罪悪感、かな?
私を押さえつける力が消失して、うえに倒れ込んでくるフェネクスさんの体。
視線を横に動かすと発火し始めたフェネクスさんの頭があった。
さらには倒れ込んでいる身体の方も火の手が上がり始めていました。
「ちょ、あっっつつう。燃える!燃えちゃう。」
なんとか抜け出して、フェネクスさんが燃えているを見ました。
今の私は【精神安定】スキルが消滅しているので、心臓の音とかバクバクでスキルの力がどれ程スゴいか改めて感じましたが、無くなったものは仕方がありません。
それに、フェネクスさんが庇ってくれなければ私の首が取れていましたね。ゾッとします。
それにしても、致死性の風の刃も気になるところですけど、何故、オリジンさんと戦ったときのように即座に再誕しないのでしょうか?
オリジンさんの一撃と今の一撃で違う所は攻撃部分と魔法かどうかですか.......
綺麗な切断面を作る壁に背を預けフェネクスさんを見つめます。
攻撃部分については、切断された首か抉りとられた心臓かの違いでしょう。どちらも即死間違いないのでこれは違うと思います。
つまりーーー。
「魔法攻撃だと再生に時間が掛かるということですか......」
「風の刃が......「アン!無事ですか!?」」
私が思考に嵌まる前にオリジンさんの慌てた声が掛けられました。
オリジンさんはセレナイトさんと一緒に屋上にいた筈ですが、風に襲われた際にオニキスさんに投げられれたコンレルさんをキャッチするために降りたみたいですね。オリジンさんの隣にいるセレナイトさんがコンレルさんを支えていました。
「急いでそこを離れてください!また来ますよ!」
「っ!うそでしょ。」
またといわれた瞬間には不自然なそよ風程度の流れを感じたことで、その場を飛び移るように離れました。
本当に僅差で先程よりは低い所狙いの魔法攻撃。
飛び退いたすぐ後ろの地面に豆腐よろしく並みの切断の跡。
死を運ぶ正確無比な風の刃。
「あぶなかっ、わぁ!」
私が避けれたことにホッとしていたら、突然訪れる身体の浮遊感。
「こんなところでは避け続けることもままなりません、大通りに出ます!」
オリジンさんに抱えられた私はされるがままに移動していきます。
さすがのオリジンさんもオニキスさんと同じで強腕てわけではなく、ただ単に【制限】をかけた私が小柄なだけでのようです。
「あっ.......」
「属性魔法の攻撃で再生が遅れているだけです、心配ありませんよ。」
残された燃え逝くフェネクスさんが大通りに出たことで姿が見えなくなりました。
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大通りに出た私とオリジンさんは向かい合うように立つ小柄な黒髪メイドとエルフの美人さんの丁度真横に出てきていました。
「あら、手応えは有った筈なのに無傷ですか.......相変わらずですね想天花......忌々しい。」
「っ!」
今までなら殺気を感じても恐怖を感じることが少なかったのに........
オニキスさんと向かい合っているのに私に顔を向けて微笑むエルフのお姉さんにゾクッとしてオリジンさんの服を握り締めます。
この人、笑顔の中に殺気を.......
ギュッと服を握る私をオリジンさんが隠すように背負いました。
「1500年前に里を助けて貰った相手に向ける感情がそれですか.......フロウ。」
「そんな錆がつく昔の恩を何時までも感じている私では有りませんし、ソレが人間に殺されたのはいい気味です。」
相変わらず笑顔を作ったままオリジンさんと会話をするエルフから私に対する負の感情が溢れて視覚化しているのか、エルフの周りに
どす黒い気が纏わりついていた。
オリジンさんは彼女と知り合いなのか話を続けていたようですが、断念したみたいです。
「今のあなたは......いえ、良いでしょう。推し通らせてもいます。」
そう言ったオリジンさんの台詞にフロウさんの笑顔だった表情が一転、無表情に早変わりしていました。
こわっ、エルフのお姉さん恐っ。
「意味不明です。あなた達と私の間には魔王の恩恵という絶対的な差が存在し、亜人にして高位精霊とすら単体で渡り合えると言うのに......」
「......それが?なにか。」
「え?」
ため息を吐いて答えるオリジンさんにフロウさんの三つめの表情を見れた気がしました。
それは呆気にとられる表情でしたけど......その表情でも愛嬌あるっていうか、可愛いな畜生。エルフなんて容姿チート......
しかし、フロウさんのその表情は、投げられた巨大な建物の残骸によって数瞬で見えなくなりました。
フロウさんを居た所に覆い被さるような影を作り、上から落ちてきた建物によって辺り一帯が粉塵に包まれてしまいました。
呆気に取られていたのは私も同じです。
私を背負ったまま走り出すオリジンさんに揺られてハッとしました。
私が何かを言おうとする前にオリジンさんが後ろを振り向き手のひらサイズの水晶玉を粉塵に向かって投げ込みました。
「アン、息を止めておいて私に強く密着してください!」
急かすような物言いに考える暇もなく言われた通りにしました。
水晶の独特の高い跳ねる音が次第にコロコロと転がる音に変わりました。
粉塵の向こうで咳をしながらこちらに冷静に声が聞こえてきます。
「ふ、不死身?」
「いえ、違いますよ、単に障壁を張ったのでしょう。」
あの一瞬で衝撃に耐えれるものを作れるってことですか......
私がミストレニア様に教えて貰ったときは、障壁は質量で持って突破されることが多いから過信はしないようにって習いましたけど......
10mは越える建物に押し潰されない障壁をすぐに作れるなんて.......チートや!
私の思ったことに言いたいことがあるのかいいタイミングで、風の刃が頬を切り裂きました。
......
見えてませんよね?
「はい、はい、城に向かうですか?了解しました。そちらはお任せします。あとオニキスに、いいタイミングでした。と言っておいてください。」
ん?誰かと通信しているのでしょうか......
「ヒッ!また。」
正確に狙ってくる風の刃をオリジンさんは未来予知張りに避けていきます。
「そろそろ、離れましたね.......では、『クリスフィア解放!!』」
「オリジーーー。」
オリジンさんはそういうと向きを変え、即座に粉塵とは逆方向に走り出しました。。その直後、粉塵の真ん中で水晶玉に込められていた魔神フェネクスの【セイクリッド・ブレイズ】が猛威をふるい、粉塵と反応して連鎖的に大爆発を起こしました。
地面を揺らす大地震のような衝撃の中正確に走り抜けるオリジンさんは近くにあった冒険者ギルド出入り口ではなく、通路を曲がった先にある地下下水道に飛び込んでいった。
飛び込んだ先でオリジンさんは軽い身のこなしで反転して入り口に手をかざし魔法を唱えていました。
「蓄積されし年月の象徴、濁らない輝き【シールド・クォーツ】」
上下左右から中心に構築されてく綺麗な水晶の盾。
その中心に描かれる意匠には6に分かれた花弁の花。
その光景に私は言われたことも忘れて声をあげる。
だって、なんてーーー
「綺麗......」
「来ます!!」
明らかに来るタイミングを知っていたオリジンさんは盾を掲げ地下下水道を食い荒らそうとする爆風と爆炎を盾で押し返していた。
地下に逃げ込んだ私達はこの炎の侵攻を許すと釜焼みたくなることは必然......かもしれない。
しばらくして勢いが収まって来たので、私はオリジンさんの背中を降りた。
いや、それにしてもオリジンさん片手であの勢いを止めるなんて、実はさっきのエルフさんより強いのではないかと思いました。
じゃぁなんで倒して入らなかったのでしょうか?そう聞くとオリジンさんは、
「一対一なら負けることは有りませんし、彼女クラスが二人いても瀕死までには追い込まれますが倒せますよ。でも、今は無理です。申し訳有りませんけど。」
申し訳なさそうな顔をしていた。
つまり、足手まといがいたから......か。
私もなんとか戦えるようにならねば!
このままだと愛想をつかされてしまうわ!
グッと握りこぶしを作る現在100cmの私にオリジンさんは微笑んで頭をポンポンと叩きました。
「気負う必要は有りませんよ。あたし達はシュレイ様やアンのためにいるのですから。」
そう言われたけど、でも、このもやもやとした感情は?




