対大魔王、始動
すみません。大分放置していました。
今ちょっと新作も書いているので、投稿したときはよろしくお願いします。題名すら決まってないんですけどね……
さて、僕は今一条たちと向き合って座っている。「忘却」の魔法を使ってしまってもいいのだけど、僕の頭の片隅にはある情報があった。それは、もうじき本格的に大魔王との戦いが始まるということ。残りの魔王の数を考えても、協力した方が勝算が高い。合理的に考えればそうだ。
しかし!人は必ずしも合理的に動くとは限らない。
「なんの用かな?」
僕は我ながら白々しい質問を吐いた。
「ケヴィンさんから聞いた」
と、一条。
「佐藤から聞いた」
と、清水。
「白沢から聞いた」
と、大山。
「……彼らは口が水素より軽いのかな?」
ケヴィンだけでなく一吾と白沢まで喋っていたとは。僕が何をしたっていうんだ……。僕は早々に合理的な方ち切り替えた。
「じゃあ説明は不要だね。それで今日は何をしに?」
最初は僕を問い詰める為に来たのかと思ったが、そうでもないらしい。全部聞いた上で来ているのだから。
「今になって不安なんだ。俺たち、ちゃんと強いのかって。魔王に勝てるのかって」
「それを聞きに来たの?」
「ああ。お前なら分かるだろ。俺たちは魔王に勝てるのか?」
「一条。その答えは、魔王か君達か、どちらかが死んだ時に初めて出るものだよ。例え何度負けても、最後に立っていた者が勝者だ」
「……そんな真面目なことも言えるんだな」
「失礼な」
僕は若干の照れもあり、席を立った。一条たちはまだ不安な様子だったので、僕はこう言った。
「大丈夫。僕も行く。勇者は君たちだけじゃないよ」
さらに恥ずかしくなったので、僕は来客を放ったまま自室に戻った。
やがて客間から人の気配が消えたのが分かると、僕は手紙を書いた。手紙は二通、一通は国王へ、もう一通は一吾たちへ。国王宛のものは届けてくれるように頼み、一吾たち宛のものは居間に置いておいた。僕は旅支度を整えた。といっても荷物は服くらいだ。食糧は行く途中でなんとかなる。紅雪は召喚できる。今回は鴉は置いていくつもりだ。
僕は部屋の窓を開けると、そこから外へ出た。
ーー→
無事に依頼を終え、家に帰って来た一吾たちは、人気のない家に首を傾げた。
「さっき一条が話したって言ってたけどな」
「出かけたんじゃない?」
白沢は特に気にする様子もなく、椅子に腰かけた。そして何気なく置いてあった手紙を手に取った。
「誰からだ?ラブレターか?」
無神経に問いかける一吾を無言で蹴飛ばし、白沢は手紙を開いた。読み進めていくうちに表情が固くなり、最後にはため息をついた。床で転がっている一吾の目の前に手紙を置くと、白沢は自室に入っていった。
「なんだ?」
一吾は怪訝そうに手紙を見たが、最後まで読まずに立ち上がった。
「水月ッ!馬鹿野郎!」
彼はそう怒鳴ると、壁を殴りつけた。
「くそっ……一人で突っ走りやがって」
手紙にはこうあった。
『君たちがこれを読んでいる頃、僕はもう遠くにいる。追おうと思っても無駄だ。僕が全力で走っているんだから。さて、僕がこんなことを言う理由を話しておこう。
これから大魔王との戦いが始まると思う。ここまで来たら、僕は誰一人死なせる気はない。だから、少し僕も戦おう。勇者として召喚された以上、勇者として生きるのが定めだ。一吾、白沢、森山、三人は一条と合流し、後からこっちに来て欲しい。先に僕は戦場へ行っているよ』




