つるのむち を おぼえた !
「アン、魔法適正を調べますのでこっちに座ってください。」
「......」
「どうしました?緊張しているのですか?」
「え、これ突っ込むところ?そうなんですよね?ミストレニア様。」
「え?」
「......ん?」
そうして、私はミストレニア様の正面に正座しました。
がっくりするミストレニア様。
いや、さすがに膝の上に座らなくても出来るでしょうに、これはないでしょう?
遠慮します。
私を試していると見ました。
座ったら「まだまだ子供ですね」とか言うのでしょう?
これでも、18年生きた記憶持ちですので、教えて貰う態度ではないことくらい分かりますよ。
正解は、正面に正座!!これこそ王道!
うんうんバッチリです。
どうですか!
とシタリ顔でミストレニア様を見ますが、なぜか座り方が変わり膝を両手で抱えて窓の外の景色を見ていました。
「ちょっ、なんで、どうしたんですか?ミストレニア様。」
「ツーン。」
今いる場所は五重塔の五階、私が起きた場所です。
ミストレニア様も言いましたが、どうやら今度は魔法の適正を見てくれるみたいですね。
ついに私にも魔法を使うときが来たということです。
え、魔法もう使ってるじゃないかって?
ええ、もちろん、私の魔力、果ては魔核の生命力をバカ食いするチート魔法を使ってますけど、
私だって、昼間見た勇者や、リストリアのリラさんみたいな派手な魔法を使ってみたいのです。
火とか水と自然系はかかっこいいじゃないですか!
確かに創造の力もロマンですけど、今の私に必要なのは魔力の消費が少ない魔法ですよ!
私の所持魔力でもバンバン使えるヤツがいいですね。
一発撃って、私も瀕死とか流石にイイデス。
そして、それを教えるには、まず本人の自然系統の適正を知らないといけないのです。基本ですね。
出来ないことをやるより、伸びる得意な系統をやった方が効率も良いし、威力も高そうです。
さぁ、いつでも良いですよ!あれですか、グラスに注いだ水に魔力を送ればいいですか?
それとも、推奨玉を触ればいいですか!ああ!あれですか?魔女帽をかぶれば帽子が教えてくれますか?
いいですよ!さぁ!さぁ!
キラキラした目で、両手をワキワキさせる私はきっと危ない人に見えるでしょう......だがしかし、私は即死誘発型、もう危ない魔物だからOKですね。
なりふり構わず、期待した目をミストレニア様に向けます。
「......ツーン。」
「......」
「ツーン。」
「......マジでしたか。」
いっこうに教えてくれず、口でツンツン言っているミストレニア様。
さすがの私も、その、空気を読みました。
「こ、これでいいですか?今回だけですよ。」
「......うふ~ん。」
ミストレニア様の腕を開きその中に無理矢理私が入り込みます。
世話の掛かる精霊様だこと。
まったく。
腕の中にすっぽりはいった私に向ける笑顔が蕩けてました。
なんでこんなに気に入られてるのでしょうか、少し恐いですけど。
そんなことより魔法カモン!!
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「では、これをさわってください、触るだけで良いですよ。」
そういって私を抱えつつ、纏っている霧が私の前に集まり、散っていったときには、
綺麗な何も書かれていない羊皮紙が現れた。
てか、今どうやって、霧から物出したんですか!
戦闘してるとき日本刀も出してましたよね?
聞いたら、どうやら纏っている霧に収納しているのではなくて、ミストレニア様の領域魔法【霧雨光雲】から出し入れしているらしい。そして、纏っている霧を現実世界のゲートに見立てているみたいです。
気になることも聞けたし本命に行きましょうか!
ゴクリ、
「手をこの紙の真ん中に置けばいいんですよね?」
「はいそうですよ。」
クスクス笑うミストレニア様が優しく抱き締めてくれます。
何度も確認して間違いないようにゆっくりと手を置きました。
するとーーー。
なんの前触れもなく突然広がる5色のミミズのような虫......いや、よく見ると線?文字ですか?
のたくり回った線はある一定の場所まで行くと固まってなにかの文字を形作りました。
「ッ......う、ぁわ。」
「まだです。」
ビックリして手を離そうとする私を後ろから離さないように指示しました。
ミミズたちの姿が全部消えて、すべてが文字に変換されると今度は手を離していいと言われ手を話しました。
しかし、これ、壮観ですね。
5色で彩られる綺麗な魔方陣。
手を置いた所を起点とし、カラフルな5重線で書かれる真円。
その内側と外側にもビッシリと書かれる摩可不思議な紋様と文字。
ミストレニア様は、よくやりましたと言って紙を手に取りました。
その時片手で頭を撫でられましたが、結果が気になります。
まぁ、ぶっちゃけ、私の発動スキル【黄金の輝き】で自然系統は適正の底上げがされているので、5色は不思議ではないのです。
問題は、そのスキルを含めての私の魔法適正の高さですよ。
さあ、結果は、
「やっぱり、自然系統すべてに適正がありますね。すごいですよアン。」
「いえ、それより、適正での上限は?初級だけですか!?どうですか。」
撫でようとする手を阻止して、再度問う。
急かす私を微笑まそうに見るミストレニア様は紙を見て告げました。
「はい、初級だけです。でも、全部使えるのはすごいことですよ!」
「......しょぼーん。」
うん、そうですね。全部の適正があるってすごいですよね......
それが、スキルの最低限の底上げ結果だけでも。
落ち込む私を不思議に思っているミストレニア様に打ち明けます。
話を聞いて信じられない顔をするミストレニア様に証明するために、問題のスキルを外し、再度羊皮紙にチャレンジさせて貰いました。
結果ーーー。
「......ふっ、笑ってください。」
「え、えっとですね。」
「魔法植物はなにかしら自然魔法の適正があるらしいのですけど。」
「で、でも!私みたいに自然魔法を変異させて使うことしかできないタイプもいますし。」
「.......変異させても使えるんですね、ふーんへーん。」
「い、一回落ち着きましょう。私みたいに特殊なタイプかもしれないじゃないですか!どうも、こうもわかりませんよ!」
「いえ、いいんです。どうも、こうも......このざまですよ。」
そう言って、結果のただ円が書かれた『だけ』の紙をヒラヒラさせて膝を抱えました。
つまり、【黄金の輝き】のお陰で、『かろうじで』初級魔法は使えるけど、適正が0だから威力は期待できないってことですね。
「契約してけば、魔法は増えてきますよ!大丈夫ですって。」
「まだ、この庭園も完成形ではなくて一歩踏み出した段階ですし。」
「それに、ほら、マンドラゴラとして絶叫とかあるじゃないですか!」
悟りを開き遠くを眺める私を抱き締めつつ必死にフォローをしていたミストレニア様の言葉で希望を見いだしました。
「マンドラゴラ?」
遠くを見ていた私の焦点が段々と、私を抱き締めていて何故か泣きそうになっているミストレニア様に合っていきました。
ほっとした表情のミストレニア様を無視して、あることを呟きました。
「フリードさん......」
「え?」
「そうです!そういえば、あれは......いや、でもできるのなら、」
「どうしたんで......うわっ」
不思議に思いこちらに尋ねるミストレニア様の声が驚きに変わりました。
なぜならーーー。
ミストレニア様の体が黄色の触手にグルグル巻きにされ空中に浮いたからです。
そう、これは私の髪です。
伸縮は私の身長くらいは伸びるみたいですね。
ほほう、これはこれで......使える!
自分の意思で動かせるみたいで、物を掴んだり、引っ張ったりと自由自在に動かせるみたいです。
驚いて唖然とするミストレニア様を下に降ろしました。
「え、髪ですか?普通人化中は使えないのに。」
「即死誘発型ですから、この身体のみです。」
えっへん!
そう胸をはる私。
「いえ、マンドラゴラの即死誘発型はそんなこ「どうやらつるのむちをおぼえたようだ!!」」
「......」
頭にいまだに疑問符を浮かべるミストレニア様。
そして口を開こうとするが、すかさず私がーーー。
「どうやら、つるのむちをおぼえたようだ。」
「......」
「つるのむちをお「わ、わかりました。もう何も言いません。」」
まったく!
といってぎゅうぎゅうと抱き締めてくるミストレニア様。
でも、いいじゃないですか、私だって自然魔法使えない代わりに、この髪を代わりにしても。
それにホントにショックだったんですよ。
魔法でやりたいことが、ロマンが潰れたんです。
剣と魔法の世界に来ているのに、魔法の適正が、初級魔法なら『発動すること』はできる。
なんですから。
雷の裁きとか、断罪の業火とかしたかったんですからぁぁ!
最後に、蛍光色の髪を動かし、ミストレニア様と私の首に巻き付け、マフラーのネタを披露してみた。
......ミストレニア様が離してくれなかったのは割愛します。




