26/113
#24 Bitter Rain 1
天から降る最初の一滴が、2人の間に割り込んで暗い地面をさらに濃くする。
「そろそろ帰るか」
「…………うん」
歯切れの悪い返事をする茉莉。
「どうした? 風邪引くぞ?」
数歩先にいる爻は、手を伸ばして茉莉に掴むよう促す。
「茉莉?」
無言で俯く茉莉は、雨とは別の水滴を地面に落とした。
「やだ……やっぱりやだよっ! 私……」
「泣かなくてもいいだろ? まだ帰りたくないのか?」
「違う。違うの……私ね? ────────」
「…………」
(…………)
「なんだよ……それ。ウソ……だろ?」
「ごめんなさい。爻……ごめんなさいっ!」




