忍び寄る悪意①
忍び寄るって言ったがあれは②からだ(笑)
ごめんなさい。
湖底魔皇城の薄暗い部屋で、向かい合うように座るアンと白い髪のメイド。
アンの後ろには銀髪メイドがすぐ側で控えていた。
「ほ、ほんと、にやるん、ですか?」
「はい、お願いします。是非!!」
ビクッと身体を揺らす女性と頭を勢い良く下げる少女。
白い髪を伸ばしっぱなしにしており、髪の長さは彼女の身長ほどありそうだ。
前髪も長くその隙間から覗く不安げな、真っ白ではなく灰色に近い眼を対面の蛍光色の髪を持つ少女に向けていた。
「セレナイト、協力して貰えませんか......うまくいけば前世の、ご主人様の記憶を取り戻せるかもしれません。」
「だから、主人じゃないですぅー」
「はぁ......」
後ろに佇む銀髪のメイドに非難の眼を向けている少女。
セイレナイトと呼ばれた女性はそんな少女と瓜二つな今は亡き主人を思い浮かべた。
詳しい話を続ける3人。
「オリジン、は、いいんですか?私の、力は良いことばかり、ではないんですよ?」
「しかし......うまくいけばアン様のためにもなります。スキル【想天花】を実際見ることができますし、使い方や戦い方も......」
セレナイトに問われ、最後にはいい淀む銀髪のメイド。
「で、も、私のスキル【浄化(特)】は、魂の傷を癒す効果ですけど、その傷ついたときの場面をもう一度見るん、ですよ。」
殺されるところなんて......
そう呟くセレナイトと、視線を下げる銀髪のオリジン。
「「......」」
ちょっとした沈黙がその場を支配する。
セレナイトとオリジンは、間にいて話についていけなくて困り顔の黄色髪の少女を見て、その時の当事者故に苦い顔をする
「その、多分ですけど、大丈夫だと思いますよ。えっと、前世の前世になると思いますし......もう割り切っているつもりですから。」
視線を向けられた少女は一度二人を見てから話し始める。
「ことの発端はこの世界でいきるためには強くならないといけないと思って......オリジンさんに相談したんです。『想天花スキルについて知っていませんか?』ってでも、実はこのスキルって6つあるみたいで私はまだ1つだけなんですけど、これの使い方とか見たことあるけど、教えることはできないって......それで、もしかしたら私の前世のシュレイさんが使っていたから、それを見ることができるセレナイトさんにこうして頼みに来たのです。まぁ、私が生まれ変わりだったらですけど......」
そう話す少女の最後に呟いた言葉から、未だに信じていないことが感じ取れる。
でも、強くなる可能性も捨てていない雰囲気を感じた。
彼女は本当に耐えれるのか、魂に......生まれ変わっても残っている傷の原因を直視して......そこから何かを得ることなんて。
そう疑問に思うセレナイトだが、少女に最初にあった時のことを思い出した。
この少女と出会ったのは、使用人全員に挨拶周りと称して城中を駆け巡っていた少女が、私の部屋、城の中央庭園の真下にあるここの隠し部屋に踏み込んできたときだ。
『あなたで最後よ!セレナイトさん、覚悟!!』
ドアを勢い良くあけ姿を現したのは、ハンドサイズの機械仕掛けを持つ前魔皇シュレイ様にそっくりな少女だった。シュレイ様より身長は小さかったが......
セレナイトは現魔皇レーゼンの緊急召集には夜間哨戒の昼夜逆転生活のため参加できず、さらに歓迎会にも哨戒中で参加できなかったので、直接あったことがなかったが、実際に見ると......これは生まれ変わりってよりは本人じゃないか!今まで1000年の間何処行っていたんだと!?そう思った。
無邪気な表情。ころころ変わる子供のような性格。自分勝手で、お節介で。
『セレナイトさん、こんな薄暗い所より外よ!今から私を連れて、陸地でナイトフィーバーしに行こうぜ!へい。』
『あ......今日は哨戒、私、じゃなく、て、オプシディアです、よ。』
『Oh、あの、派手メイド謀ったな。』
そういって、床に手と膝をつき落ち込むポーズをしていた。
自分勝手で、......まったく。
実際の所は、外の世界に行きたいのだろうということは分かっていたが、生まれて間もないこのそっくりな彼女を危険がイッパイな外に連れていくわけにはいかなのだ。
大人しくしていられれば別だか......無理だろう。
そして、生活の時間帯が異なる使用人達にも必ず、一日一回は会いに行っているらしい。相当暇らしい。
私のところにも来るし、時間帯がバラバラだからいつくるのか、まだこないのか、一喜一憂している自分にも驚いたりした。
本人は頑なに認めないけど、そんなこともシュレイ様にそっくりだ。
あんなことがあっても、こう昔みたいだと傷と向き合っても大丈夫なんじゃないのかと思えてくる。
ならば、賭けよう......もう一度会えた奇跡に。これを勘違いで終わらせないために。
そう思ったセレナイトはオリジンを見詰め、うなずくのを確認してからそっくりな少女に向いた。
「えっと、いい、ですけど、注意して、くださいね、」
「やった!なんです?なんなんです!?」
「落ち着いてください。アン様」
「『視る』ことしか出来ま、せん。終わるま、で、でられません。この2つです。」
「バッチコイ!ドンマイな私にレッツパーティー!!」
「......アン様怒りますよ?真面目に聞いてるんですか?」
「ごめんなさい。で、でも、こういう過去への旅とか!ロマンを感じるんです。あのとき歴史は動いたみたいな!」
「そ、そんな楽しいことばかりの、記憶をみる、わけじゃない、よ。」
そうして始まる思い出せなかった過去への旅。
ーーー失われた場所。
焼けるような暑い昼。
ーーーーーー血に濡れる手。
扉は開く。
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「うまく行きましたか?」
「うん、成功だと、お、もいます。」
薄暗い部屋では二人の話声と一人の寝息が聞こえる。
「こうして寝ているところを見ると癒される私をどう思います?セレナイト。」
「......たぶん、みんな癒され、てます。」
すーすーとセレナイトのベットで眠るアンを二人が暖かい眼差しを向けた。
「レーゼンが、ぜんぜん一緒にいられ、ないって、愚痴ってました、よ。」
「いま、一緒に居られる所を見つかるとヤバイ連中がいるじゃなですか......我慢して貰うしかありません。」
「フルエンク?」
「......魔王ですよ。もしアンが一緒にいてレーゼンがいちゃいちゃすると、嫉妬でアンが殺されそうですから。」
そういう、銀髪メイドの顔には理解不能という雰囲気がある。
「乗り込んでこなく、はなりました、けど、コンクレント内では、常にストーカーをされて、ました。」
セレナイトも一回護衛に行ったときを思い出して嫌そうな顔をした。
でも、セレナイトが嫌なのは人全般だ。これは自らの特性に関わってくる。
「あの魔王の女好きには困ったものです。」
「しんで、ほしい。」
以外にも辛口な二人の評価を受ける魔王は、実力的には、物質精霊の蒼水晶型のレーゼンに引きをとらない。
「ああいうのを、世間で、は」
「異世界から浸透した言葉ですね。」
「「チャラ男」」
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5歳くらいの少年は、綺麗な花の側で透けて見える黄色い髪の少女に言いました。
「おねいちゃん!知っていた?大人の女性は胸がでかいんだよ!」
「......また、君かしらね?今日も今日とてこの魔皇でぶいぶい言わせた私に喧嘩売ってるのかしら?」
少女は言い返しますが、本気で怒ってはいないみたいです。
少年は鞄を漁りました。
「テレビで見たけど土に栄養がないと植物も枯れちゃうんだって。」
「よく知ってるわね、この世界でもそれは一緒ね。」
そして、取り出したビンを開けようとする。
「これ、CMしてたやつ!!これなら抜群な!!」
「だめよ......それはダメ、しーえむ?よくわかんないけど、私には掛けないで!あ、こらアッチのツツジにでも掛けないさいよ!」
「おねいちゃん薄れてるから2本な!」
「この子、魔皇である私を恐怖させるとは!?できるわ!でも、だめぇぇぇぇぇぇ、透けてる?これあれよ!そういう魔法なのよ!」
掛けようとする少年の手を取り、血走った眼で適当な嘘をいう。
「魔法!すごい魔法使いだぁ!」
どうやら、毒を撒くのを阻止できたみたいだ。
「じゃあ、おれ勇者な!」
「あーはいはい、私魔法使いのヒロインね。」
楽しそうにはしゃぐ少年。
適当に付き合おうとする少女。
「ふっ、魔法使いおまえが魔王だと言うことはわかってるんだ!」
「あんだってー(棒読み)」
「ぼくが世界を手に入れるんだ!お前にはわたさないぞ魔王!」
「......ちょっ、ねぇそのストーリー本気で知りたいんだけど!?そいつ勇者?ねぇーどう見ても勇者じゃないじゃないの!」
訴える少女の話は聞かず一人盛り上がる少年。
「この世界をてにいれるんだぁ、くらえ必殺、わーるどすらっしゅすーぱーえんど。」
「壊した!手にいれるとか言っといてぶったぎったよ!世界を!」
そうして、ギャーギャー騒ぐ二人だが、周りからは、黒髪の少年が一人で話して遊んでいるようにしか見えない。
少年の金色の眼が孤立の原因と言える。
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