凍った街
寝落ちしちゃいました。
読んでくださりありがとうございます。暇潰しになれるよう頑張ります。
天辺の吹き抜けに鐘がついた大きな教会。
東西南北の道を繋ぐ噴水がある中央広場。
遠くには時計がついた学校のようなものが見える。
半壊している城を中心に3層構造の城壁。
そしてその城壁に分けられた城下町。
城に近い城壁の中の町並みほど程、お金が掛かりそうな建物が多く、一番外側に至っては木造の歪な形の建物があった。
「こら、糞ガキキョロキョロしてんじゃねーですよ。」
「え、私?」
「オメーしかいねーですね......はっ。」
「ぐぬぅぅ。」
「アンさまー、こいつぶっ飛ばしていいのー?」
「やめなさい、アナタ達ここはもう敵地も同然です。アンは警戒していただけです。さすがですね!」
まぁ、物珍しさで目移りしてましたとは言える状況じゃなさそうですね。
頷いておきます。当然見抜かれましたが......
そう、今私はコンクレントに来ているのです。
さらに辺り一面が銀.....いえ、氷世界。
なんてクールな表現が出来てしまいそうなほど氷で何もかもが閉ざされていました。
裏路地に残る血痕は氷で覆われているためについさっき何かあったように感じるほどです。
赤い氷とか、ちょっと心を刺激しますが、この出血量は怖いですね。
目的地の冒険者ギルド『イシュリカ』まではもう一つ城壁を越えた先の中層域にあるのらしく、城の地下に転移してきた私達は崩れた城を抜け城壁を目指していました。
城壁を越えるときに、シュレイさんが周りを飛び回っていましたが戻ってきました。
『アン、私はちょっと庭園でやることがあるから行くわね、この面子じゃ大丈夫そうだし。』
そう言って私の頭に花が繋がりました。
ちなみにこの花一回繋がるとシュレイさんが戻ってくるまで昔と同じくくっついたままです。
まぁ、元は私の一部ですし、そうなるでしょう。
(わかりました、けど......何するんですか?)
だって私の庭園に想天花植えたから移動できるとはいえ、今は瓦礫の山があるだけですし、アレ片付けるのは大変そうです。
そう言う私にシュレイさんは嫌そうに答えました。
『ん?ああ、えっとね、私の庭園って独立させてるのよ。簡単に言うと私が死んでも庭園は残り続けるみたいな感じでね。』
てことはシュレイさんが私と一緒になった今までずっと、1000年間別空間に存在していたということですか?
『いや、1000年てよりは10年なんだけど、それ時のことが問題だったりね?』
賛同を求めるような声が聞こえた。
何が問題?あ、もしかして......
(ずっと放置で領域さんがヘソを曲げてたりしてね......まっさか、しゃべる訳じゃないし、ありえないですね。)
『......』
(......まじですか。)
『......コクコク。』
どうやらシュレイさんの領域魔法は人格があるらしい。
(怒ってないといいですね?)
『いや、怒ってたわ、一回魔法引き出したらラインが繋がってね、それで引き出した魔法の威力が怒りを表したように高かったわ。私はMP30くらいし使ってないのに、実際あの落雷槍MP60とか使いそうな威力だったわ。つまり怒ってる。』
(......む、向き合うことが大切ですよ。)
『あ、ありがとう......それじゃいってくるけど、アンの魔法領域を侵食して来てるから、何か無くなってたらごめんね。』
ああ、それって南エリアのことかな?
四分の一持ってくとは......私の研究エリア......はいいんですが、私のセキュリティの杜撰さ......セ○ム欲しいよ。
シュレイさんの暖かさが失われた感覚とフルオープンな領域のドアのことで落ち込んだ私はその場で象形文字のポーズをとっていた。
私のことをチラチラ見てくる燃える鳥さんがグチグチ言ってくる。
「疲れてんのはこっちですよ、コケてんじゃねーです!めんどくせーですね。ほら!」
まぁ、何だかんだ口では悪く言ってもこうやって手を差し出してくれるなんて、ツンデレですね。フェネクスさんは、もう!!
「あぁん!ニヤニヤしやがって何が言いてえんですか!」
「いえ、何も。ただ、フェネクスさんて実は優しいのかなと思っただけです。」
「......何言ってんだか分けわかんねーですね。」
照れちゃってさ、フェネクスさんは!
フェネクスさんはこちらに伸ばした手で私の襟を掴み力任せに立たせ先を歩くコンレルさんの横に行きました。
照れ隠しなのか、コンレルさんにローキックを放っていました。コンレルさんは頭に疑問符を沢山出していました。
フェネクスさんが私の側を離れたことを見計らって、一番後ろを歩いていた小柄なオニキスさんが黒い目を不吉にに輝かせて側に来ました。
「アンさまー、もう......いいよねー?殺ってもいいよねー。」
「いえ、まだダメですよ。きっと素直になれないだけですから。」
隣ですぐにでもフェネクスさんを殺そうとするオニキスさん。
シュレイさん......このメンバー本当に大丈夫なんでしょうか?
戦闘力的には信頼してますけど、連携はできなそうですね。
特に、ウチの物質精霊さんはフェネクスさんを嫌悪していますし......
「オニキスさん、なんで皆さんはフェネクスさんを好きじゃないんですか?確かに、付き合いづらいですが、以外と気が回りますよ?」
そういう私にオニキスさんは、歩きながら両手を頭の後ろで組んで少し上を見上げてました。
「んー、ん?そうだなー、中身が違うのに威張ってるとこ?あとはー、アンさまーやシュレーさまーに悪態をつくことー。」
「前半より、後半の理由の方が多そうですね。」
「んーそうだねー。とりあえず殴りたーい。」
ニコッていい笑顔を見せてくれますが言ってる内容は物騒ですね。
他のメンバーもそうなのかな?
そう思い、斜め前を歩いていたセレナイトさんとオリジンさんの方を見ますが......
「殺っ!?オリジン、お、ちつて、ね。」
「離しなさいセレナイト、相変わらず頭にくる鳥女ですね!」
「な、いしんは、やさしい、よ?」
「そんなん知りたくもありません!ぺっ!いいですか?横柄な行動をする......×です。それだけでもう、×です。」
「ちょ、っとアンが、見て、るよ。」
「はっ、そんな手が......」
セレナイトさんがオリジンさんを若干羽交い締めにしていました。
押さえるセレナイトさんと感情を露にするオリジンさんのそんなやり取りをしている光景を見つめていたら、オリジンさんとちょうど目が合って、なんか悪いことした気分になってドキッとしてしまい、誤魔化すように微笑んだら、プイと顔を反らされました。ついにオリジンさんにも見離されたのですか!?私。
ちょっとショックです。
「オリ、ジン顔真っ赤。」
「......偵察に行きますよセレナイト。」
そういって二人して少し私たちから離れていきました。
城壁を越えた先の中層域は、戦火が酷かったらしくあちこちで生々しい、氷漬けの死体とおびただしい程の血痕が凍ったものがありました。それにしてもすんなりここまで来れましたけど、警戒する必要あったんでしょうか?私はこの世界に来た数日は森の中にいましたし、その後はずっと城の中で、いまだに、状況が飲み込めませんけど......
他のメンバーもここまですんなり来れたことに違和感を感じているみたいでした。
「ここの裏路地を抜けて、右側の建物が『イシュリカ』だけど......ここは激戦区だったのか?」
「コンレル、足元のゴミをちゃんと避けるんですよ?」
「ありがとう、フェネクス。」
そういってコンレルさんの手をとり、ごみと言われた死体の山を避けるフェネクスさん。というか......
「うそ、あの人猫被ってるんだけど!?」
「ねー、バカみたいだよねー。」
いや、そうは思ってないですけど、オニキスさんも中々言いますね。
コンレルさんが前を向いた瞬間、フェネクスさんが私を見て、思いっきり舌打ちとガン飛ばされたんですが!私ですか!!
それにしてもこの裏路地......至るところに切り刻まれた跡や穿たれた穴、死体には的確に急所をついた跡。ここで戦っていた人って相当な手練れ?でしょうか。
そんな人相手にしたくありませんよ。
「さて、この先だけど、何が出るかな......」
「コンレル前に出すぎないようにするんですよ。」
「わかってるって。」
「あれ?あの二人は?」
「アンさまー屋根の上にいるよー。」
そういって、裏路地の先を4人で顔をだして異常が無いか確認しました。
結果ーーー。
「はい?」
私の口からつい声が漏れてしまいました。
だって裏路地を抜けた先には、一人で冒険者ギルドを背後に立っていたモノがいたのです。
あれってどう見てもエルフじゃないですか。
流れるような綺麗な金髪に宝石のような碧眼。
ファンタジー通りの美女。
敵対してるのは人族だって話ではないのですか?
そんなことを思い唖然としていると、エルフの美人さんと目が会いました。
ちょっとなんでしょうか......照れますね、手を振ってみました。
エルフさんは始め目が会ったとき驚いた顔をしましたが、私が手を振るとニッコリと微笑み、振り返してくれました。
「ーー、ーーーー。」
まだ遠くてエルフさんの声が聞こえませんでした。
なんだろうと思う間もなく、状況は目まぐるしく変化したのです。
「ど阿呆!なにやってくれてるんですか!」
「ふべし。」
そんな雑魚のやられ台詞と共に地面に強制的にキスさせられた私......
コンレルさんはオニキスさんが強腕で後ろに投げ飛ばし、オニキスさんもジャンプして退避。
屋上の二人は投げられたコンレルさんを回収のちにその場を離れました。
そして私を押し倒した鳥さんは......その場に放たれた風の刃でーーー。
「ぐがっ......」
「ちょっとフェネクスさん!?」
コトリと首が落ちました。




