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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
新章ー大陸を歩くー『精霊の住み処』
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そうね......なんか違うわ?


衛星都市マニフェレンの朝は早い。

南大陸サーセルブでも大きな都市故に、日が登り始めたばかりなこの時間でも様々な出店が大通りを埋め尽くしている。

縁日の屋台が並ぶ姿に類似したそんな情景だった。

出店には、武器屋、道具屋、杖専門店、魔導師講座店、防具店、情報屋、簡易依頼掲示板、出張ギルド3号店、食べ物屋などがある。

ここから、食べ物なら、果物、定食、野菜、肉屋、魚屋と分かれていて出店の数は比べ物にならないくらい多いだろう。

そしてそれは、他の店でも言えることでもある。剣専門店にエルフの服屋とか幅が広すぎて覚えてられないほどだ。


そんなマニフェレンの大通りを、きょろきょろと見回しながら歩く私は、目的の店を探していた。


「うぬぬぬ、確か、テラーズ通りを306歩目......」


昨日、シュレイさんの頼まれ事でここの冒険者ギルドに訪れた時、植物系の魔物がやっている屋台があると聞き、朝食を取らせて貰おうと来たのですけど......

私は立ち止まりその場で一周して周りを確認しました。

そんな私の様子を行き交う人々は避けていき、不思議そうにこちらを見つめます。


周りにあるのは、真っ直ぐに城門と街の入口を繋ぐこの大通り。

大通りの幅は40mで、出店があるから20mくらいまで狭まっている。

さらに、行き交う人は朝のこの時間からお祭りのように大勢いるのだ。


身長が110cmにも満たない今の私には泊まっていた宿からここまで来るのに結構な時間が掛かっていた。


「あ、今気づいたんですけど、歩数言われても身長違うから場所の誤差が凄いのでは?」


どうして、どうして!!私は気づかなかったのでしょうか!!

それにギルド受け付け嬢さん!せめてもう少し分かりやすく歩数じゃなくて目印が欲しかったです!


心の中で叫ぶ私の目の前をゆんゆんと飛び回る光の玉に羽が生えた生命体?が言いました。


『見守っていましたけどもう我慢の限界ですぅー』


「う、う、うう」


光の玉から可愛らしい声が聞こえてきました。

ピンピンと私のおでこに連続でぶつかってきます。


『一人で目的地にも着けないなんてバカなんですぅー?』


見た目は光の玉で可愛らしいのに口が悪い気がします。


「違いますよ、そもそも、教えてくれたおねーさんがいけないのです!」


そう、そうですよ、歩数なんてそんな方法じゃ見つかるわけありません!

うんうん頷く私に光の玉が言います。


『......「カッキー」の店は15m後方ですけど、ちゃんと見てなかったんですぅ?』


「え?」


確かに私の目的はカッキーと言われる店主がやっている果物屋ですが、行き過ぎていたなんて......

私は言われた方向を振り返る。

そこには、小さな子供に果物を渡している爽やかな青年がいた。

そして、青年の真上には『カッキーの実』という文字が書いてあった。


『ちゃんと見てなかったんで間違いないですぅ.....』


「うぐぐぐ.....」


確かに目的の出店ですけど、見つけてたのなら教えてくれても良かったじゃないですか.....

私のおでこに今度はグリグリと回転を加えぶつかって来る光の玉にされますが、悔しいです!


説教をされつつ、『カッキーの実』の前まで来ました。

すると、私が話しかける前に、青年がニッコリと微笑みました。


「やぁ、始めまして、君がアンちゃんだね?」


「え?はぁ....」


始めてあった筈なのに、いきなり名前を呼ばれビックリしている私に、苦笑いをしている店主。


「あ、ごめんね?馴れ馴れしかったかな?」


「い、いえ、別に構いませんので」


そういうと明るい笑顔を向けられました。

青年はしゃがみこんで下からカラフルな果物の詰め合わせを取り出した。

何でしょうか?


「はい、頼まれていた詰め合わせ」


「え!?私頼んでないですよ」


というか初対面ですし!

手をブンブン振り全否定する私に、青年は驚きもしなかった。


「あ、そうか、えっとね、実は......」


青年の話を聞くと、なんとこれを頼んだのはルナリアさんらしい。

いつのまに、というか私が買い行くのどうして予知できたのでしょうか.....

お金も払ってあるみたいです。


それならば、今度会ったときに例を言えばいいので、ここはありがたく受け取っておきました。


「カッキーさんまた来ますね!じゃあ」


「うんうん、いってらっしゃい」


カッキーさんなんて人が良いのでしょう.....まともな同族に会えた気がします。

私は半分精霊化しちゃってますけどね。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


大通りを進み、冒険者ギルドを目指しながら、片手でサクランボに似た実『バ・ルベリー』を口に入れて味わいます。

蕩けるような舌触りに染み出る甘味......


「おいひぃ.....」


生まれてからこの方、水と土しか食べてきませんでしたが、これは病み付きになりそうです。

たしか、この植物にも精霊様がいる筈ですね?仲良くなるために一個庭園に送っておきましょう。


「そして庭園に植えて契約するのです!」


私はもう一粒口に入れてふにゃっとした顔を作りました。

美味しすぎます。久々の固形物!あ、土も固形物ですか、でもどうでも良いです。美味しければ!!


若干トリップしてる私に光の玉がぼそりといいました。


『そいつ、性格最悪なのです、お勧めしないですぅ』


「えー」


うそうそ、だってこんなに美味しいんだもの、美味しいものを作る植物に悪いやつはいないのですよ!

故に、庭園に送るだけ送っておきました。楽しみです。


光の玉から呆れたため息が聞こえた気がしますが......きのせいですね。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


そうして、お腹も膨れ、ちょうど良い時間に冒険者ギルドに着くことができました。


冒険者ギルドの入口では待ち合わせしていた二人組、魔女のアクセルさんと龍人のシユウさんがいましたが.......その他にどこかで見たことある気品は溢れているけどなんか残念な空気を感じさせる人物がそこにいました。


『うっっっわぁぁですぅー』


光の玉から嫌そうな声を聞き、どうやらあの本人様で間違いないようです。


「アクセルさん、シユウさんお待たせしました」


「いいんですよ、まだ時間ありますから」


ちらちらと隣に立つ綺麗な容姿によく似合う毛先が縦ロールしているドレスの人物に視線を送っていました。


「......うむ」


シユウさんは会釈だけ返しました。


そして......アクセルさんがうずうずとしている所から何者なのか気になっている人物に話しかけます。


「アサギリさん何してるんですか?」


「当然っ!あなたを待っていたのよアン」


そう、ここにいたのは、庭園内で会ったことがある植物精霊のアサギリさんでした。


「一緒に来るんですか?今日用事は?」


そう聞いたところ、なくなったそうで、暇になったから、こっち側.....つまり現実世界に会いに来たという訳みたいです。


『うへぇあ、ですぅ』

「おほほ、ルシャ虫がうるさいですわぁ」

『ぜってーのすですぅ、表出ろですぅー』


今日の私の精霊半身は『幻妖花のルシャ』が担当しているのですけど、ルシャから流れ込む感情的な魔力波長にちょっと酔ってきました。


とりあえず、仲良くして貰わないと、疲労感が半端なさそうですね。


言い争いを続ける光の玉と美女の二人を無視して、今日の目的の魔法習得に行こうと思います。

その意見に賛成なのかシユウさんはアクセルさんを引っ張ってこっちに向かってきました。


「だれなんですか?あの方と光の玉は気になりましたぁぁー」

「落ち着け、そんな態度取ったことを後で後悔するぞ?」


テンション上がりすぎのアクセルさんを無理矢理引っ張ってきてるシユウさん.....

一応アクセルさんに言っておきましょう。


「えっと、両方植物精霊ですよ?」


それを聞いたアクセルさんは動きを停めまじまじと、言い争いを続ける二人を見ていました。


「なんか.....こう」


なにか言いたそうにしていますけど、なんでしょうか?


とりあえず、そんなことより、私の魔法習得ですよ!!


「さぁ、行きましょ!どこにいきます?」


そういう私にシユウさんが指をさしました。


「うむ、あの大門を越えた先の平原で良いと思うぞ」


そうして私たちは歩き出したのです。


なんか納得いかなそうなアクセルさんが後ろを歩いていますけど.....











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