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怪談集  作者: appipinopi
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15/17

心の誓い

高校卒業の日。

私は親友と桜並木を歩きながら約束をした。

「十年後、必ずここで会おう。」

どちらがどんな人生を歩んでも、この場所だけは忘れない。

そう誓い合い、それぞれの道へ進んだ。


十年後。

約束の日、私は桜並木へ向かった。

約束の時間を過ぎても、親友は来ない。

「忙しいのかな。」

そう思ってスマートフォンを開いた。

すると、母から一本のメッセージが届いていた。

『今日はどこへ行ってるの?』

『高校の友達と約束してたんだ。』

返信すると、すぐに電話がかかってきた。

「……その子の名前、もう一度言って。」

名前を伝えると、母はしばらく黙った。

「あなた、本当に覚えてないの?」

母は震える声で続けた。

「あの子は卒業式の一週間前、交通事故で亡くなったでしょう。」

頭が真っ白になった。

そんなはずはない。

卒業式の日、一緒に写真を撮った。

笑って約束した。

握手もした。

「十年後、ここで。」

その時だった。

桜の花びらが風に舞い、一枚の古びた写真が足元へ落ちた。

拾い上げる。

写っていたのは卒業式の日の私。

その隣には誰もいなかった。

空いているはずの場所に、薄く手形だけが残っている。

写真の裏には、見覚えのない文字が書かれていた。

『約束は守ったよ。次は君の番。』

その瞬間、背後で懐かしい声が聞こえた。

「待ってたよ。」

振り向いた桜並木には、私以外、誰も立っていなかった。


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