殺人剣の本領
お久しぶりです。
感想の設定を変えたので、どなたでも気軽どうぞ。と言うかお願いします。
一悟達の練習を見ている時、僕はあることに気ががつき馬車の御者さんに声をかけた。
「あの森は何ですか?」
少し先に見える森を指差す。
「あれかい?あれは賢者様の住む森じゃないよ。ただの森さ」
「そうですか。ちょっと一回止めてもらえますか?」
「いいけど、なんでだい?」
「見てれば分かります。」
僕は気配感知の練習を中断させた。
「どう?出来そう?」
「そんなすぐ出来ねえよ」
「だよね。上達の一番の近道としては、やっぱり実践が一番だと思うんだ。」
「「?」」
二人は話が見えないようで、きょとんとした顔をしている。
「と言うことで、あの森に隠れている奴らの数を当ててみてくれ。」
「ちょっちょっと待て、隠れてる?」
「うん、さっきから何となく視線を感じていたんだけど、今は害意に変わったから警戒しないと。」
恐らくはあの森を根城にする盗賊だろうけど、結構多い。僕の感知だとこちらを狙っている奴らだけで20はいる。更に森全体まで感知をひろげると50人を越えた。30人は拠点にでもいるのか、気配が固まっている。
「師匠、全然わかんねえー!」
「俺もだ。言われてみれば何となく狙われている感じはするけど、数はちょっとな」
「まあ、最初はそうだよね。エヴァンは分かる?」
僕は先程から暇そうなエヴァンに聞いた。急に話を振られて驚いてはいたが、ちゃんと答えてくれた。
「うーん、20かな。僕が分かるのは」
「素晴らしい!」
「あのー、私達は全然わかんないんだけど…」
「ああ、白沢と森山は大丈夫。魔力を利用した感知があるから。」
難易度は冗談じゃないかってくらいに高いけどね。僕は出来るけど。
「ん、急に馬車が止まったから近づいてくるな。」
「ええッ!?」
「む……今回は僕がいこう」
「魔法の援護もいいの?」
「僕もいかなくていいのかい?」
「いいよ」
久し振りに気配を消す練習をしたいし。なんと言っても紅雪を使いたい。
「はいよ。気を付けろよ?」
「了解。と、言うわけで御者さん、ちょっと行ってきます」
「え?え?盗賊ぅぅ?」
目を白黒させている御者さんを尻目に馬車を降り、森に向かって走り出した。
先ずは木の影に隠れている二人だ。僕は鴉を抜くとそのまま木の間を走り抜けた。後ろで二つの首が舞った。
気配を消していたので、斬られたことさえ気付かなかったのか、声もあげなかった。
「な、なんだ!?どうしt…」
近くにいた一人が異変に気付き、騒ぎ出しそうだったので一刀で絶命させた。
騒がれては困る。さっきは衰弱しているのか、気配が薄くて分からなかったが、どうやら盗賊に捕らわれている人が数人いる。僕が行くのがバレて人質にとられたりしたら面倒に違いない。
幸いと言うべきか、僕は「最適解」のお陰で一太刀で殺すことが出来るのでこういうことには向いている。
それが僕が殺人鬼たる理由でもあるのだが、それはさておき。
僕は木に紛れながら残りの盗賊達を殺して回った。
ーー→
「行ったな。」
視認出来ないスピードで水月が走り去った方を見ながら、一悟がポツリと言った。
「ミヅキが強いのは知ってるけど、大丈夫かい?」
「まあ、余裕だろ。感知してれば分かるんじゃねえ?」
「そうだね……凄いな、ミヅキは。僕の感知に全く引っ掛からない。」
結局感知しても水月の行動は分からない。
「そりゃあな。目の前にいても気付かない程気配消すのうまいからな。」
「しかもどんどん敵の気配が消えてくよ。」
「あっけなく終わりそうだな。」
「待ってればいっか。」
一悟達は気楽に馬車で待つことにした。
←ーー
僕は馬車を狙っていた盗賊達を全て殺し終わり、ある洞窟の茂みに隠れていた。さっき感知したときに気配がまとまっていたのがこの洞窟だ。捕らわれている人達の気配もはっきり感じ取れる。
「まず見張りをどうにかしないと」
洞窟の入り口の前には二人の見張りが立っている。僕は両手を銃の形にすると、二人の眉間を狙って魔銃を放った。
「「ーッ?」」
見張りの二人は反応出来ずに死んだ。洞窟の前に死体を積んでそこに鴉を突き刺すと、僕は洞窟の奥へと進んだ。
「紅雪」
久し振りに紅雪を呼び出す。相変わらずの妖気と冷気で、空間に亀裂が走り、床が凍っていく。
隠密行動には不向きな刀だけど、そこら辺は慣れで制御出来る。基本的には鞘に納めてれば大丈夫だしね。
洞窟の壁に設置されている松明の明かりを頼りに進んでいくと何人かの盗賊に行き合った。すぐに囲まれる。
「誰だお前!」
「煩い」
居合いの要領で紅雪を一閃すれば、首の無くなった盗賊達が崩れ落ちた。赤い雪が舞った。
先を見れば道は2つに分かれていた。
「ボスらしき気配はこっちか……いや、こっちが先だな。」
僕は先に捕らわれている人を助けにいくことにした。
捕らわれている人達のいる方は心なしか空気が淀んでいる気がして僕は不愉快になる。
そのまま奥の方へ進むと檻があり、中には数人の女性がいた。全員整った容姿をしているが、疲れきったような諦めたような目をしている。捕えたまま置いておく理由なんて一つ位しかないので、何をされたのかは容易に想像はついてはいたが、当人達を目にして更に不愉快になった。
僕は機嫌の悪さをぶつけるかのように見張りの盗賊を輪切りにし、怯えた目を向けてくる女性に笑いかけると、檻も斬った。カランと儚い音をたてて鉄の格子が転がる。
まだ何が起こっているかわかっていない様子の彼女らに僕は言う。
「僕はあなた方を助けに来ました」




