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ミリアとコータ  作者: hachikun
宇宙のエージェント研修?
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023-精霊界のひみつ

 精霊女王とローラたちの会話はすんだようだ。

 女王と席を外したミリアとは別に、コータはローラたちに話をきいた。

『どうも精霊女王様は、あたしと息子を辺境の扉の調査に使いたいようでネ』

『辺境の扉?』

【銀河的に言えば、今回のような地方の小さなワームホールですね。

 本来、これらの穴は現地の者が祀り上げたり管理するものらしいのですが】

『なるほど、キール星系に住民なんていないもんな』

 しかも周囲は宇宙空間。

 たしかにファンタジーの住人がホイホイいける場所ではないだろう。

『あれ、でも鳥居っぽいのがあったし開閉するようになってたよね?

 それってつまり、過去にも管理した者がいたってこと?』

 ミリアが入口でしゃべったのはローラが言わせたものだ。

 おそらく開閉用の真言みたいなものだろうとコータは考えていた。

【はい、ですが今は誰もいなくなって久しいようです】

『なるほど』

 そんなことをコータは考えた、その時だった。

『ああそうだ、伝えておくよ』

『え?なに?』

 何事かと思ったコータなのだけど。

『転移先出口はアマルー側ゲートの近くでね。出たらドライブ1回でアマルー領ゲートにつくサね』

『え、早いな!じゃあ退避はどうする?』

『いや、今回はそれができないのサ』

 コータの言葉にローラの映像が首をふった。

『できない?』

『ああ、アマルー領からこっちには出入りできないからネ。残るのはやめときな』

『ちょっとまった、それって、アマルー領から精霊界には出入りできないってこと?』

『そうだよ』

『いやまってくれ、それ初耳なんだけど?』

 コータが驚いていると、ローラが眉をよせた。

『ふうん、やっぱりそうかい』

『え?』

『コータあんた、今まで精霊界に入ったのはオン・ゲストロの勢力圏からだね?』

『……ああ、そういえばそうだね』

 言われてコータは以前のことを思い出す。

 コータは精霊界は嫌いではないが、よく出入りするようになったのはミリアと出会ってからだ。

 そして、その数少ない利用歴は、たしかにアマルー領内ではなかった。

 しかも。

『言われてみれば、一度だけアマルー領から精霊界に入ろうとして、道が開かなかったことがあるよ。

 あの時は単に、隣接世界がたくさんありすぎて精霊界が特定できないのかな、なんて思ってたけど』

『あたしゃもともとゲート以外から出入りできないから、あんたらの感覚はわからんがね。

 けどま、そうだろう。

 で、入ろうとしたのは、どこからだい?』

『ごめん、座標は秘密なんだ。王家の領域だったから』

『よりによってアマルー領のどまんなかかい、そりゃあ無理だろう』

『そうなの?』

『ああ、アマルー領内部はここの精霊界の管轄じゃないんだヨ』

『かんかつ……管轄?精霊界に管轄があるの?』

『その様子だと、女王様にもきいてないんだネ……ってまぁ、それもそうか。普通は知る必要のない情報だしネ』

 フムフムとローラはうなずいた。

『まぁいいだろ、もしあんたに必要なら、その時に女王様が話してくださるだろうさ』

『そういうもの?』

『ああ、そういうものサ。

 とにかくそんなわけなんで、忘れ物はしないようにしときな』

『わかった』

 

 

 

 ■ ■ ■ ■

 

 

 

 有人の恒星間航行用宇宙船としては小さなピアン号であるが、精霊界の風景には充分に大きな船である。

 いつのまにか集まってきた見物人や、それを目当てにやってきた商売人などで浜辺は賑わっている。

 ちゃっかり外に出て、そこのお店でたこ焼きっぽい何かを購入したミリアがそれを袋にいれてもらい、いそいそとピアンに戻ってきた。

 ミリアが戻ってきた背後で昇降ユニットの扉がしまり、そのままユニットごと船内に格納される。

 そして船外に、オン・ゲストロ語と精霊界の言葉で同時にアナウンスが流れた。

 

【本船ピアン号は、移動を開始します。危険ですので、船にあまり近づかないようお願いいたします。ご協力ありがとうございます】

【キメリ・ヤドゥニ・ピアン(船、移動、ピアン)。ポンカッタ、ラドゥア、オフェン(危険退避推奨)。パフーン、パフィ(とってもありがとう)】

 

 音もなく、するすると浮上開始するピアン号。まだ船上にいる鳥などは離れもしない。

 危険といったがスラスター噴射ひとつ全く出さず、重力制御だけでゆっくりと浮き上がるもので、観客たちはオーと珍しげにしつつも、のんびりと見物を続けていた。

 

 船体ひとつぶん上がったところで、その鳥たちも離れていった。

 少したって船は浮上だけでなく、前進を開始した。

【目標ゲート確認、移動開始】

 そういう言葉が流れたかと思うと、するすると音もなくピアン号は加速をはじめ、ゆっくりと、精霊界の浜辺を離れていく。

 ある程度進んだところで、やっと推進機らしいものが動きはじめ、船体を前に押し始めた。

 

 

 

 同じ時。船内。

【出口をターゲットにとらえました。近くに人もいなくなりましたので、加速を開始します】

『ふたりとも席につきな、加速をはじめるよ!』

『りょーかい』

「はーい」

【母さん、こちらの仕事をとらないでください】

『はいはい、わかってるよ息子』

 のどかな雰囲気。

 そもそも精霊界を経由した最大の理由は距離で、話題の出口を使えばアマルー領はもう目の前である。

 やがて視界距離にそれが見えてきた。

 空に大きな丸い輪がある。その中は今はただの空だが。

 今回もミリアが担当のようで、ミリアがいつのまにか手にしていたマイクをもち、入った時と同じアナウンスを開始する。

『あーあー、■■■■■■■■■■■■■■■』

 その聞き取れない言葉が空中に響くと同時に丸い輪の向こうが宇宙に変わった。

『どうでもいいが、なんでミリアが担当なんだ?』

「ん?おもしろいよ?」

『そういう理由かい』

「うん!」

 楽しげなミリアと苦笑するコータ含める大人たち。

 そうしているうちにピアン号は穴に飛び込んでいく──のだが。

 

『!?』

『!?』

【!】

 

 その瞬間、ミリアを除く全員がピクッと反応した。


魔法店主ヨナ・サーワのあだな「おっぱいちゃん」について。


 今となってはセクハラ発言なんですが、実はサーワ嬢の基本設定は大昔からあるもので、悩んだ末にそのまま採用しています。

 一応、以下の理由もあります。

 実は諱の扱い同様、ヨナ自身の生育環境では「おっぱい」という表現は子育て用語であること。つまり、小さい子が使う言葉でしかなくて、ヨナ嬢も「そんなに子供っぽい?それとも胸が大きいとお母さんに見える?」と困惑していたりすること。実際、ミリアがおっぱいに反応した時も、小さい子におっぱい、おっぱい言われたくらいにしか思っていません。

 あと、名付けたのが人間でなく妖精たちであることも一因でしょう。

 あと周囲に少しいる「おっぱい呼びはさすがにまずくないか?」陣営の人は、口頭ではヨナさんと呼んでいます。

 まぁ現代日本なら問題のありそうな呼称なわけですが、そんなわけで、あえて問題にしていません。


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