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無双したくて異世界転生したらステータス全部1だったので努力で最強になる  作者: 月城リク


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13話 最弱、ヒロインがいないことに気づく

読んでいただきありがとうございます。

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森を抜け、街の門が見えた瞬間。


「……生きて帰ってきた」


ハジメは小さく呟いた。


(いやマジで)


ゴブリン三体。


しかも親子。


(普通に死ぬ可能性あったよな)


思い出すと、背筋が少し寒くなる。


(まあ勝ったけど!)


しかも


(勝ち方がな〜今思い出しても酷すぎるよな)


一瞬、遠い目になる。


(……うん)


「言わんとこ」


ギルドの扉を開ける。


ギィ、と音が鳴る。


中は相変わらず賑わっていた。


だが。


「……あ」


何人かの視線がこちらに向く。


「昨日のやつじゃね?」


「スライムの……」


ヒソヒソ声。


(またかよ!その流れは一回でいいんだよ、2回目は面白くないぞ〜)


軽くため息。


(なんで毎回バレてんの)


今日初めて見る顔の人もこっちを見ながらヒソヒソ話してる。


情報の回りが早すぎる。


(このギルド、情報網どうなってんだよ)


ほぼSNSである。


「おかえりなさい、ハジメさん」


受付嬢が、にこやかに声をかけてきた。


「どうも……」


軽く手を上げる。


もちろん勝ち誇った顔で。


「今日は……ゴブリン討伐、でしたよね?」


(顔には触れてこないんかい!)


「はい」


少しだけ間を置く。


「……終わりました」


「……え?」


受付嬢の動きが止まった。


「え?」


なぜかハジメも聞き返す。


「……え?」


なぜかもう一度言われる。


「いや終わりましたけど」


受付嬢が戸惑いながら言う。


「え、もうですか?」


「はい」


「え、今日出発して……?」


「はいさっき倒してきました。」


「え???」


完全に理解が追いついていない。


(なんだこの間)


てかなんでこんなに戸惑ってるんだ?


妙な沈黙が流れる。


「……あの」


受付嬢が少し身を乗り出す。


「本当に、ゴブリン討伐……ですか?」


「はい」


(え????なになに???よくわからない状況なんですけど?!!)


「スライムじゃなくて?」


「いやゴブリンです」


(まって!このやり取り凄くイライラするんですけども!)

「……一体?」


「三体です」


「……は?」


素の声が出た。


(あ、今“は?”って言った)


「……えっと」


受付嬢は一度深呼吸をした。


「確認しますね?」


「どうぞ」


「ゴブリンを、三体、討伐?」


「はい」


「お一人で?」


「はい」


「……本当に?」


(さすがにストレス溜まってきたな。一旦ちゃんと言うか)


「なんでそんな疑うんですか」


言ってやった。


「いや、だって……」


受付嬢が困ったように笑う。


「ハジメさん、まだレベルも低いですし……」


「……」


「正直、帰ってこないかもしれないって、少し思ってました」


「え」


思わず固まる。


「ひどすぎません!?帰ってこないと思いながら行かせたんですか?!」


受付嬢は罰が悪そうな顔で答える。


「実はハジメさんが出発したあと、ゴブリンが増えてるって知らせが来てたんです。だから多分終わったなと思っちゃいまして…」


「え、マジで?」


「マジです」


即答だった。


「それだったら早く呼び戻してくださいよ!」


「ほんとにすみません!」


(まあ、許してやろう。生きてるし)


「それはともかく大変でした」


「そうですよね…でも普通、無理ですよ?」


「ですよね」


即同意。


「……え?」


受付嬢が固まる。


「いや俺もそう思います」


めちゃくちゃ正直。


「いや無理でしたよ普通に」


「え?」


「無理でした」


「え???」


会話が進まない。


(なんだこの空間)


「3体なんて聞いてないですし、もう死んだと思いましたよ」

 

「えっと……じゃあどうやって……?」


聞かれる。


(来たな)


ハジメの中で警報が鳴る。


(ここで言うか?疑われるのも嫌だしな)


落とし穴。


上から突き。


(……いや。やっぱ言えない)


「……企業秘密で」


ドヤ顔で言った。


魔王倒して来ました!くらいのドヤ顔で


「企業……?」


「秘密です」


「いや個人ですよね?」


「秘密です」


押し切った。


(危なかった)


あれは言えない。


(絶対引かれる)


「……まあ」


受付嬢は少し考えたあと、頷いた。


「討伐証明は……持ってますか?」


「え」


一瞬止まる。


(討伐証明?)


「えっと……」


思い出す。


(あ、そういやいるのか。スライムの時も素材持っていったもんな)


完全に忘れていた。


「……ないです」


「え?」


「ないです」


「え???」


またこれである。


え??しか言えないのかこの子は!


「いやあの……普通は部位とか持ってくるんですけど」


ですよね〜


(初めて聞きました風に答えるか)


「マジですか」


「マジです」


「知らなかったです」


「いや。スライムの時は持って来てたじゃないですかあー!なに平然と嘘ついてるんですかあ!」


普通にバレた。


「バレてたらしょうがないですね。たまにはこんな日もありますよね〜」


「ハジメさんが言うセリフじゃないです!てか何言ってるんですか!」


自分でも何言ってるかは分かりません。


「……ただ」


受付嬢は少し考える。


「ハジメさんの場合……」


ちらっと周りを見る。


(今なんで周り見た?)


「まあ、嘘はつかないと思いますし」


「信用されてる?」


「微妙なラインです」


「微妙かよ」


「今回は特別に、討伐完了として処理しますね」


「マジですか!」


一気にテンションが上がる。


「ただし次からはちゃんと証明を」


「はい!!」


元気よく返事。


返事は1番大事だ。


(危なかった……最後の返事で乗り切ったと言っても過言だはない)


「では報酬を」


受付嬢が袋を差し出す。


「おお……」


受け取る。


ずしっとした重み。


「これ……結構入ってません?」


「ゴブリン三体分ですから」


「……すげぇ」


素直に感動。


(スライムと全然違うじゃん)


これはデカい。


「ありがとうございます!」


深く頭を下げる。


「いえいえ」


受付嬢が微笑む。


「……あまり無茶はしないでくださいね?」


「はい」


一瞬だけ目を逸らした。


(めちゃくちゃ無茶したけどな)


ギルドを出る。


「……腹減った」


ぽつりと呟く。


(そういや朝から何も食ってねぇ)


(これはもう……)


「飯だな」


適当に入った店。


肉とパンという店名


(なんて名前してんだ。適当にとりあえず付けましたって感じだな。


(お客さんはカップルっぽいの2組か)


とりあえず座って注文する。


メニューを見るが…


(肉がない!パンしかねぇじゃねぇか!!)


結局クロワッサンみたいな形のパンを注文した。


「うまっ……」


一口で感動した。


「完全にクロワッサンの味だ」


(あとこれ異世界補正入ってるだろ)


やたら美味い。


もぐもぐ食べる。


(いいなこれ……)


報酬で食べる飯。


(最高じゃん)


少しだけ、満たされた気持ちになる。


ふと、横を見るとカップルが楽しそうに話してる。


「……あれ?」


手が止まる。


違和感。


(何か足りなくね?)


考える。


異世界。


冒険者。


成長。


(……あ)


気づいた。


「ヒロインいなくね?!」


声に出た。


カップル2組が一瞬こちらを見る。


「……いや」


冷静に考える。


(普通いるだろ)


こういうの。


テンプレで絶対可愛い女の子いるじゃん。


(助けた女の子とか路地裏で助けた女の子とかとりあえず助けた女の子とか)


思い返す。


スライム。


泥。


穴。


「……ゴブリンしかいねぇ」


最悪である。


(いやいやいや)


首を振る。


「これはおかしい」


明らかにおかしい。


「どっかでフラグ立ててないとダメだろ普通」


(このままだとどうなる?)


一人。


ずっと。


泥と戦う。


「……地味すぎるだろ」


致命的である。


「……よし」


パンをかじりながら、決意する。


「ヒロイン探そう」


急に方向性が変わった。


(いや必要だろこれは)


納得している。


「次の目標それでいいな」


レベル上げでも金でもない。


ヒロイン。


「……うん」


満足げに頷く。


「完璧だな。完璧な目標だ」


何が完璧なのかは分からない。


ハジメの中では、確かに新しい目標が生まれた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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