14話 クセの強いのヒロイン
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昼飯を食べ終えたハジメは、店の外に出て大きく伸びをした。
「……よし」
空を見上げる。
「ヒロイン探すか」
冷静に考えて、おかしい。
(いやなんだよヒロイン探すって)
自分で言っておいてツッコむ。
(普通、勝手に出てくるもんだろ)
そういうものだ。
助けるとか、ぶつかるとか、転ぶとか。
なんなら向こうから自動的にやって来るものじゃないのか。
なんで能動的に探してんだ俺。
意味が分からない。
「……いやでも」
腕を組む。
いないと困るだろ。
物語的に。
男1人の物語なんて誰も興味ないだろ。
このままだと俺、ずっと泥とゴブリン相手だぞ?
「……地味すぎる」
即却下。
(可愛い可愛い女の子探してみせる!)
「この展開に関して、俺は悪くない」
急に責任転嫁が始まる。
「だって最近の異世界転生作品、ヒロイン出てくるの早すぎるだろ」
誰に言ってるのか分からないが、言い切る。
「1話か2話でだいたい出てくるじゃん」
早い。
とにかく早い。
「なんなら転生した瞬間横にいるとかあるぞ?」
意味が分からない。
「……そう考えると俺遅くね?」
今、14話である。
「いや遅いだろ」
確信した。
「これは完全に世界のバグだな」
自分は悪くない。
「うん、俺は悪くない」
大事なので二回言った。
「……で、どうやって探す?」
現実に戻る。
(いや方法よ)
考える。
「……困ってる女の子を探す?」
テンプレ。
(でもそんな都合よくいるか?)
「わざと困らせて、ヒーロー演じる?」
(いやアホすぎるか。演技はちょっとしんどい)
キョロキョロする。
……いない。
「……だよな、やっぱ困ってる子いないよな」
世の中そんな甘くない。
「じゃあぶつかる?」
(いや狙ってぶつかるのヤバいやつだろ)
下手したら痴漢になる可能性もあるし…
却下。
「……詰んだな」
ヒロイン探し、難易度が高すぎる。
とぼとぼ歩く。
「……もういいか」
(自然に任せるか)
その時だった。
(……あ)
すれ違う直前。
視界の端に入る。
黒髪の少女。
一瞬、思考が止まる。
(ちょ待て)
(めっちゃ可愛くね?)
思わず視線が固定される。
(いや可愛いな!?顔整いすぎだろ
大きな二重の目に、高い鼻。
彫刻か女優でしか見た事のない横顔の綺麗さ。
(ヒロインじゃね?)
完全に立ち止まりかける。
(……やば)
(見すぎた)
目が合う。
数秒。
ガッツリ。
(あ、これアウトだ)
慌てて視線を逸らす。
そのまま通り過ぎる。
(……今の完全にジロジロ見てたな)
(やっちまった)
「おい」
後ろから声がした。
「……あ?」
振り向く。
さっきの少女が、じっとこちらを見ている。
「……あのさ」
腕を組みながら、ゆっくり口を開く。
「なんでさっきからガン見してた?」
「あ…えっと…見てないけど?」
即答。
(いや見てた。めっちゃ見てた)
(数秒止まってたレベルで見てた)
(完全に俺が悪い)
「は?」
少女の目が細くなる。
「嘘つくなよ」
「……すいませんでした」
秒で折れた。
(だってめっちゃ怖いんだもん…)
「最初からそう言え」
「はい……」
少しの沈黙。
「で?」
少女が続ける。
「何で見てた?」
「いや……その……」
一瞬迷う。
(どうする、正直に言うか?)
(うん!ここは漢として言おう!)
「……顔」
「は?」
「可愛いなって思って……」
「は???」
空気が一変した。
ダジャレが滑って、ヒューンと風が吹くシーンを想像してしまう。
「お前それ普通初対面で言うか?」
「すいません!!」
即謝罪。
(なんだこの人…物凄く怖いんですけど!!!)
(初対面でも言ってもよくないか!?セクハラになるのか?でもちゃんと反論すべきだこれは)
「でも…可愛いかったから初対面で…」
「あ???言い訳か?」
最後までしゃべらせてくれなかった。
(なんでこんな怖いんだ!ヒロインってもっとふわふわしてない?)
理想と現実の差が激しい。
「で?」
少女はさらに詰めてくる。
「ナンパ?」
「違う!!」
全力否定。
(ナンパではない。ヒロイン探しであるのだ)
「じゃあ何」
「……ヒロイン探してた」
「は?」
完全に止まる。
「……もう一回言え」
「ヒロイン探してました」
「バカか?」
「正論やめろ!!」
「意味わかんねぇんだけど」
「俺もだよ!!」
(やっぱつっこまれたじゃないか!バカ正直に言うものじゃなかったな)
「ヒロインってなんだよ」
「いや物語的に必要だろ!!」
「知らねぇよ!!物語ってなんだよ!」
周りの通行人がチラチラ見ている。
(なんか恥ずかしくなってきた)
「……はぁ」
少女がため息をつく。
「お前さ」
「はい」
「弱いだろ」
「うっ」
(これこそ初対面で言うべきじゃないだろ!!)
「見た目で分かる」
「やめろ」
普通に傷つく。
「まあいいや」
少女が興味なさそうに言う。
「ちょうど退屈してたし」
めっちゃ嫌な予感してきたんですけど!
「おい」
「はい?」
「ちょっと付き合え」
「え?」
「いいから来い」
ぐいっと腕を掴まれる。
「ちょ、待っ——」
「いいから」
「いや説明を——」
「あとで」
そのまま引っ張られる。
(え、なにこれ?めっちゃ嫌なんですけど!)
(これまさかヒロインイベント?)
「逃げんなよ」
「逃げてねぇよ!!」
(逃げようにも掴む力強いから逃げれないのだが!)
ズルズルと引きずられながら。
ハジメは思った。
(もしヒロインイベントだとして……ヒロインってこんな強引だったっけ)
だが、嫌がってるハジメには申し訳ないが
これが、彼の初めてのヒロインとの出会いだった
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