尋問に使われるアレ
「......」
「......」
無言で地下への階段を歩いていくシュレイさんとコンレルさん。
階段は螺旋階段になっており、ぐるぐるともう何周もして目が廻りそうでした。
城の一階から垂直に30mくらいは歩いたと思いますが、未だ先が見えませんでした。
私はシュレイさんの頭の上に乗っていましたが前が真っ暗で灯りもないので少し恐かったです。
それにしても、楽をしてる私が言うことではなのですが、二人とも疲れないんでしょうか?疑問に思います。
少ししてやっと平らな所に出ました。
壁も床も石で出来ていて、なんと言いますか......私がイメージしていた牢屋そのものが通路を挟んだ左右に4つづつありました。
私たちはその内の一つに向かっていきます。
あれ?ここには牢屋番はいなんでしょうか、周りに誰もいません。
『シュレイさん......ここって無人で管理してるんですか、牢屋番とかは?』
(ん?あぁ、居るわよ?もう少し進むといるわね。)
え?もう目的の牢屋に着きますけど.......シュレイさんは何処にいると言うのでしょうか?
牢屋の正面までたどり着きましたが誰もいません。
『シュレーーー。』
「ご主人様、お早う御座います。」
私がシュレイさんにもう一度聞こうと思ったら突然横から声が掛けられました。
浮き上がるほどビックリしてしまいながら声の方へ意識を向けます。
シュレイさんが挨拶を返した人物は体が透き通った薄い女性でした。
私が使用人探索の時に私の後を透明になりくっついて来ていたファントムさんでした。
ファントムさんなら私達が近づかないと見えないのは仕方がないと思います。
なんたって私は『リーダ』を持ってなければ一生気づけないままだった気がするのです。
『リーダ』の索敵範囲にうまく入ってくれて始めてつけられていることに気づいたのですから。
ファントムさんの仕事は魔皇の護衛と城内の不審者の発見と聞いていましたけど、まさか牢屋番もしていたとは.......
「コンレル様もお早う御座います。」
「っ、ご丁寧に、こちらこそーーー。」
こちらに頭を下げるオリジンさん似の容姿に全体的に透き通っているファントムさんに後ろから着いてきていたコンレルさんも驚いていましたが、即座に挨拶をしていました。
「ねー、起きてるのかしら?話をしましょ。」
シュレイさんが牢に向かって声を掛けていました。
私は牢屋の暗がりから此方に歩いてくる人物を見て心を揺さぶられました。
だって!!
『エルフじゃないですかー!!やだー。すごい。』
(ちょ、と暴れるんじゃないわ!?)
私が花の身で頭の上をくるくる廻ったり暴れたりするのをシュレイさんが押さえつけました。
そんな私の行動にビクッとして距離をとるコンレルさんと此方に向かってきていたエルフのクールなお姉さん。
声は聞こえていないはずなのになぜですか!?
不思議に思う私ですが、実は昏睡しているときに身動きをしていなかったため、只の飾りだと思われていたみたいです。
そして、ショックを受けて萎れている私をシュレイさんは苦笑いしつつファントムさんに手渡しました。
(アン、ちなみにあの子はエルフとドワーフの上位種のハーフよ。)
『ほっほほう。』
萎れていた私は異世界種族にワクワクですよ。
萎れていた花が瑞々しくなっていることに私自身気づきませんでしたけど。
「ふふふっ」
私を両手で受け取ったファントムさんが笑っていました。
ファントムさんには私の声が聞こえるのでしょうか?
オリジンさん似の顔を覗き込んだらウインクされました。
なぜか聞こえていたみたいです。恥ずかしい。
ふるふると震えている私でした。
ーーーーーーーーーーーーー。
コンレルさんがハイエルフとル・ドワーフのハーフの18歳くらいの少女に質問を投げ掛けていました。
シュレイさんは捕まえて意識が戻ったすぐにある程度聞いていたらしく、今回はコンレルさんが質問をしていました。
最初はどんなものか気になっていましたが、相手が敵対関係ということで黙秘が多くなり、不躾ですけど私は飽きてしまいました。
そこで、ファントムさんに彼女の持ち物や装備品を見せて貰うことにしたのです。
シュレイさんからあまり離れられない私ですが、少し位は移動可能ですので、さっそく。
「これがファリエラ様がもっていたものになります。」
『おひょー。』
「お、ひょ?」
『ん、ごふごっほん。』
身長をゆうに越える大太刀に感動のあまり変な声が出てしまいました。
ファントムさんが私が言ったことに首を傾げていますが、できれば気にしないでほしいところです。
聞いていたのがファントムさんだけでよかったです。
私の行動に五月蝿いシュレイさんに知られたらと思うとゾッとします。
少し離れたところでコンレルさんとファリエラさんの話を聞いているシュレイさんはこちらをチラッと見ましたけど気のせいでしょう。
ファリエラさんが持っていたのは、何処かの紋章が入ったローブにホルダー付きのベルト、巨大な大太刀、短刀が4本、日曜大工くらいのハンマーが二つ。片方は赤でもう片方は青、そして私が一番気になったにがーーー。
『ファントムさん、それは?』
「え?こちらですか?」
そういってファントムさんが持ち上げたのは私の世界に普及をしているあるものに似ていた。
「これは、なにか教えて貰えませんでしたけど、これは何も関係ない!の一点張りでしたし。使い方も私たちは分かりませんでした。ご主人様も私の記憶にはなかったと言っていましたので厳重に他と纏めて置きました。」
『......』
見せて貰ったのは確かに私が10歳を越えた頃に普及したスマホのデカイ版みたいな機械で、電話はできないけど大画面で色々できるとニュースにもなっていたやつですね。
どうしましょうか?私これ使い方知ってますよ?関係ないと言われると逆に怪しいというか、このタッチパネル型はスマホ並みに簡単だし、あとは暗証番号ですが、ここの物質精霊さんたちは見抜く力がずば抜けていますので問題ないでしょう。
これも、この城の危機のためですね。ワクワク。
『ファントムさん、私これ使えますので言う通りに動かして貰ってもいいですか?』
「!?本当ですか?はい指示をお願いします。アン様。」
『まず電源ですけど、そこの上を5秒押してーーー。』
電源が入り、セキュリティが出てきましたが、精霊のチートの力で突破しました。
『やっぱりありましたか......これいくつだと思います?』
「そうですね......4823919とか?」
ピピンッーーー。
『........何も言いません。』
「ふふふっ。」
『打てば響く暗証番号突破術』そんなレベルです。
ーーーーーーーーーーーーーーー。
そして色々動かしまくり、あるファイルを見つけてしまいました。
【テルヤ・ミナミ様(私のダーリンの行動観察)きゃ~!】
なんか悪い気がしておろおろしてしまう私とは別に、口許をヒクヒクさせて震えながら指でファイルを開こうとしているファントムさん。
『やめましょうよ!ファントムさん良くないですよ......その人に見られたくないものってあるじゃないですか!ね。』
「アン様、サイは投げられました。」
オリジンさん似の顔でオリジンさんが全くしない口の端がつり上がる悪どい笑みのファントムさんは止めることができませんでした。
そうして読み終わり笑いがある程度収まったファントムさんはこれをもって尋問が進まない本人の前に行き、朗読をし始める拷問を始めたら、わずか数秒で知っていることをすべて教えてもらえました。
私は敵であれ、ファリエラさんに同情しました。
原因は私ですけど、まさか嬉々としてシュレイさんとファントムさんでコンクレント城下町に張り出そうとした計画だけは、阻止しておきました。
そんな恐ろしいことは誰がさせますか!
もし私が対象だったらどうしましょう.......とりあえずこの二人には弱味を握られたくないと思いました。




