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無双したくて異世界転生したらステータス全部1だったので努力で最強になる  作者: 月城リク


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11話 最弱、過去一の速度で穴を掘る

読んでいただきありがとうございます。

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三方向から迫る気配に囲まれたまま、ハジメは一瞬だけ目を閉じた。


視界に映るのは、前方に立ちはだかる父ゴブリン。


その横に回り込む母ゴブリン。


そして背後には、先ほど自分が刺した子供のゴブリンが、こちらを睨みつけながら低く唸っている。


完全に包囲されていた。


(……詰んだ?)


さっきも思ったその言葉が、もう一度頭に浮かぶ。


逃げ道はない。


正面からぶつかれば力負けは確実。


かといって、このまま何もしなければじわじわと追い詰められる。


(もしかしたら食料になるかも…)


(いや、落ち着け)


呼吸を整える。


(こういう時こそ、冷静に……)


そう思った直後。


「ギィッ!!」


親ゴブリンが踏み込んできた。


「やっぱ、、、無理ぃぃぃぃ!!」


冷静とか無理だった。


(こんな状況で冷静になれるの勇者だけだわ!)


ハジメは反射的に体を捻り、そのまま横へと飛び出した。


地面を転がるようにして包囲の隙間を強引に突破する。


「うおっ、いけた!?」


奇跡的に、わずかな隙間があった。


(今だ!!)


そのまま全力で走る。


本日人生2度目の大ダッシュ。


「ギィィィ!!」


背後から追ってくる音。


(来てる来てる来てる!!)


振り返らない。


絶対に振り返らない。


怖いから。


(てかなんであんな連携取れてんだよ!!)


完全に“狩り”の動きだった。


(あいつら何人か天国に送ってるだろ絶対!)


魔物と言うより、人間を相手にしているような感覚ですらある。


(これ絶対、経験値的におかしいって!!)


「親出てくるなら、ご両親注意って言ってくれよ!」


ぶつぶつ文句を言いながらも、足は止めない。


木々の間をすり抜ける。


枝が腕に当たる。


地面は不安定で、何度も足を取られそうになる。


「うおっ、危なっ!」


それでも転ばない。


転んだら終わりだと本能で理解している。


(どこか……どこか隠れられる場所……!)


必死に周囲を見渡す。


そのとき。


「……あ!」


少し先、茂みが密集している場所が目に入った。


(あそこなら……!)


迷わず飛び込む。


ガサッ!!


体を低くし、そのまま奥へと潜り込む。


息を殺す。


「……」


(走った後に息殺すのは自殺行為ですらあるぞこれ)


(アナタ達のせいでめっちゃ呼吸がしんどいんですけど!?)


鼓動がうるさい。


(頼む……気づくな……)


数十秒後。


ザッ、ザッ、と足音が通り過ぎていく。


「……」


まだ動かない。


確実にいないと分かったら出る。てかそうしたい。


(……行った?)


さらに数十秒待つ。


気配が、遠ざかっていく。


「……はぁぁぁぁぁ」


一気に息を吐いた。


呼吸もしまくった。


「生きた……」


その場に崩れそうになるのを、なんとかこらえる。


(いやマジで死ぬかと思った……)


手が震えている。


(あれ正面でやるやつじゃないって)


今さらだが、完全に無謀だった。


(見栄とか張るもんじゃねぇな……)


深く反省する。


だが。


(……どうする)


問題はまだ終わっていない。


あの親ゴブリン二体と子供一体。


あれを倒さない限り、依頼は達成できない。


(正面は無理)


即答。無理なものは無理だ。


(じゃあどうする?)


少しだけ考える。


そして。


ふと、足元を見る。


柔らかい土。


「……あ」


完璧にひらめいた。


クイズに正解したくらいの気持ちよさがあった。


(掘れるな、これ)


昨日の戦いを思い出す。


き(俺の戦い方って、これだろ)


真正面から戦わない。


地形を使う。


「……よし」


小さく呟く。


「穴、掘るか」


それからのハジメは、完全に別人だった。


「うおおおおおお!!」


無心で掘る。


手で。


槍で。


とにかく掘る。


「速っ!?俺こんな掘れる!?」


自分で驚くレベルのスピードだった。


(なんだこれ、めっちゃ掘れるんだけど!?)


土がどんどん削れる。


掘るたびに、体の動きがスムーズになっていく。


(これレベル上がった影響か!?)


昨日より明らかに身体能力が上がっている。


レベル6でも意外と体感でわかるもんなんだな。


(でも…)


「これ……過去一動いてるわ」


間違いない。


今までで一番体を動かしている。


転生する前もこんなに動かした事はない。


学校の運動会もサボってたタイプだ。


「うおおおお!!」


掘る。


掘る。


とにかく掘る。


数分後。


「……できた」


そこには、大人三体でも余裕で入れる大きさの穴が完成していた。


「いや広っ!!」


自分でツッコむ。


(こんなん落ちたら終わりだろ)


満足げにうなずく。


(よし……あとは誘導だな)


問題はここからだ。


(どうやって連れてくる?)


一瞬考える。


そして


「……叫ぶか」


シンプルすぎる結論。


(だってもう走りたくないもん!)


「……よし」


覚悟を決める。


「おーーーい!!こっちだぞーーー!!」


全力で叫ぶ。


一瞬、静寂。


鳥達は羽ばたいていく。


そして。


ガサッ。


「……来た」


すぐに反応があった。


(やっぱ来るよな!!)


慌てて穴の後ろへと移動する。


(タイミングミスったら終わりだぞこれ)


幸いにもゴブリン側からは、茂みに隠れて穴は見えてなはず、そう思いたい。


心臓がうるさい。


音が近づく。


ガサガサッ!!


「よし……来い……来い……」


身を低くして構える。


そして——


父ゴブリンが飛び出してきた。


「今だ!!」


ハジメは数メートル後ろへ下がる。


父ゴブリンはそのまま突っ込んでくる。


ズドンッ!!


「おおおおお!?」


落ちた。


「マジで落ちた!!」


予想以上にうまくいった。


母ゴブリンと子供ゴブリンからすると、急に視界から父ゴブリンが消えたので目が点になってる。


「ははは!びっくりしただろ!」


その瞬間、


母ゴブリンも突っ込んでくる。


「来い来い来い!!」


再び後ろへ下がる。


ドスンッ!!


「よっしゃあああ!!」


母ゴブリンも落ちた。


だが——


「……あれ?」


子供ゴブリンが、穴の前で止まっていた。


「……賢くね?」


完全に警戒している。


「いやお前さっき叫んでただけだろ!?」


急に知能上がるな。


にらみ合い。


「……」


「……」


(これどうする?)


沈黙が流れる。


だが次の瞬間。


「ギィィィィ!!」


子供ゴブリンが石を拾って投げてきた。


「うわっ!?」


避ける。


(遠距離きた!?)


完全に予想外。


「ちょ、お前それアリ!?」


思わずツッコむ。


だが——


ハジメは、にやりと笑った。


「……いいじゃん」


姑息には姑息で返す。


でも姑息には姑息で返されてるんだけどな。


「やってやるよ」


最弱。


チートなし。


だが——


罠と小細工なら、負ける気がしなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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