元魔皇空気読まず。
聞いてください。編集しようとしたら、昔の話をなぜか上書き保存されてしまい、書き直すはめになってしまいました。
バックアップ今度からとろう......
一回消失したので、私もうる覚えですが、大体流れはあっています。
消す前の話を読んでくれた方々申し訳ありません。
湖底魔皇城から凍った水面に向かって4色の光が昇っていくのを少女は眺めていた。
「うむ、ようやく動き出したか......しかし、今さら湖上都市コンクレントにいる主に救援を求めても遅いと思うがな。」
「はっ、ようやくですね!ここまで20日間の強行軍の末にやっと魔皇城を崩せるとは!」
茶髪の髪をポニーテールにした少女の側でフルエンクの軍服をきた青年が声をあげる。
少女は青年に向かって釘を刺した。
「しかし、油断するな、物質精霊を相手にするときは今まで通りにドワーフのスキルか、そのスキルを付与した武装を使用することだ。」
「はっ、了解しました。」
そう言って青年は地面を走っていった。
今現在の場所は湖底魔皇城から1500m離れた水底にフルエンク軍+魔王の嫁の連合部隊が水底の岩を影にしてテントを張っていた。
水の中でも行動が出来るのは、魔法技術で発展しているフルエンクがローブや鎧などに【水中適正】のスキルを付加している装備品を使っているからだ。
これによりある程度は水中で行動できるようになったが水中で息をするのが慣れない内はむせてしまう。事実、少女も始めはむせてしまった。
しかし、この装備品へのスキル付加により、フルエンク軍は火の中水の中と活動できることとなった。
そして水底で20日過ごしてもまだまだ行ける余裕もあった。
少女が野営地全体を見渡しても、普通に歩く者、泳ぐ者、様々だった。
少女がポニーテールの先端に髪留めをつけてから、
しばらくして少女の方にフルアーマーの鎧を身に付けた人物が慌てて走ってきた。
少女は視線を送るとフルアーマーのフェイスガードを上げたときにゴボゴボと空気が溢れてきたことに笑いをこらえ話を促した。
「ファリエラ様!申し上げます。」
「っふ、なんだ少佐。」
ファリエラと呼ばれた少女はフルアーマーの人物の肩にある紋章を見て返事をした。
少佐は城の方へと指を射していた。
釣られてファリエラも視線を向ける。
「魔皇軍が攻撃してきました!」
「ん?そんなことはないだろう。」
指が指された方向を見るが澄んだ水底が広がっているだけだった。
「間違いありません!現在偵察に着いていたa隊が交戦に入っています。ほら!」
そう言った瞬間視線の先でカラフルな閃光を確認した。ここと城の中間くらいだった。
ファリエラは驚愕に包まれた。
「バカな......」
ファリエラは魔皇軍が攻めてくるとは今までの経験上あり得ないことだったために、二度見もしてしまった。
「総員迎え撃て!やつらの弱点を付くんだ!奴らの数は4人だぞ!!」
「「おお!!!」」
交戦に入るフルエンク軍の声が辺りを反響していた。
「なんと!a隊壊滅!強襲したb隊も返り討ちにあい全滅だと!」
「相手一人に一部隊が壊滅させられるだと!相手は4人しか居ないんだぞ。」
「やつらの輝石を狙え!そうすればこの場は凌げる筈だ!」
「なにぃ、いままで手加減していたとでも言うのか!!」
ファリエラはフルエンク軍の困惑した会話を聞きつつ視線を前に向けた。
この本隊から離れたところでカラフルな閃光が断続的に繰り返されていた。
ファリエラは目の前の光景が信じられなかった。
魔王テルヤの第二嫁として第一嫁のフレイアと一緒にかれこれ170年はテルヤといるが今まで何度もちょっかいをかけた中で、攻めに転じられたことは一回もなかった。彼女達は基本的に守衛的だったが、魔王テルヤが魔皇レーゼンに直に殺されそうになったことはあるがそれだけだった。故に今回、ハイエルフとル・ドワーフのハーフでエルフの魔法技術とドワーフの固有スキル持つハイブリットなファリエラはフルエンク軍を引き連れて、魔皇城の正面から攻めていくことにし、それもうまく行き1500mの距離まで近づくことが出来ていた。
ファリエラは、物質精霊の弱点であるドワーフの固有スキル【クラッキング】を用いて、フルエンク軍はスキルを武装に付加した強化武装を装備していた。
そして交戦したとき確かに、ドワーフのスキルを使ったら彼女達が嫌な顔をしていたのをみんな見ていた。
はじめの内は、彼女達は定石通りに防御壁を張ったり、妨害壁を張ったりしていたがそれを【クラッキング】で壊すことにより、優位に攻め込むことに繋がったと考えていた。
彼女達に一発を入れることはできなかったがこうやって追い詰めることは出来たと思いたいが......
視線の先にはこちらに向かって高速で水底を駆け、砂ぼこりを撒き散らしながら迫る薄紫色の髪の毛先が少しカールしているメイド服の人物がいた。
(嵌められたのか......)
ファリエラはそう考えるが彼女達はーーー。
ファリエラは160cmある大太刀を鞘から抜き放ち、薄紫のメイドに向かって構えを取り、距離が50mくらいになったとき大太刀を振り抜いた。
「先手必勝。【クラッキング・ブレーダー】。」
ファリエラが大太刀を振り抜いた瞬間、水中にいるのにも関わらず振り抜かれた真っ黒な一本線を基準に空間に黒いヒビが入り、ガラスの割れるような不思議な音が鳴り響いた。
ヒビは薄紫のメイドに向かってどんどんイビツに延びていく。
黒いヒビの速度は早くないが扇状に向かって広範囲に広がって行った。
ヒビに触れた生物や岩はヒビの線が刻まれそこから砕けていく。黒いヒビに触れる危険度は計り知れない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー。
「まさか目を覚ましたのがアン様ではなくてご主人様だったとは。」
ファリエラから放たれた黒いヒビが段々と迫ってくるが薄紫髪の少女は手を前に翳した。
翳した手に髪と同色魔力が集まり一本線を作り出していた。
それが乱回転を始め、どんどんと変化していった。
一本線からLに、Lから三角形、三角形から四角形。
そして立方体へ。
最終的には薄紫色に発光する一辺が五角形の正十二面体を形造っていた。その間約5秒。
薄紫髪の少女はボヤきつつ手にした正十二面体を黒いヒビに向かって投げつけた。
「本来ならこの時間、私はアン様と一緒に花壇に水をあげる時間なんですよっと、【スフィア・キューブ】モデル4(フォー)」
黒いヒビと薄紫の立方体が接触した瞬間黒と紫の閃光に空間を染め上げる。
黒いヒビに触れた十二面体は閃光と共に弾け、五角形が周りに散らばっていった。
その五角形もヒビに触れて閃光を発し、ヒビと共に消滅していった。
連続的な紫と黒の閃光が収まった後には綺麗にヒビが消えていた。
「やっぱりドワーフのスキルは厄介ね【スフィア・キューブ】モデル4で止めるのやっとね。」
「今の魔法は私ですよ、なんで私がやったんだぜ!的なドヤ顔しているのですかコスモ様?解せません。」
「てか、なんで私たち4人だけなのかなぁ~アンバーがシュレイ様を怒らせたから~?」
「......うん、今のスキルは魔王の嫁の一人......ハーフの子がいるから気を付けていこう。」
「アンバーが話そらしたね。」
「アンバー様、最低ですよ。」
「でもでもね~、私たちも似たり寄ったりの悪口言った気がするの~。」
「......今は撃退を心がけましょう?」
距離が離れているため精霊ネットワークによる念話をしつつ、フルエンク軍を蹴散らしていく4人のメイド。
彼女達は自ら相手に攻めに行くこと滅多にないが、ついさっき魔皇シュレイが1000年振りに現れたために全員が張り切ってしまい行動を積極的に起こす者もいた。
しかし、ここの4人は別の意味で指名されていることを各自理解していたりする。
「はいっと、【スピニング・バンカー】......ちょっとコスモ様ちゃんと押さえておいてください。」
薄紫の髪を持つメイドが魔王の嫁のファリエラから放たれる斬撃をかわしつつ、固有魔法の棘の散弾でこちらに飛んできた魔法弓を弾く。
「スピネルごめんね、私、遠距離武装ないからね。」
スピネルと呼ばれた薄紫髪のメイドはこちらに振るわれる大太刀をかわしつつ愚痴を溢す。
「ほ、とい、いいますかなんで私がファリエラの相手を!?」
「なに、遠慮することはないぞ?私は手加減しない。」
そういって会話に混ざる大太刀を縦に振り下ろすファリエラ。
ファリエラは魔王の恩恵を受けとる内の一人だ。
その恩恵は、純粋に力を込めた分だけ威力が上がる。というスキルだ。
シュレイがこの場にいたら準チート級だと言っていただろう。
何故ならファリエラはドワーフのハーフゆえに力を込めることは人間の比じゃないくらいに込めることができるため、威力は驚異的だ。さらにすごいことに魔法にも作用する点だ、初級魔法でも力強く発音するだけで中級魔法並みの威力が出せる。
故にファリエラから放たれる多種の魔法やドワーフの粉砕スキル、斬撃などを、スピネルは時にかわし、時に固有魔法で相殺し、あるときは【スフィア・キューブ】のモデル2の正四面体の三角垂の先で受け流しており、スピネルが攻める隙はなかったし、下手をすれば一瞬で終わると思うほどだ。
しばらくして、スピネルの仲間が他の部隊を全滅させた連絡を受けていたが、防戦一方のスピネルは連絡に気をとられている暇はないほどで、一回死ぬことを覚悟した瞬間にファリエラが大太刀をしまい距離を取った。
「うむ、どうやらこれまでのようだ。」
ほっとするスピネル。
「いやぁ、あのまま続けられたら私困っちゃいますよ。」
「ふっ、困るだけか。」
ファリエラは苦笑いだった。
「全力で攻めたのに有効打を一度も与えられないとはな......」
「......」
ファリエラはそう呟き踵を返した。
スピネルはにっこり微笑んだままなにも答えなかった。
スピネル達魔皇城に住まう物質精霊は基本的には防御主体のメンバーがほとんどだった。
唯一の例外は攻撃特化のオプシディアだけだ。
後は55人みんな、魔法・回復・特殊・援護・防御の特化型ばかりのため攻撃に回るとフルエンク軍は鎮圧できるが、魔王の嫁レベルが倒せないのだ。まぁ、倒せないだけで敗けることはないために持久戦になり相手の体力が尽きるか、諦めてもらうしかない。
今回はファリエラをスピネルが押さえ、残りの三人でフルエンク軍を殲滅したが、ファリエラレベルがもう一人いたら結果は変わっていただろう。
ファリエラは転移するために一ヶ所に集結したメイドから距離を取り、声をかけた。
「いずれまた、その時に決着を『遠慮することはないわ!私が今ヤったげる。』は?」
重なった声と共に遥か上の凍った水面を貫き、雷がファリエラの胸を上から貫き水底に縫いとどめた。
雷は水に帯電せず、対象のものだけに帯電する特殊なもので、3つ又の槍の形をしており地面に深く刺さっていた。
呆気に取られる4人。
「だ、だれだ!?」
周りには呆然とする4人のメイドしかいなかったがこの四人ではないことは前の戦闘でわかっていた。また、ファリエラの力を込めた魔法防御壁を容易に貫く攻撃力など今まで見たことも食らったこともなかった。
「ゴフっく、そ。」
口から血を吐き、その血が水に紛れていった。
ファリエラは痺れる体を動かそうとしたが段々と意識が遠ざかり気を失った。
「「「「......」」」」
4人はファリエラが重傷で気を失ったことを確認してから、城の方に向き声をかけた。
「ご主人......なぜ攻撃したね?」
「ご主人様ぁ~これ運ぶの私たちじゃないですか~いやですよ、自分で責任持って運んでくださいよ~」
「シュレイ様、じっとしてられないんですか?相変わらずです。はぁ。」
「うわ、ちょ、コスモ様、マカ様、アンバー様!みんな何言ってるんですか!?」
そして聞こえる筈もない距離からどうやったのか聞こえてくる雷を落とした元魔皇のいじける声。
『なによ!なによ!?苦戦してたから手伝ってあげただけじゃないの!それに、なんなの反抗期なの!?』
そういう声を聞いた城に住まう物質精霊は1000年経っても相変わらずな主に苦笑いをしていた。
やはり子供みたいな性格だとみんなかんじていた。
そして、いまだに全域に話しかけるシュレイにその側で控えていたオリジンの言葉が刺さった。
『だいたい、あんた達私がいないとねぇーーー。』
『ええ、手間が掛からなくて、問題も起きません。』
『な!?お、おりじん?』
『もっと言えばアンの方が迷惑をかけませんでしたよ?はぁ~。』
それから4人が城に帰還したとき出迎えたオリジンから、主が部屋に籠ったと言う報告を聞いた。




