嫌いって....じゃあ私も嫌いですよ!①
アサギリさんが告げた言葉を理解するのに時間が掛かりそうです....いや、そうでもないかもしれません。
実際問題、混血種......つまりハーフというのは異なるの種同士の子供、ということなら.....私もその一員なのでは?種族名に半精霊と出るくらいですから間違いないでしょう。
おーけーです理解しました。
ここまで約三秒ほどで考え、アサギリさんに言います。
「で?それが関係あるんですか?」
アサギリさんにくっついたままの黒髪黒目の少年に視線を向けると、プイッと反らされてしまいました。
「大アリですわ!まず、植物精霊である私達は子供が出来ても見守るだけて育児はしないのですわ」
アサギリさん、なぜそれを自慢のように言うのです....
「まぁ、他の種からでは非道な行いと見るかもしれませんが植物精霊にとっては日常茶飯事!常日頃の出来事ですわ」
前世でも植物は、種子を風に乗せて飛ばしたりしていることは知っていますけど、そういえば親の植物達が自らの子を育てていることは想像できません。
ふむ、と考え込む私。
「ですが.....多種族と結ばれた場合は、別なのですわ」
別ですか?
なにか問題でも?
ああ、能力!!
「アン気づいたようですね.....そうです、引き継がれた能力の使い方や禁止事項を教えなくてはならないのですわ」
精霊の力。人の理を外れる力。
暴発したら危ないですもんね。
あとは、倫理や道徳も教わるのでしょう。
私は......フリードさんが教えてくれた?のでしょうか?
立ち話もなんなので私はさっきの位置に、アサギリさん達は私の正面に座りました。
「しかし.....この子の父親は......」
顔を伏せて肩を震わすアサギリさん。
え?なに、死んだ?いえ絶滅による消失....
私が悪い方へ、悪い方へと考えが行っていると、アサギリさんは―――
「生まれたことすら知らないで、近場の植精を口説いているのですわ!」
アサギリさんは憤慨しているようです。
メラメラっと植物精霊なのに天敵である炎のエフェクトが背後に見えます。
「っ」
少年もビックリして引いていますよアサギリさん。
『よくあることなのです.....契約者と良い関係になってチョメチョメする奴も多いのですよ』
私の周りを旋回するルシャの呆れ声が脳内に響きました。
でも、片親そうです魔王がいたはずですけど.....
「で?狙われた.....というか捕まった原因はなんなのですか?」
「っ!!」
アサギリさんの服を握り締め、泣くのをこらえる少年に何故だが、私の中の記憶がフラッシュバックします。
燃える屋敷。
転がる家族の死体。
数の暴力.....
母は.....
「アンどうしました?真っ青ですよ?」
私の肩を揺らすアクセルさんが、心配そうにしています。
なんとか声を振り絞り、でも心臓の音はすぐには収まりません。
「だい、丈夫で、す」
無理矢理笑顔を作りますが、うまく笑えているのでしょうか....
「そう」といって納得してない表情をしていますがアクセルさんは引いてくれました。
「かあさまは.....かあさまは.....」
しばらくして、少年の方から弱々しく....でも芯はしっかりとしている声が届きました。
できれば違って欲しい....そう願わずにはいられませんでした。
けれども、もう決定された過去を帰ることはできないのです。
「僕を城の下水に流して......その後、気づいたとき城が、ば、爆発して―――」
思い出すことすら辛いだろうに少年は眼に確かな火を灯していた。
私は少年の独白を聞いてられる状態じゃなく。
何度でもリフレインする星闇刹那の最後の瞬間が繰り返されていた。




