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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
4章ー半精霊化ーフルエンク攻略
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強襲①

ありがとうございます。感謝感激頑張ります。特に仕事w

「や......ったぁ~。今の私、魔物?いや、人ですよ!!あ、もう僕っていうほう?」


開き放たれたドアから勢いよく出てきた人物は左右を見回わした後、自分が出てきた部屋に頭をさげてから手を振り、走り去っていった。


「ありがとう!シュレーさーん。」


「いい?無茶しちゃダメよ!あと、必ず『セラフィ』から離れないこと。」


「もー、何回も言わなくてもわかってますってば!いざ、久々の外の世界!!ヒャッハーーー」


「......気を付けてね......まったく。」


【空飛ぶ(セント・エルシュ)】の研究室から元気に走り去っていく小柄な少年に向けてシュレイは溜め息を吐きながら手を振っていた。あのなりで言動と行動が変わらないから、元気な悪ガキにしか見えない。しかし、これにより当面の問題は解決できたと祈りたいところだった。

流石にずっと身体を乗っ取っていたから、あの子はストレスがたまっていたのかもしれない。


(さすがに警戒時だからってずっと閉じ込めておくわけにもいかなしね。)


シュレイは先程いた研究室から出ていき、突き当たりのT字路を右に曲がる。

左側は島の下層に、右側は上層、さらに外まで行くとシュレイの庭園になっている。

今回は右、つまり外に出ることになる。


しばらくは『箱』に乗って緩やかに移動したのち、外へと繋がる扉が現れた。

扉は綺麗な装飾がされている。『箱』から降り、扉の前まで歩く。

正方形の箱は役目を終えたために、再び元来た場所へと帰っていくようだ。


扉の取っ手を手に取り、両開きの扉を開けようとするポーズのまま固まっていたシュレイに、後ろで控えるようにしているエルシュが心配そうな声を掛けてきた。


「主様?」


エルシュの問いに被せて返答が来る。


「エルシュちょっと探知して、......もう居ないわよね?」


この問いかけは一体何を意味するのか、エルシュは数秒固まってしまった。


そして、シュレイのセリフから導き出される答えは、【空飛ぶ島】を置かせてもらっている【小さな庭園(リトル・ガーデン)】の主であるアンのことだろうとたどり着いた。


「報告。探知外です。つまりもう、現実世界へ復帰してます。」


「そう、なら......いいわね。早速、借りを返すとしましょうか。」


『借り?』頭に疑問符を浮かべつつも扉を開けるシュレイの後に続くエルシュ。


扉を開けた先には、世界樹ばりの極太の(みき)

生い茂る葉。

光が枝の間を通り、地面に咲く6色の花弁を持つ花畑に降り注ぎ、光を受け心地よさそうにしている花から、ビー玉くらいの金色の光の玉が溢れ、空中に解けていた。

水が吹き出す小さな噴水の側に、テーブルと椅子が置かれていた。


「問。何ゆえここに、さきほどの借りとは?」


ここはシュレイの庭園の中でも中心部にある巨大な結晶核の真上だった。

つまり、シュレイは心臓部に近いとことに立っていると言うことになる。

もし、他人に領域魔法の領域核の場所を知られ、それを奪われたり、撃破されたりすると、領域の消滅を意味する。

文字通りの『消滅』だ。

もう二度と復興できないし、魔法も使えなくなる。領域魔法に関わらず、自然魔法もダメなようだ。

植物精霊に取ってはもっとも守るべき、秘匿された場所じゃなければ意味がない。


「ちょっと元同族を招くからそれなりの敬意を見せようか、とね。」


「不服。しかし、ここではなく普通の庭園でもいいのでは?」


「いや、そうも行かなそうなのよね......目的は広大な面積と、発展途上の土地。絶えることのないマナ。そして、案外チョロいその主......とくれば?」


「理解。なるほど、【小さな庭園】へのアクセス権および契約。」


「そ、だから、私もここを使うってわけ。」


「納得。確かに、私の『核』とリンクしているこの泉を使えばアンの庭園に影響はありませんね。」


ふむふむと首を降るエルシュ。


そして今いる場所はアンには教えていない。

アンが庭園内にいたら、異常を感知され、せっかくの行動が台無しというわけか、とエルシュは理解した。


秘密基地......そう呼ぶに相応しい、まさにこじんまりとした可愛らしい場所だった。


「さて、作戦まで時間も限られてれるし......さっさと済ましましょう。」


そう言って、胸に着けていた小人族産の綺麗な花を近くの噴水に浮かべた。

黒のワンピースに着けていたコサージュを水面に浮かべた瞬間、突如としてその噴水から光の柱が立ち上った。


シュレイはその現象を眺めつつ真剣な面持ちでエルシュに指示を出した。


「エルシュ、現在の空間から、異空間に転移してちょうだい。」


「!?」


取り合えず指示通り転移させたが、動揺していたためか少しばかり揺れが伴った。

まさか空間を移動するほどとは、と驚いて声すら出ないエルシュにコサージュに指を差して理由を話そうとしたシュレイ。

しかしーーー。


「いま、私の庭園に『あれ』のマジック・ラインを繋げたからこっちに来るのよ。アンの座標をばれるわけにはー『やー!もっとはやくよんでほしかったなー。』......」


光が未だに立ち上る噴水からこの独立領域空間において別の人物の声が聞こえてきた。


「確かにマジック・ラインを繋いだから、来れる理屈はわかるけど、早すぎじゃない......」


さすがのシュレイも驚きを隠せずに光の柱から出てくる人物に文句を言う。


光の柱から出てきたのはシュレイと同じ身長くらいで、木で出来た身の丈ほどもある杖を持つ女性だった。

髪の色は一房ずつ違っていおり、黒、白、緑、黄色、茶色になっていた。

服装は僧侶を思わせる白に金色の刺繍がされた服を来ていたが、いかんせん髪のせいで派手な印を与えている。


「うーん、そうかな?この近さならタイムラグ無さそうだけどー。」


キョトンとして首を傾げる女性。


「森羅ナチュリオレ......」


驚いた表情のままポツリとエルシュが呟くのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。


自己紹介はお互いに必要がなかった。

植物精霊の中でも特異存在な二人だ。

片や、世界に唯一、自分の種子を撒かなかった魔皇。

片や、領域魔法が唯一使えない植物精霊で換わりに数多の権族を持つ森の王。


二人はテーブルを挟み向かい合う。

ナチュリオレはキョロキョロと周りを見回して、じきに首を傾げた。


「あれ、そっくりアンちゃんはいないのー。」


「分かってて聞いてるでしょ?ここにはいないわ。」


二人の間にエルシュがカップを置き紅茶を入れるのをしり目に、あからさまに落ち込んだ表情のナチュリオレ。


「ざあんねんねー。生でみたかったのになー。」


シュレイはカップを手に取りつつ敵意を向けた。


「で、まさか本当に取り入ろうとしてるだけじゃないでしょ?アンじゃなく私宛に伝言を残すんだから。」


困ったような表情を浮かべるナチュリオレ。


「いやー、ごめんね?『私』って小人族の町の名産品によく使われてるから、町でのことは大抵知ってるよー。」


名産品と言えば『霊薬』か.......いや、建物や食べ物も含まれるのかもしれない。


「でかい『私』もあったものね。まったく。」


つまり、こちらの行動は筒抜けだったと言うわけか......

にっこり微笑み感情を悟らせないナチュリオレ。


領域魔法を持たないナチュリオレは、換わりに自らの権族を産み出すことが出来る。

この権族はナチュリオレとしても扱われ、多種多様な種類の花や草、木に、しまいには魔物などを産み出せる。そして彼らはナチュリオレを守るために深い森を作りだすことと、時に目になり、時には手足となる。


「ナチュリオレ、2000年くらい前に『魔性の森』の原型を作った後、北大陸に移住したじゃない。なんでこっちにいるのよ。」


「あれ、しらないのかー。500年前に現魔皇とある約束したんだー。」


えへへ。と笑うナチュリオレ。

シュレイはレーゼンが何を契約したか気になるところだが、こっちにいる理由はわかったので良しとする。

(レーゼンだって子供じゃないものね。)


話を続けると、どうやら、ナチュリオレはレーゼンと契約してから樹海迷宮に権族と共にこもっていたらしい。

樹海迷宮の最奥に居城を作りかれこれ320年.......だそうだ。

今回、ナチュリオレの群生花が咲き乱れる魔性の森にて高濃度の魔力が突然発生してたため、気にかけてたらギルフォードとアンを森で見かけ、さらには植物精霊ネットで、ミストレニアの契約者.....まで知ることが出来たが、そこから、音沙汰なくヤキモキしてると、アンではなく、シュレイをこの町で見かけたと言うわけだ。ちょっとした話もあるし、恩を売っておこうと......


「って、いいからその話をしなさいよ!!」


「短気はー損気ー。」


ほんわか答えるナチュリオレにイライラするのをエルシュが入れた紅茶で緩和していく。

そして、やっとこ本題に入ったナチュリオレ......

(アンに植精ってこんなのしかいないの?とか言われたらヤダな......)

そんなことを考えつつ話を聞くシュレイ。


「んーとね、フルエンクの総人口10万に対してコンクレントは1万なんだ。あ、外部の冒険者とかいれたら1万2千くらいかな。」


指を立てて、数えるようにするナチュリオレ。

シュレイは何を言いたいのか突っ込みたいが黙って聞いていた。

すると、


「でね、コンクレント上空に停滞しているフルエンクの確認できる人口はー、120人。その内、人種が50人だってー。」


「は?なにバカなこと言ってるの?建物の中にいるだけでしょ?」


あり得ないと思いながら、どこか頭の片隅で、どの町も攻められないのは可笑しいと思っていた。

しかも、フルエンク軍を見たのは私が目覚めてすぐの魔皇城攻防戦のときだけだ。


そして、このことが事実と分かる情報源を教えてもるった。


「うそじゃないよ、だって数えたのヒマリとルナリアで内部はエンドウとか食物連中だもん、私も食物軍として数えてたー。」


一生懸命キリッとした顔を作るナチュリオレだが、そんなことしなくても、シュレイは信じていた。


「その布陣なら数え漏らしもなさそうね......そうなると攻め込む必要ないんじゃない?」


「んー、そうでもない、寧ろシュレイだけでも先に上がってほしいくらいだよー。」


腕を抱え唸るナチュリオレ。

どうやら事態は予想もしない方向へ向かっているようだ。


「人口の減った理由が、人々を犠牲に『ナニカ』を呼んだみたいなんだー。」


そういうナチュリオレは、それが呼ばれたのは3日前だと言う。

私がこの町来てからで、それまでは人口も10万くらいいたらしい。


「で、そいつがフルエンクで待ち構えていると言うわけね。」


そういうとふるふると首を横に降るナチュリオレは言った。


「そいつ、コンクレントの冒険者ギルドで大暴れ中だってー。」


沈黙してしまうシュレイと動きを止めるエルシュ。

しかし、それも本件と関係ないとばかりに流した。


「そいつは現魔皇と赤いのと他のメンバーで押さえているみたいだけど、それよりも、フルエンク城に行って欲しいなー。」


どうやら、押さえているだけで押し込んでいるわけではないみたいだが......


「なんでよ?約10万の魂で出てきた存在でしょ、それ以上がそこにあるの?」


その問いかけに今回はじめて怒りの表情を見せるナチュリオレにゾクリとするシュレイ。


「......あるよ、王を名乗る簒奪者。魔王を殺し魔力が高い肉体を手に入れ、風の自然精霊を封印し、さらにーーー。」


ナチュリオレが最後に言った言葉がシュレイの奥深くに刺さる。


「......そいつ何者よ?」


シュレイからでる声も冷たい冷気を纏わせていた。


「わかんないけど、仲がいい植精は基本攻め混む予定ー。」


「ちょっとそいつに興味出てきたかも。」


ナチュリオレが最後に言ったことはーーー。


ーーーーーーさらに、『星喰の魔眼(ギルガ・リビリウス)』を用いて、ルシャとエンドウを捕らえており、彼らで実験をしようとしているらしい。


(『星喰の魔眼』ねぇ?なんで持ってるのかしらね......もう持ち主は転生してるのに......)



ーーーーーーーーーーーーーー。


『クレーフの宿屋』のベットの上に寝かされた自分の顔を見下ろす、と言う不思議な体験をしているアンは成功したことに大喜びで部屋を出て行った。


「30分かかったけど、成功した!よし、作戦時間まであと1時間ちょいくらいか、探索探索!!」



そして、1時間なんてすぐ過ぎていき、作戦時間になった。

作戦場所小人族の町から離れた開けた場所に500人近く集まっていたが、想天花シュレイの姿は見つからなかった。





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