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#55 予兆
(まさかまた、女の子をおんぶする日がくるなんて……茉莉、おまえは何を思う?)
ドクンッ!
大きく一度だけ脈打つ爻の心臓──
「……んぐっ!」
「爻さん? どうしました? やっぱり自分で歩きましょうか?」
「い、いえ……あの……よかったら少しだけ、休んでもいいですか?」
あまり人通りのない公園を歩いていた為、都合よくベンチがあってくれた。
「爻さんはここにいてください。私、そこの自販機から、お水買ってきますね」
笑顔で一度頷いた爻は、薄れゆく意識の中、遠ざかる艾を目で追った──
『爻? 爻? ……久しぶりだね。また会いに来たよ』
(この声……お前は……)




