41.夏まつり
今年も、祭りの時期が近づいてきた。
「文化課からも、祭りの手伝いを出します。えー、二十名出すのでまずはやりたい者挙手」
朝礼で上野課長からそんな話が飛び出した。
「はい」
「おっ!望月君がまず出てくれた」
「あ、はい、そのつもりでもいるのですが、何をするのでしょうか」
「二日間あるので、十名ずつ分けようと思う。我々は神社周辺の警備や誘導、あとは土曜日に出るなら神輿を担いだりその周辺の雑用もしてもらうぞ」
「神輿担ぎたいです」
「望月君、やる気があって感心、感心!」
「はいはいはーい!俺も同じでー!」
吉野が天高く腕を伸ばした。
「いいねぇ!吉野君も参加してくれ!」
「あ、あのっ!」
明田が戸惑いながら手を挙げた。
「おや、明田君も出てくれるかい?」
「少し確認したいのですが……観光課と一緒に動けたりしますか?」
「うーん……」
上野がパンフレットをパッと開いた。
「スケジュール的には観光課は忙しそうだ。一緒に動いていても別のことをしているだろう。警備は近い所のようだな!」
「わ、私も参加しまーす!」
「土曜日の方は三人決定だな!他は?」
他のメンバーは、子どもが地区の神輿を担ぐから、どうせなら一緒の時間に出てしまおうという者が四人、学生の子がいる者が九人、あとの四人は特段用事の無い者達がじゃんけんをして決めた。
「二日間は私も出るからよろしく!」
上野は終いにそう言った。
朝礼が終わり、席に戻った三人は手に総合パンフレットを持っていた。
上野が打ち合わせで書いたメモが印刷されている。
「神社の周辺を警備するんだね」
「この辺りは、結構色んな種類の屋台が揃ってるんだぞ」
「吉野さん、食い意地張ってますね」
「……?誰が食べ物の屋台だと言いましたかー?」
「……はっ!」
明田は図星と言わんばかりに顔を赤くした。
「明田さんが一本取られるなんて、珍しい」
「いーや、今のは取らせに来たんだ」
「……食い意地は張ってませんが、食べられますかね?絶対お腹空きます……」
「おー、食べても良いぞー!」
明田の後ろに上野が立っていた。
「うえっ!上野課長!」
「明田君、その驚き方は失礼だぞー」
「す、すみませんっ」
「さて、三人は土曜日の参加で、神輿を担ぐのと……明田君は練習に参加してみてからの方が良いかな?」
「はい、そうさせていただきます」
「あの、上野課長一つ聞いても……?」
望月がさり気なく聞いた。
「うん、どうした望月君?」
「毎年文化課はこの辺りの警備ですか?」
「いや、今年はここなんだ。ちょいと上からの提案でな。たまには変えてみようと。今後はローテーションになるかもしれないな」
「そうですか……ありがとうございます」
望月は印刷されたパンフレットに、シャープペンで書かれた印が消しきれていない箇所を見つけていた。




