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無双したくて異世界転生したらステータス全部1だったので努力で最強になる  作者: 月城リク


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12/16

12話 最弱、誰にも言えない勝ち方をしちゃう

読んでいただきありがとうございます。

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穴の縁に立ちながら、ハジメはゆっくりと息を整えていた。


目の前には、自分が掘った落とし穴。


そしてその中には、先ほど見事に落ちていった親ゴブリンが二体、もがくようにしてこちらを見上げている。


思っていた以上に深く、そして思っていた以上に効果的だった。


「……いや、これすごくない?」


思わず口から本音が漏れる。


(俺、めっちゃ頭いいんじゃね?)


一瞬だけ調子に乗る。


だがすぐに現実を見る。


(いや違うな。正面で勝てないからこうなっただけだな)


冷静な自己評価だった。


ゴブリンたちは穴の中で暴れているが、うまく登ることができない。


壁は崩れやすく、足場が安定しないのだ。


それと、手を伸ばしても穴の縁に手が届かないくらいの深さ掘ってるってのもある。


(よし……これで二体は処理できる)


問題は——


残り一体。


「……お前な」


視線の先、穴の外。


子供のゴブリンが、じっとこちらを睨んでいる。


先ほどの流れで、親二体は見事に落ちた。


だがこの一体だけは、穴の直前で止まり、完全に警戒している。


(賢すぎるだろ)


思わずため息が出る。


(なんでこいつだけ急にIQ上がってんだよ)


しかも、さっきは石まで投げてきた。


(遠距離攻撃とか聞いてねぇぞ)


完全に想定外。


だが。


(逆に言えば……)


ハジメは少しだけ口元を緩める。


(こっちに来させれば勝ちだよな)


穴に落とせば終わり。


シンプルな結論。


「……よし」


小さく呟く。


「来いよ」


手招きする。


「ギィ……」


警戒したまま、動かない。


「いや来いって」


もう一度手招き。


「ギィィ!」


石が飛んできた。


「うわっ!?」


避ける。


「いやだからそれやめろって!!」


普通に痛い。


てかめっちゃ痛い。


(どうする……)


少し考える。


そして——


「……あ」


ひらめく。


足元の泥を拾って軽く握る。


(これでいいか)


そして。


「ほらよ」


振りかぶって本気で投げた。


「ギィ!?」


顔面ヒット。


「よし当たった!」


思ったよりきれいに決まった。


「どうだ、泥だぞ」


なぜかちょっと誇らしい。


「ギィィィ!!」


めっちゃ怒り出した。


「だよな!!」


分かってた。


だって子供だもの。


子供ゴブリンが突っ込んでくる。


「よし来い来い!!」


ハジメは穴のギリギリまで引きつける。


(ここだ……)


距離が詰まる。


(今!!)


数メートル下がる。


子供ゴブリンはそのまま


ズドンッ!!


「よっしゃああああ!!」


見事に落ちた。


「いや完璧すぎるだろ今の!!」


自分で拍手したいレベル。


(俺、才能あるんじゃね?罠の)


方向性がだいぶズレている。


そして穴の中。


三体のゴブリンが、もがきながらこちらを見上げている。


親二体は怒りを露わにし、子供は泥まみれで叫んでいる。


「……」


ハジメは、しばらくその光景を黙って見ていた。


(……これさ)


ゆっくりと考える。


(俺、完全に一方的じゃね?)


反撃の余地はない。


上から槍で突けば、それで終わる。


(いやまあ、さっきまで殺されかけてたんだけどさ)


事実ではある。


(でもなんかこう……)


微妙な気持ちになる。


(めっちゃ悪いことしてる感あるな)


正直な感想だった。


ゴブリンたちは、必死に這い上がろうとしている。


だが、そのたびに土が崩れ、また落ちる。


(……うん)


ハジメは小さく息を吐いた。


「……ごめん」


誰に向けた言葉か分からないまま、そう呟く。


そして。


槍を構えた。


「……でも、やるしかねぇんだよな」


生きるために。


依頼を達成するために。


自分が、死なないために。


それからの光景は…


語るべきではない。


……と、言いたいところだが。


「いや無理だろこれ!!」


ハジメは思わずツッコんだ。


「完全に一方的じゃねぇか!!」


語らずとも勘でどれだけ酷い事してるかバレてしまう。


穴の中で手を伸ばしてくるゴブリンたち。


「いやお前らさっきまでめっちゃ強かったじゃん!!」


立場逆転がえぐい。


「ちょ、待て待てその顔やめろ!!」


妙に哀れっぽく見えるのが腹立つ。


「俺が悪者みたいになってんじゃねぇか!!」


いや実際そうなのだが。


客観的に見たらめっちゃ悪者なんだが。


(よし!覚悟を決めた!)


「……ええい!!」


ブスッ。


父ゴブリンがものすごい声で痛がる。


「うわぁぁぁってなるのやめろ!!」


ブスッ。


「だからリアクションいいんだよ!!」


ブスッ。


「やりづれぇ!!」


めちゃくちゃやりづらい。


(なんだこれ、精神削られるんだけど)


だが手は止めない。


「ごめん!!でもやる!!」


ブスッ。


母ゴブリン絶叫。


「だから謝ってるだろ!!」


ブスッ。


……。


やがて。


動きは止まった。


静寂。


木々のざわめきが綺麗に聞こえる。


「……終わった」


ぽつりと呟く。


「……これは」


少し考えてから。


「……誰にも言わんとこ」


即決だった。


「絶対言わん」


(閲覧注意どころじゃねぇわ。モザイクあっても全然だめだわ)


そのとき。


体に、違和感が走った。


「……あれ?」


ふわっと、何かが抜けるような感覚。


そして同時に


内側から、力が湧き上がる。


そして——



【レベルが上がりました】

【レベル10になりました】

【筋力が上昇しました】

【体力が上昇しました】

【敏捷が上昇しました】

【スキルを習得しました】



「来た来た来た来た!!」


(ついに来たぞ!!)


そして、意識を向ける。


【ステータス】


名前:ハジメ

レベル:10


筋力:10

体力:10

敏捷:10

魔法:6


スキル:

・土操作 Lv1



「……土操作?」


一瞬止まる。


「……いや地味!!」


即ツッコミ。


「いやもっとこう……火とか闇とかあるだろ普通!!」


なぜ土。


「いやまあ……」


少し考える。


穴。


泥。


土。


「……めっちゃ使ってたわ」


納得。


「むしろこれ特化じゃね?誰も持ってないだろこのスキル」


自分の戦い方と完全一致している。


「……当たりか?」


ちょっと嬉しい。


「……まあ」


小さく笑う。


「この勝ち方は、墓まで持ってくけどな」


誰にも言えない秘密を一つ抱えながら。


ハジメはゆっくりと、ギルドへの道を歩き出した

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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