56/113
#54 おんぶ
「爻さん……ごめんなさい。実はあんまりお酒強くなくて……えへへ」
顔を赤らめながら、艾はフラフラとした足取りで歩を進める。
「大丈夫ですか? よかったら……おんぶしましょうか?」
(……何言ってんだ俺っ! 今日は少し酔ったか?)
「……はい」
まさかの返答にコンマ数秒うろたえたが、屈んだ爻の背に、艾はその身をあずけた。
「…………爻さん?」
「なんです?」
「その……重たくないですか?」
「気にすることないですよ。あのまま艾さんが自分の足で歩いて、ケガでもしたら……俺は俺を、責め続けると思いますから」
「……ありがとう」
「えっ? なんです?」
「……なんでもなぁい」
(私のドキドキ……伝わってないといいなぁ)




