいほど通用しなかったのだ。硬くしなやかな奴らの体表は、容易に銃弾や刃物、果てはミサイルまでも弾いた。大小様々な奴らによって人類はなすすべなく蹂躙されたのであった。
この人類史上最悪の出来事はのちにこう呼ばれた。”新刻の羅刹”と。
それから数年が経ち、NWCの行動は穏やかになった。あれほどまで人類を殺戮し、世界中を闊歩していた奴らが忽然と姿を消したのだ。それは恐怖に怯えていた人類にとってまさに天からの救済と感じられるものであった。だが、彼ら同時に戸惑いを抱いたのも事実であった。
そんな複雑な感情を抱いたまま、人類の復興が始まった。幸い、NEM加工の技術を持った人々が生き残っており、十数年ほどで人類は元の生活を取り戻したのであった。ちょうどアオイのような青年が大学で学べるほどに人類は復興したのであった。だが彼らの心にあるNWCへの恐怖は消えることはなかった。




