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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
新章ー大陸を歩くー『精霊の住み処』
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おや、庭園のようすが......①

波乱に満ちた、ここ最近の激闘の数々。

湖上都市では、ハイエルフのお姉さんに襲われ、転移した先では、冒険者ギルドの試験で瀕死になり、さらにーーー。


「数日後には、体を爆散させられて死亡......」


なんてね?きっと夢だったんですよ。

夢落ち!きっとそうです。

......そうであったらどんなによかったのか......


もしも、シュレイさんから貰った『ヒトカタの符』で出来た身代わりの身体ではなくて、本体だったら間違えなく、神様の元に送られていたでしょう。


眼を醒ました私は、見たこともないベッドの上で眠っていました。

ここは自分の魔法領域でもなく、何回か世話になった美味しい名前の宿屋でもないようだ。


「シュレイさん、ここってどこなんですか?」


『......』


私は頭に付いている黄色い花に問いかけますが反応がありませんでした。

寝ているのか、領域内に行っているのでしょう。


反応が帰ってこないのを少し寂しく思いますが、そう言うときもあるでしょうね。


「私が死んでから何日経ったのでしょうか......」


私の感覚的には、リラさんそっくりの女の子にバーンされた後から3分くらいの感覚ですけど......

ベッドから起き上がり、部屋の中をキョロキョロと見回しますが、日付が分かるものはなにもありませんでした。


「はっ、というか、私今が何日とか教えて貰ってなかった.......不覚。」


そういえば、今まで、ミストレニア様に庭園内で聞くか、魔皇城のメイドさん達に聞くのどちらかで、正確な日付を教えて貰ってません。たとえ、教えて貰っていたとしても、こっちの表す数字、アラビア数字じゃないですし、そこから覚えないと訳が解りません。

『lk』『ik』『ni』『nl』私の目からはこう見える文字、これがこの世界の数字らしいのです。

これがウジャウジャと書かれているカレンダーを解読なんてできるわけがない!!そう断言できます。

えっと確か、端から『3』『6』『9』『12』という倍数がこうなっているわけです。

しかも、これが山のように組合わさっているので、私が覚えられたのはこの4つのみです......不勉強?いいえ、アラビア様で慣れているとこの世界の数字なんて頭に入ってこないのですよ。


「と、言い分けをしつつも、手がかりは何も無し......」


私がこの身体でいるってことは死んで、【小さな庭園】内に戻っている筈なんですけどね。

この部屋には窓もないですし、そもそもドアは鍵が掛かっていて空きませんでした。


コツコツコツーーー。


お、誰かが近くの階段を登ってきたようです。

そそくさとベッドに戻り、シーツを被りました。


ドアの前で足音が留まり、数秒の空白の後、軽快なノックの音が聞こえてきました。


『おはようございます。お嬢様......お食事はどうされますか?』


お、おじょ!?


『......失礼します。』


返事を迷っているとドアがガチャリと開いた。

きっと眠っていると思って起こしに来たのでしょう。

入ってきたのはドア越しから女性とはわかっていましたけど、頭に被るシーツを少し避け覗き込みました。


元いた世界のカジュアルな服を着こなす女性が首元にヘッドフォンを掛けて......


「ぶっ!?」


黄金色の髪を肩くらいに切り揃えた女性を見て吹き出していまいました。


『あら?起きてらっしゃるのですか......もう。』


八の字に眉を寄せる彼女はとても可愛く思う。

こちらに寄らず、すぐ側のドアに佇む。


「えっと、おはようございます?」


「おはようございます、お嬢様。」


私は今の時間がいつか分からないので、取りあえずは無難なあいさつを交わした。

ドアまで佇んでいた彼女はすぐ側まで来て手を差し出してきました。


「うっ、お願いします......トパーズさん。」


「クスッ、相変わらず馴れませんか?」


私が差し出された手を右手で握ると、トパーズさんからクスクスという笑い声が聞こえました。

それも、しょうがありませんよ、物質精霊である皆が持つ【浄化】スキルで朝からサッパリするとしちても、触れた手から全身に巡るビリッとした感覚はどうも苦手です。

これをすることで朝風呂を味わいスッキリとした感覚でいられると言うのは分かるのですが......


「注射を受けるみたいでちょっと......」


「ー【浄化】。はい、何か言いましたか?」


「い、いえ、戯れ言です。」


「?」


【浄化】スキルを使われ、全身を擦り、何でもないと答える。



サッパリとした私はどうやらどこかの宿屋にいたらしく、階段を下がり宿屋備え付けの食堂を目指した。

目の前で手を引き、日が仕込む階段を先導するトパーズ。


「ここはコンクレントの城下町でしょうか?」


「いいえ、ここはコンクレントと魔性の森を抜けた北側に位置する南大陸の大都市のひとつ、衛星都市マニフェレンですよ。」


「まにふぇれ?」


じゃあ、コンクレントはどうなったのか聞くと、少し沈痛な面持ちの顔をこちらに向け『滅びましたよ.....』そう答えた。


「その話は魔皇様にでも聞いてください、私は住民の大移動を手伝っていたので状況は詳しく解りませんでしたが、魔皇様......シュレイ様が突然現れて匿ってくれって......」


シュレイさんに匿えと言われたのは大移動が終わって6日目の夜のことらしい。

精霊ネットであらかた状況は理解していたが誰が生きているのかは分かっていなく、それもシュレイさんに聞く前にシュレイさんが倒れてしまい、今まで目を覚まさなかったからみたいです。


「倒れてから今日で丁度2週間と言ったところですよ。」


頭の上に『ぷんぷん』という文字が具現しているのではないかと感じる甘い怒りかた。


「そうだったんですか、私は即し.....」


「そくし?」


「いえ、よく私が起きたのが分かりましたね?」


自らが一回死にましたなんて言う必要ないな、そう思い話をそらします。

首を傾げていましたが意図はなんとなく察してくれたようで助かります。


「私は物質精霊ですよ?当たり前です。」


へぇ~、すごいんですね。個人の特性でしょうか......

そう返そうとしたら頭の上からーーー


『ちがうわよ?この子「驚き」が少ないだけで、起きていたのを気づいたわけないじゃない。』


「しゅ、シュレイさん!?」


驚く私と何事か振り替えるトパーズさん。


「どうしました?あ、シュレイ様ですか。」


にっこり微笑み胸元で両手を合わせるトパーズさん。


私はシュレイさんに話したいことがたくさんあり、頭は高速回転するのに声がでないことに歯がゆい思いを感じました。

すると、シュレイさんは『ちょっと変わってアン。』といい、強制的に変わられました。

なんかスキル化したシュレイさんに主導権を握られているような......まぁ、一緒にいられるならそれでも良いんですけどね!


「トパーズ、悪いけどちょっと身体を頼める?『あっち』で大変なのよ。」


たいへん?あっちって【魔法領域】のことですよね?

頭に疑問符を浮かべる6色の花化した私をおいてどんどん話は進んでいきました。


「えぇ!?......もう!食堂まですぐなんですよ?」


しょうがありませんね。

とため息をはき階段を折り返して上がっていく。


『じゃあ、アン悪いけど【庭園】に行ってちょうだい。』


「はぁ、わかりましたけど、なにが『いいから急ぐ。』ぐっ。」


急かすようにいい、身体が入れ替わり、ふらつくとトパーズさんが支えてくれました。

一体なにが......そう思いつつ、【小さな庭園】目指して意識を集中させます。

最後にトパーズさんに「よろしくお願いします。」といって倒れ込む私の身体。


ー「むぅ、せっかく会えたの......わかりました。」ー


不貞腐れた彼女の顔を見て苦笑しながら私の生涯の相棒【領域】へと踏み入れました。







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