空刃
お久しぶりです。
また加筆する予定です。
「よかったな、無事に助けられて。」
遠ざかる馬車を眺めながら一悟が言う。
「ああ、そうだね」
「……歩くか!」
「……そうだね。」
僕達は百パーセント善人と言うわけではない。馬車はそれなりに惜しかった、と今更思う。
僕と一悟は心持ち背中を丸めて歩き出した。
「ちょっと、二人とも?」
「待ってくれ!」
森山、エヴァン、白沢もあとからついてきた。
「ところで、場所は分かるのかい?」
「知らないの?エヴァンが知ってると思ってた…」
「なにやってんの…」
白沢は呆れた目をする。
「大丈夫。なんとかなる。」
根拠はもちろんある。遠くから大きな魔力を感じるのだ。
ー
しばらく歩くと、森が見えてきた。
「あれだよ、あれが賢者様の住む森だ。」
「へえー」
成る程、流石は賢者だ。気配は感じないし、魔力を探っても森全体から魔力を感じるので詳しい居場所は分からない。うまくぼかしている。
「よし!行くぜ!」
森の入り口につくと、真っ先に一悟が入っていく。
「師匠!俺もいっていいのか?」
「いいけど、僕とから離れないように。」
忘れがちだが、トーマはまだ十歳だ。
「おーい!行くぞ、水月!」
「分かってるって」
ー
前から一悟、僕、トーマ、白沢、森山、エヴァンの順で森を歩く。一応敵に備えた配置になっているが、森に入ってからまだ何も起こっていなかった。ただ問題はある。道は険しくはないが、目的地が分からない。木で先が見えないのだ。取り敢えず森の中心に向かっているが、正しいのかは分からない。
「なあ、着くのか?」
「分からないよ。僕が知ってるのは、ここ最近で誰もたどり着いてないってことさ。」
「エヴァン、それは知ってるけど聞きたくなかったぜ…」
「何で誰もたどり着いてないんだろうね。」
僕は気になったことを誰に問うわけでもなく呟く。森の中心を目指して真っ直ぐ歩くのならそう難しくはないはずだ。なのに誰もたどり着いてないというのはどういうことか。
「確かに、おかしい」
「なんか仕掛けがあるのかも」
白沢が周りを見渡す。僕も釣られて周りを見たが、何も見あたらなかった。
「ま、取り敢えず進もうぜ」
早くも切り替えた一悟が前に進む。
だが、異変はここで起こった。
突然全員の足元に魔法陣が浮かび出し、光を放った。
「紅雪っ!」
僕は咄嗟に自分の足元の魔法陣を斬り、トーマに駆け寄った。
「師匠!」
僕がトーマに触れた瞬間、足元が揺らいだ。
周りの景色が歪み、気が付くと僕とトーマは森の中にポツンと立っていた。さっきまで居たところとは全く別のようだ。一悟やエヴァン達も見当たらない。
「転移魔法陣か…」
前回僕がこの世界に来たときには無かったが、開発されたのか。強制転移なんてタチの悪い。
「師匠、どうすんだ?」
「取り敢えず賢者を目指そうか。」
僕はトーマをつれて歩き出した。
ー
「おかしい。」
しばらく歩いた後、僕立ち止まって言った。さっきからずっと歩いているのに一向に着かない。気配や魔力はぐちゃぐちゃで分からないし、不自然だ。
「師匠?」
僕は手頃な木を選ぶと、そこに鴉を突き刺した。
「なにやってんだ?」
「ちょっと確かめたくてね。」
適当にはぐらかし、先に進む。特に違和感はない。
しかしーー
「え?師匠、どうなってんだよ!」
僕達の目の前にある木には黒い刀が刺さっていた。
「やれやれ」
からくりが解った。呆れるほど滑らかに空間が歪められている。
「トーマ、これは魔法だ。」
「魔法?」
「そう、空間と空間に干渉して無理矢理繋げてる。僕達がループするように仕組んであるのさ」
「そんなことも出来んのか?」
「賢者だからね。」
「むちゃだな。でもどうすんだよ?からくりが分かってもどうしようもねえぞ」
「そんなことはない、まあ見てなって」
そう言って木から鴉を引き抜く。
「紅雪は?」
「トーマはあの妖気に耐えられないだろ?」
一悟やエヴァンでも長時間は厳しいと思う。
「ふーん」
「じゃ、いくよ。」
抜き身のままの鴉を片手で持って振りかぶる。
「絶·空刃」
真っ直ぐ縦に降り下ろした。
空間を裂く斬撃は地面を抉り、木々を斬り一直線に飛んでいく。パリン!と何かが割れる音がしたあと、視界が開けた。
「すっげえ…」
「こんなもんさ」
「師匠!アレ!」
「うん」
森の途切れた先には塔が姿を見せていた。
「あれが賢者の家か」
「家?だな!」
「じゃ、行こっか」
ー
塔の目の前に着くと、またしても障害があった。
「師匠、なんか見えねえ壁がある!」
「結界だね。」
塔をぐるりと囲っているこの結界はなかなかの厚さを持っている様だった。
「皆後から来るかもしれないし、壊しておこうか。」
「出来んのか?」
「もちろん」
僕は結界に軽く触れる。透打の要領で、一気に魔力を放った。
バリバリッ!
全体に罅が入り、結界は砕け散った。
「流石だぜ!」
「トーマもその内教えるよ」
「やったー!」
塔の中に入ると、すぐに階段があった。当然上に賢者が居るのだろう。
それにしても長いな、この階段。
「師匠!なんか魔法陣が!」
トーマの所に行くと、何処かで見たような魔法陣が光っていた。さっき僕達を飛ばしたのと同じ、転移魔法陣か。
「何処に繋がってるんだ?」
「わかんね」
「···」
「まあ、乗ってみようぜ!」
「え?ちょっ」
僕はトーマに押されるがまま魔法陣に乗ってしまった。
ー
「何処だここは?」
転移した場所は、薄暗い部屋だった。資料室として使っているのか、本やら道具やらが大量に置いてあった。
「取り敢えず戻るか。」
魔法陣はここにも有る。多分これで戻れる筈だ。これでも魔法を創ったことのある僕は魔法陣の構成を見れば分かる。
「トーマ、戻るぞ」
「え?うん、でもまだつかえなそう」
「なに!?」
魔法陣は弱々しい光しか放っていなかった。
一話から少しずつ修正し始めました。
ちっとはマシになるといいな···
話の流れは変えません。




