合流④ー『王の間』ー
遅くなりました!!見てくれてありがとうございます!!80話でこの長い話をおわり、この町の外に出ていきたいと思います!
ある男は豪勢な椅子に座り、隣に控えているメイド服の機械人に酌をさせていた。
「ははっ、なんて愉快なことだろうね、君もそう思うだろう?」
「......」
男の問い掛けに微動だにせず、無言を貫く機械人の少女。
少女の首には黒いチョーカーが着いている。
元より答えが返ってくるとも思っていないこの男は、心底可笑しいというように口元を歪めていた。
今いる場所はフルエンクの王族しか入ることが出来ない『王族特区』の一番大きな建物の中だ。
まさしく王族に相応しい、きらびやかな飾り付けに、金目をつけない高価なテーブルや柱のオンパレード。
そして、部屋の広さはとてつもなく大きかった。
天井は遥か遠くで、部屋の端から端までの距離が100mはあるだろう。
窓はこのフルエンクの粋の結集とも言われるランダム点灯する加工がされたステンドグラス。
きれいに散りばめられた絵画が新雪のように汚れがない真っ白で金縁加工のカーペットの上にうっすらと描き出されていた。
キラキラと輝くカーペットが延びる先には、3m近い大きな扉で、反対側は男がゆったりと座る玉座が存在している。
扉から玉座に向かうまでに三段の段差が30m置きにあり、玉座に至っては入口から見上げるようだ。
つまるところ、ここは謁見などが行われる『王の間』だ。
左右の柱は綺麗にならび、入り口まで延びている。
純白のカーペットから少し放れた所に並ぶようにして立つ20名くらいの人がいた。
彼らは整然としている。
まさに、王の命令を待つ騎士のようにも見えるだろうが、ここは魔法技術先進国フルエンクであり、魔導の叡知を求める【魔女族】が大挙して押し寄せても不思議ではないほど魔法に関しては進んだ都市である。
故に、ここにいる様々なローブを来た20名も職業は【魔導師】【魔法技師】【魔法賢者】と言われる者ばかりだった。
玉座に座り笑っている男に、玉座から見て右の最前列のボロ切れのようなローブを纏った者が、真っ白のカーペットの上に乗り上げ、フルエンクなりの最上級の礼を尽くしたのち発言した。
「アーザスト王よ!まことに恐れながら申し上げます。」
玉座に座り、機械人の酌を受けていた男、アーザスト王は笑みを引っ込めた。
「何かな、大魔導士【悪魔狩り】のセトレイスト卿。」
アーザスト王が言ったセトレイスト卿は【魔族】の中でも上位の実力を誇る【悪魔族】を殺しに殺し、悪魔にすら恐れられる残忍さをもっていることが知られている。
彼に殺された悪魔は数知れず、女性の悪魔は弱らせた後、つれてかれて悲惨な末路を辿ると噂もあるくらいだ。そんなセトレイスト卿は無表情のまま王を見上げた。
「......【遊び】は終わったのですかな?」
アーザスト王はキョトンとした後、言ってることが分かりニヤニヤした。
「くくくっ、これまでの出来事を【遊び】と片付けるかい?」
王は肩を震わせ笑っていた。
「ええ、まさかこのように一月も蛮族の茶番に付き合うなどと【遊び】以外の何物にもありますまい。」
王に対しズカズカいうが、アーザスト王も別に気にはしてないようだ。
むしろ、悪どい笑みで答えていた。
「そうかい、そうかい、それは退屈させてしまったね?」
「君らもそうかい?」と王が言うと、ここにいる20名が独自の返答をしたが概ね同意見のようだ。
左側の2列目のローブがはち切れんばかりの男がドモった声をあげる。
「お、おいらとしては、メスブタ親娘を躾できて、満足なん、だな。」
フヒーフヒーと息も絶え絶えな男に王は抑揚に答える。
「ふふふ、母上も大変喜びであろうな、別邸に暮らしていた第一王女と平民に落ちた第二王女と一緒に家族で暮らせるのだからな。」
「ふん、うまれたガキは研究材料として寄付してくれたまえ、今じゃ使える材料がなくてな。」
そう言ったのは、真っ白のローブいや、白衣をきたヒョロリとした眼鏡で鋭い目付きの男性だった。
王はチラリとその男を見て、「構わないだろう、どうせ幾らでも出来る。」と言った。
「それに僕には妹がいるからね。あの娘は渡さないよ?僕の大事な『2番目の』お人形さ。」
その台詞に込められる気迫は周りの彼らを圧倒するほどだった。
「承知。」
「致し方あるまい。」
「あらら、ざぁんねんねぇ。」
「滅相もないな。」
など言い。
王の言葉に全員頭を下げる。
「ああ、そういえば、セトレイスト卿、【邪神セイコウ】はどうなったか知ってるかい?」
気分をよくした王はグラスを煽っていた。
しかし、反対に冷汗を掻くセトレイスト卿。
「そ、それが、『イシュリカ』にて消滅を確認とのことで.....私見を申し上げると、『火の自然精霊のリラ・ギュケル』が殺ったのだと推測します。ただ、こちら側のメリットとして同じ『風の自然精霊のフィオ・ウェレック』をぶつけると本来なら拮抗する筈が、世界への影響により一時的に力が落ちているため圧勝できるはずです。故に......」
「ふむ......捉える好機というわけか......」
顎に手を当て考え込む王。
【邪神】を復活させたアーザスト王は、前世の父親が【邪神】だと知って驚き、前世の父に色々話を聞き、転生したこの体にもあっちと同じ血が流れていることに感動していた。
異世界でお互いに語らう二人は見た目20歳の父と30歳の息子というアベコベだった。
二人して語らい、封印されていた父に自らのこっちまで来た経緯を説明した。
アーザスト王こと『星光 六路』は最愛の妹を守るため、『星闇』の生き残りの男を殺すことに
成功した。
異様な力の象徴の両目をくり貫き保存ケースにしまい、死体は部下に世界樹『アズマ』の根本に埋めさせた。
その後、自我が崩壊しかかった妹を連れて現当主であり母である『星光 五月』に報告に行った所、いつもニッコリ微笑むばかりの母の顔が唖然とした表情で固まり、うわ言のように『うそよ、うそ......ありえないわ、そんな.....』と呟くばかりで、妹と同じ状態に陥り掛けていた光景を満たされる思いで眺めていたら、突然この眼を見せたらもっと良い顔が見れるかもしれないと思った。
故に見せたら、なぜか冷静に殺意が宿る眼を向けられ、右腕を一瞬で手刀により切り飛ばされ、2撃目で首が飛ばされるのと同時に母親の左手を根本から手刀によって切り飛ばした。
そうした痛み分けで人生の幕を閉じたが、『別世界の混沌を司る武神』に見込まれてこの地に30年前に王族として転生した。
その時に、記憶と一緒に『星喰の魔眼』があったというわけだ。
『星光家』が何故『星闇家』を襲撃しなければならないのか、とか様々な裏事情を聞いていたが、今の人生にこれっぽっちも必要はなかったので聞き逃していた。
また、【神】という特性から滅多なことでは死ぬことはないという言葉を信じ、あちらの最大戦力である【魔皇】と【精霊】に対して時間稼ぎを行ってもらい、その間、【魔皇城】を爆破させた。
連れていった面子は、自分に縁のある連中を召喚魔法によって召喚した。
当時、学生時代だったころの知り合いだ。勝手知ったるメンバーであった。
異世界転移で文句を言うかと思ったが意外に順応していた。
その彼らは【魔皇城】爆破の後、コンクレント城を襲撃し、現在に至るわけだが、今この時は王の間には居なかった。
アーザスト王が個人的に呼んだ彼らは、フルエンクをあげて呼び出した3人の勇者とは異なるために別室にて待機だ。
けして、彼らがいると話が進まなくなるからという訳ではない。
「あの~、何時までその姿でいるのですか......すいません。」
左側の5番目の藍色のローブの女性がおどおどした様子でアーザスト王に言った。
「ん?おおそうか、認識阻害を張ってみたがやはりバレてしまうかい?」
アーザスト王は自らに掛けていた術を解き、魔王テルヤの姿に戻った。
彼らの反応は特に変わらなかった。
先程発言した女性がビクビクしながら答える。
「えっと、その姿もお似合いだと思います。【魔王テルヤ】と違ってチャラさがないといいますか......すいません。」
「そうかい、それはそれはありがとう。」
ニッコリと微笑むアーザスト王。
もうすでのこの世に存在しないこの体の本来の持ち主、【魔王テルヤ】彼を殺したのもこの『王の間』である。
王はここに集ったメンバーを見渡した。
ここにいるメンバーはアーザスト王が『魔眼』の力を用いずとも付き従ってくれる同士達だった。
故に信頼できるもの達である。
「ここに集った実力者達よ、コンクレントなどという矮小な連中にかまった【遊び】をやめ、今こそ目的を果たそうじゃないか!」
王は立ち上がり両手を広げる。
「さぁ、このサーセルブ大陸を抜け、西に存在する巨大な大陸を侵略しに行こう。」
「「我らが再び王国を名乗るために!!」」
おのおの杖をあげる。
「多種族を駆逐し、再び人による人だけが中心となる世界を手にいれるために。」
『おお!!』
歓声と共に杖から出る派手なエフェクトの魔法の数々。
しかし、今現在植物精霊に襲われている筈なのにこの余裕は一体なんだろうか.....
その答えはすぐにわかった。
アーザスト王はフルエンク軍管制室に通信を繋いでいた。
「やぁ、エレス。【召喚術式】が発動しないところを見ると少人数しかいないと言うところかな。」
『は!仰る通りにございます。』
「植物精霊は何体くらいだい?」
『今確認できるところ10体で、いえ、今フルエンクから4体離脱したので6体です!!』
「む、逃げられたか.......じゃぁ、手筈通りに頼むよ。」
『はい!お任せください!!貴女達!【対植物精霊結界『リオル・イシュリカ』】を発動させなさい!!』
そういう声を最後に通信が切れる。
時置かずして、フルエンクを半透明な緑色の膜が覆い尽くした。
植物精霊である存在は自ら領域からのバックアップが膨大だ、故にそれを断ち切る結界を発動させたのだ。
これにより、彼らはこの世界に干渉するために花や枝、または実を媒介にしているが、領域へのパスが通らないと媒介にした花や枝に含まれる魔力しか使用できない。
この弱点を発見したのは先程の女性だが、検証したのは本当に最近のことだ、とらえた『エンドウ』と『ルシャ』を使い間違いがないことが判明した。
これにより、植物精霊に対して、有利にことが運べるとほくそ笑むアーザスト王と周囲のメンバー達。
「では、強者と言われるものの末路でも眺めにいきますかな。」
「我は、一人実験に使いたいので孤立している奴を。」
口々に言い、『王の間』から姿を消していった。
王はその様子眺めながら、もしや植物精霊が、フルエンクの最高頭脳であり最大戦力の象徴である【マスター20】に領域なしで勝利するとは思えないが、もし目の前に現れても、【魔王テルヤ】の膨大な魔力を保持する体に、魔王の嫁にのみ発現するチート能力を『魔眼』を使い回収した今の状態に敵うはずはないな。と考えていた。
「それにしても、あの嫁共から力は奪えたが洗脳はできなかったか......逃げられちゃったしなぁ、ああ、せめてあの獣人の娘の【オールパッシブ】は回収したかったけど、悔やまれるなぁ。」
そう、3人まではすんなりコンクレント城にて回収できたので、あとの嫁にバレないように抹殺する気でいたが、そこに現れたのは王女にの前に加入した獣人の娘だ。
彼女は無理矢理能力を奪われたことで倒れ伏す3人を担ぎ上げ、両手で引っ張り、その場を消えるように離脱してしまったのだ。
「まぁ、脅威にはならないだろう。」
そう結論づけ、手にしたグラスをメイドに差し出すが、手の中のグラスが破砕音と共に砕け散った。
「ほう......」
感嘆の声をあげる王。
王の視線は遥か遠く佇む、8名の多種族入り乱れるユニークパーティーだった。
「おいおいおいおい!なんだ!出番か!!」
「騒がしいぞ。能天気が!?」
「なんや?イベントかいな?」
「ふむ、ツワモノか、腕がなるな。」
「はぁん?んだよメンドクセー。」
そして相対する別室にいた筈の5名の色とりどりのローブの人物達。
異世界より呼び出した王の友人達だ。




