バカに.....されました。
上座下座が関係ない円形のテーブルで向かい合う様に座っているアンとコンレル。
その後ろで控えるように立っていたメイドのオリジン。
そしてオリジンの目線の先にはコンレルの横まで来て横柄な自己紹介をした魔神のフェネクス。
なんか、一触即発な状態なんですけど......
コンレルさんに何とかして!と視線を送りますが、コンレルさんは上を向き顔に両手を当てる『やっちまったぜ!』なポーズをしていました。
コンレルさんのポーズで笑いそうになったわ!不覚!!
私の斜め後ろで私ですら2回しか見たことがないほど殺気を纏っているオリジンさん。
オリジンさんを怒らした一回目は、じっとしていてください。と言われたが城内を歩き回り迷子になったとき。
二回目は、現魔皇レーゼンさんの部屋に遊びに行って自分の部屋に帰らなかったとき、このとき、レーゼンさんが帰してくれなかったと言っても、聞いてもらえなかった。
その2回だけだ。
きっと下らないことで何怒ってんの?とかフリードさんなら言いそうだ、それに私にはオリジンさんが怒る理由に心当たりがないんだけどね。
そんなこと言ったらまた怒られそうだし。
『アン、オリジンはあれよ......アンのことが大切なのよ!たぶん。』
シュレイさんがそう言うなら......でも、たぶんて......
「だいたい、なんなのですか?その態度は!」
「なにが、文句あるんですか?」
「さっきからこの子を睨み付けていましたね?」
「うるせぇですぅ!こういう目付きなんですぅ。」
テーブルと主を挟んでお互いに言い争いを繰り広げる銀髪メイドとオレンジ髪の私を睨む女性。
コンレルさんは役に立たないし、こういう困ったとき私には奥の手があるのです。
さぁ!出番ですよAIBOUー!!
『ふふん、お任せあれよ!見てなさい私が華麗に解決してあげるわアン!』
(いや、ホントにお願いしますよシュレイさん。)
そうして私たちは入れ替わりました。この入れ替わりは実は2回目みたいですね。
一回目は私がまだ昏睡状態の時に早めに覚醒したシュレイさんが行動していたらしいです。
そのうえ攻めてきた魔王の嫁の一人を捕まえて牢にぶちこんでいるとか。
私がしらない7時間の間になにが......
あとでどんな人か見に行く予定です。異世界人なら私の同郷かもしれないですしね。まぁ厳密には『私の』ではないですが、思い入れもあるので『私の』ということにしておきます。
入れ替わると私が頭サイズの花になり、入れ替わったシュレイさんと私の違うところは、シュレイさんには右目が6色の花の紋様が刻まれている事くらいです。これは、元々シュレイさんには無かったものですが、たぶんですけど、【想天花】スキルとあの少年の金色の結晶が合わさった結果だと思います。シュレイさんに聞いたら特に違和感はないらしいです。......よかったです。
今の私はシュレイさんの頭から離れて行動できるのです。すこし前まで花と頭が一体化していましたが、半精霊化の影響か、または『合成』によって消されたかのどちらかです。
入れ替わった時に発生する魔力の残りで、言い争いをしていた二人が止まる。
その二人の視線の先には雰囲気と纏うプレッシャーが大きく変わった人物だった。
「ご主人様?どうされたのですか。」
「やっぱり!いるじゃねーですか!?さっきの落雷はやっぱり!」
不思議な顔をするオリジンとこちらを見て好戦的な顔をするフェネクス。
「1000年ぶりね!序列37位!」
「番号で呼びやがるじゃねーです。」
そう挨拶をするシュレイさんと体を燃え上がらせ、焔になるフェネクス。
て、煽ってるじゃないですか!?シュレイさん!
(良いから任せなさい。)
そういことならばと思い、なり行きを見守ります。
「所で、何代目なの?私の計算だと大体33代目くらいだと思ったんだけど。」
「僕はこれでも9代目ですよ、魔皇様。」
シュレイさんはフェネクスを無視して話を始め......シュレイさん!?あのオレンジの人めっちゃ怒ってないですか!?
そして、敬語で答えるコンレルさん。
コンレルさん、私の時にはそんな口調じゃなかったのに!
私が内心地団駄を踏んでいると、胸元に抱えられた6色の花の私を優しく撫でてくれた。
癒される。もうどうでも良いです。あっもっと右の花びらを......
そう例えるなら、喉元を撫でられて気持ち良すぎて寝てしまう犬のような感じ。
私が若干トリップしていると話は進んでいました。
「9!?誰か大公クラスに気に入られたのね。驚いたわ。」
「ええ、まぁそうです。でも、僕もみんなに聞いていた人とイメージが違うようでビックリしましたよ。」
「どんな?」
「『我ら魔神に挑み63柱まで撃退した魔神を越える化け物』と言っていましので、それがこんな可愛らしいとは。」
「そんなイメージだれが言ってるのよ。本当は65よ!」
「ダンタリオンとセーレに教えて貰いました。」
ねぇ二人とも、今そんなのんびり話してないでオリジンさんとフェネクスさんがなんかもう、あれなんだけど。
止めようよ!?ねぇ!
シュレイさんてば!
(ん?ああ忘れてたわ。コンレル青年の話に聞き入っていたわね。)
シュレーーーーーーさーーーん。数分前任せろっていったじゃん!?
(お、怒らないでよ......アン。)
シュレイさんは申し訳なさそうにいいました。
「オリジン。」
「なんでしょうか?ご主人様。お手洗いですか?手伝いますか?」
「ちがうわ!というか手伝うって何!?」
オリジンさんも不機嫌そうというか......止めないでくだいさいオーラが溢れてました。
「オリジン......ヤってお仕舞いなさい。」
「承りました。よろこんで......」
あ、今日一番の笑顔を見ました。
シュレイさんあなた結局止める気無かったじゃないですか.......頼んだ私がバカでした。ふーんだ。
そう言って拗ねる私にシュレイさんの声はちょっと焦っているように聞こえました。
まぁ、心の中の会話ですけど。
(ちょ、ちがうの、アンあのね?アイツがアンをバカにしてるからブッ殺.....現実を教えてやろうと。)
いや、オブラートに包もうとしてますけど包めてないですからね!?
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そして、今。
「ぐはっ!.........ボン......バシュッ。はぁはぁはぁ、一回殺したからってイイ気になるんじゃねえです!これでも喰らいやがれです。【フレイム・フェザー】」
「む?不滅存在は相手にするとめんどくさい限りですね。ー煌めく無数の輝きー【クリスタル・クラスター】」
胸を抉られ即座に燃え尽き、その場で何もないのに爆発して燃え上がり再誕し、焔の羽を飛ばしてくる女性と、
右手に握っていた心臓を握りつぶし、こちらに向かってくる無数の燃える羽に向かって手を横に振り細かい結晶粒子をばら蒔きぶつかった羽を爆発させて食い止めるメイド。
「うわー、オリジン姉さんマジじゃないの?」
「ほんとにねー。」
「相手あの鳥私嫌い。」
「まぁ、まぁ、口は悪いけど守護についての仕事はしっかりやるのよ?あの子。」
「ふーんそうなんだ。私、オリジンが8回殺すに今の仕事を賭けるわ!」
「いや、仕事しなさいよとは言えないけど......さすがに無いでしょ?3回くらいじゃないの?」
「昔はどうでしたっけ?オリジンの方が勝ち越してましたけど......」
「万能型と再生特化の勝負?」
「固有スキルが物をいうのかしら?」
「私はフェネクスが4回で折れるに賭けるわね。」
湖底魔皇城の中央庭園では突然始まった決闘?に他の仕事をしていたメイドが集まってきていた。
どうやら皆さんイベント事には貪欲のようですね。
トトカルチョ始めてますよ!?でも、フェネクスさんが殺られる回数に賭けてますけど.....実力が違うみたいですね。なんで受けたんですかフェネクスさん......
(昔と変わんないわね、この子達は......)
シュレイさんが言うには1000年前からこんな感じだったらしい。
他に娯楽はなかったんでしょうか......
(これといって無かった気がするわ。昔はこの子達の他にマンドラゴラとトレインもいたんだけどね。)
へー、きっとフリードさんみたいな騒がしいのがたくさんいたんですね。
(ふふっそのフリードさんもここ出身よ?)
マジですか!?驚きです。
そんな話をしていました。
だって私は本当なら外の世界の状況を聞いて、あわよくばコンレルさんが外に戻るのに便乗しようと......
「コテンパンにしちゃいなさい!オリジン!!」
(いや、こういうのはドキドキするわね!)
なに発破掛けてるんですか?て、多!?
シュレイさんに頭に乗せて貰い周りを見回しましたが、バトルを見るメイドの数が倍になった気がします。
驚いている私と苦笑いのシュレイさんの元にバトル中の魔神の主が話しかけて聞きました。
「いやはや、どうもすいません。魔皇様、あの方が貴女ににた気配がするのに、その......アレなのが許せないと言って聞かなくて。」
「いいわよ、私も自覚してるから。でも、ああ出られるとさすがの私も殺りたくなるから言い聞かせときなさいよね。アンをそのアレとして扱われると不快よ。」
「はい、肝に命じておきます。」
うん、何となく私のことバカにしてない?
頭を下げるコンレルと手を振るシュレイさん。
コンレルが戦いを見ながらこっそり近づいてきた。
「本題なのですけど......魔王の嫁が洗脳を受けていなかったということですが......」
「ええ、驚いたわ、あの子達本気で好きらしいわよ。」
驚くコンレルと呆れ返るシュレイさん。話の内容は私が寝てるときに捕まえた魔王の嫁のことらしいですね。
ハーレム野郎の取り巻きですか......ヘッ!
「確かですか?ここの物質精霊の【浄化】で反応が無かったというのは。」
「間違いないわね。反応なしよ。」
考え込むコンレルとぞんざいに返すシュレイさん。
でも、物騒ですね......洗脳とか思考誘導とか、私の世界にもそんな力があったら恐すぎますよ。チートですよ!
「シャックスでもお呼びしますか?」
「アイツ最後に裏切るわよ......だいじょぶなの?」
「そこはまぁ、なんとかしましょう。」
「あっきれた、そんな性格でよく使役してるわね。」
お手上げだのポーズをとるシュレイさんに苦笑いを返すコンレル。
「いえ、使役じゃないですよ、友人達ですので。」
「まぁ、いいわ。じゃあそれで行きましょうか......こっちよ。」
そう言って歩き出すシュレイさんとその後に続くコンレル。
向かう先はこの城にある地下牢だ。
「なんの!たかが左手を封印されたくらいでどーてこたーねーですよ!!」
「私のモデル0にヒビをいれますか!?腕をあげましたね。」
「ー聖なる歌声に乗せて走り逝け。焔よー」
「ー完全なる球体、ただのひとつも歪みを許さぬ真円よ、すべてを飲み込めー」
「【セイクリッド・ブレイズ】!!」
「【クリスフィア・ドレイン】。」
オレンジの燃え上がる焔が無色透明な水晶に吸収されようとしている光景が展開されていた。
「せけーでやがります!?」
「こちらも忙しいので聞く耳持ちません。」
そんな台詞を背中で聞きつつ地下牢に向かった。




