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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
2章ー発芽1日目ー
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2通目の手紙《改編版》

「み、ミストレニア様......」


「なーに?」


「動きづらいんで、ちょっと離れてくださいよ!」


「えー」


ミストレニア様が後ろから抱きついてくるので動きづらいと、抗議しますが......これは聞いていませんね。

ため息をつき、こちらの体をまさぐろうとするのだけは手で叩いて阻止します。


ミストレニア様と契約が無事に済み、これからのことを拠点で話そうとしたとき、神様からの手紙のことを思いだしまして、ミストレニア様に断って、霧が晴れた庭園内を大樹目指して登っていたのですけど......


「ふん、ふん、ふふん♪」


「なんでついてきてるんですか?」


私より身長が高いので、上からのし掛かる感じに抱きつき、歩く速度を遅くする原因のミストレニア様に、首を後ろに向けジト目で問いかけます。


ミストレニア様は着ている和服をユラユラ揺らし、鼻歌を口ずさみつつ、楽しそうにしていました。


「え、ダメなんですか?」


「.......いや、そんなことはありませんよ。」


はっ!つい、悲しそうな顔をするミストレニア様に言ってしまいました。

くっ、絶対演技ですよ!

いま、してやったりって顔してますもん。


実際、隠し事をする気はありませんでしたし、多分ですけど、神様がそこら辺はフォローしてくれることに期待しましょうか。

てか、こっちの世界の人って神様って聞いて信じてもらえなさそうなんですけど。

まぁ、私も会うまで信じてませんでしたが。


「手紙を取りに行くんですよ。......有ればですけど」


「手紙?このアイテムで出来るメールとは違うのですか?」


「メールですって!?」


そう言って見せてくれたのは、クリアパープルのスマホ......この世界ではカードっていうものを袖口から取り出してくれました。

これって誰でも持ってるんですね。そんなことを考えつつもさっき言っていたメールについて聞いてみました。

この世界でもメールが出来るとなれば......色々できそうです。


「え、ええ、私は植物精霊ネットに繋がっていますので、植物精霊達と連絡したり出来ますよ。」


「電話は出来ないでしょうけど、そうなるとそれはメールってよりは、掲示板扱いじゃないですか?もしくはチャット。」


私の世界でいうネットがこの世界で存在することがわかりました。

チャット?掲示板?そう呟いて頭に?を沢山浮かべているミストレ二ア様には後で教えてあげようと思いました。


「精霊ネットについて聞きたいところですけど、とりあえず、手紙ってのは相手との手書きのメッセージのやり取りってことでーーー。」


そう言って説明を続けつつ、赤いポストを目指す。


「みんなに聞いてもらえる方が便利ではないのですか?」


純粋に不思議な顔をするミストレニア様は問いかけてきた。


「一長一短ですよ。この人にだけ伝えたい、とかあったら困るじゃないですか。」


「ん?そういうときは、相手の領域に乗り込めばいいんですよ。」


「超アグレッシブだった!!そして、みんな植物精霊がそんな考えだと怖すぎますよ!!」


実際に乗り込んできてるし、笑えません。

そんな他愛もない話を繰り返しつつ、ミストレニア様を引き剥がそうとしますが離れなくて諦めました。


大樹の根本までやってきました。

数十分前までは、ここでミストレニア様が踊っていましたが、今は周りに霧もなく見渡しもサイコーでした。


さて、ポツンと立っている赤いポストに目的の物が入っていないか確かめた。


中にあったのはーーー。


「なんでした?」


ミストレニア様は、こちらを覗きこんできた。


「......青い手紙と白い手紙」


そう呟いて両手に分けて持ちました。

白い手紙は当然神様でしょうけど青い手紙に心当たりがありません。


「ん?やっぱり神力(アルス)を感じます。」


ミストレニア様が、難しい顔をして手紙と大樹を交互に見つめていました。


神力(アルス)ですか?」


「ええ、アンの領域を侵食したときどうしても侵食できない場所がありまして......」


真剣な表情で怖いこと言ってますが、突っ込みませんよ。

「あれとあれです」といって手を指した場所は、この大樹とまだ私がいったことがない池でした。

といいますかホントに全部乗っ取ろうとしてませんか?ミストレニア様。

ミストレニア様にさん付けされるとこそばゆいので、呼び捨てで呼んでもらうことにしました。

なんか親密な関係でいいよね!


「それで、暇だったんで舞っていたというわけですか。」


「......嬉しさの舞い......です。」


うそっぽいですよ。

あと自分でしたり顔で言った後に照れてそっぽ向かないでください。見てるこっちが恥ずかしいです。

恥ずかしさを紛らすためなのか、私をぬいぐるみよろしくギュウギュウ締め付けないで!


と、とりあえず開けてみます。


「し、白い方から。」


「......」


二人して手紙を覗き込みました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


書いてある字を見れば神様の字ということがすぐ分かりましたが、ここには日本語で書かれているので、ミストレニア様には分からなかったみたいです。

呼んで呼んで、とせがんでくるので、読もうとしたところ手紙の下に、なにやら書き記されていました。


『なぞってね。』


なんでしょうか、手でなぞればいいんですか?


「まぶっ、え、ちょっと」


なぞった瞬間に、手紙が発光して燃えてしまいました。


「アン......」


「そんな、冷たい視線を向けないでくだいさい、わ、私のせいじゃ......」


いきなりミストレニア様が私きつく絞めてくれましたので、弁解すら出来ませんでした。批難の目を向けたらミストレニア様は何かに警戒していました。目線は少し前の手紙が燃えた位置でした。


『やぁ、おどろいたかい?』


「「!」」


突然聞こえた知っている声と、いつ来たのかその場現れた神様だった。

でも、実際の神様ってよりはなんか機械的って感じが......

後ろで警戒を強めて私をさらに絞めてくる精霊様を無視して、話しかけようとしますがーーー。


『あ、ごめんね、これは受け答えが出来ないんだよ、ホームビデオだと思ってくれればいいよ。こういうのってやろうと思うと照れるね。』


「ほーむびでお?」


目の前で照れた仕草をするあざと......12歳くらいの神様は自身の黒髪を手で掻いていました。

ミストレニア様はホームビデオが分からなかったみたいですね。

ん?文字に書くと伝わらないのに言葉だと伝わるってことですか?いや、同じ文字......でも、ミストレニア様は読めなかったし、こっちの世界の文字についてあとで聞いてみましょう。

そんなことを考えつつ、神様に目を向けました。

ミストレニア様が、「神力を感じる」って呟いていました。

まぁ、神ですしね。


『うん、ユーレに魔物にされたんだってね。笑わして貰ったよ。でも、良かったじゃない、生まれた場所が魔物や人との共存をしている街でさ。聞いた話によると街で発行される証明書を持ってないと敵性の魔物として刈られるから注意してね。』


「マジですか!?」


ミストレニア様は後ろでコクコクと頭を縦に振っていた。


『そして、くっ思い出しても笑える......』


こっちから顔を隠して震えて笑っている神様を見て思いました。

バカにしたくて映像付けたんでしょ!そうでしょ!?


『確かに庭園関係を呼べるとは言ったけど、まるごと呼ぼうとするとは思わなかったよ。しかも、明からに自分の魔力も魔核も使いきっても足りないくらいの物を......ぶはっ』


「そこまで言ったら笑うの堪えてよ!?」


そう考えると私って死んでね?なんで生きてるんだろう......生きてるって素晴らしいです。


『いや、こっちも数時間で再会するのかと焦ったけど、お節介やきが居たようで助かったみたいだね。』


お節介焼き?誰ですか?まさかフリードさん!?

いや、あの雑草はドSなだけです、優しくありません。


『キミの突飛な行動についてはボクにも責任がありそうだし、今後こんなことが起こらないようにちょっと便利ツールをプレゼントするよ。』


そんな言葉に合わせて赤いポストから、

ガコンーーー。

というものが入れられる音がした。いいタイミングですね。やっぱり見てるのかな。

入れられたものは、ミストレニア様を張り付けたまま取りに行った。

その間に話が始まることはないようだ。計算してるんですか?そのくらい造作もないと......

真っ白な包みを取り出して、映像の前まで戻ってきた。

余り近づきすぎると、ミストレニア様が私を締め付ける力が強くなりそうなのでさっきの位置で止まりました。

さっきから無口ですが、警戒しすぎじゃないですか?ミストレニア様......


『開けてごらん。それは、ボクの世界のゲームを参考にしたんだ。まぁユーレにも協力して貰ったけど、あの子も文句ばっかり言ってたけど仕事は細かいところまで煩くてね。ヘルプをつけないとあのバカは分からないとか、デザインがあの子の好みじゃないとか。散々だったよ。』


そういって遠い目をしていた神様......色々苦労してるんですね。


包みを開けるとカメラが付いたガラケーが出てきた。なにこれ?

パカッと開けると、上下左右に別れた......ケータイじゃないですね。左右には別れませんものふつう。

なんか、モンスターをボールに入れるゲームにある図鑑に似てないかなこれ?

そう思ったんで早速、私にのし掛かっている精霊様に向けてみた。

すると、

ピッーーー。

音の後にミストレニア様のステータスが表示された。


「ん、なにをしたんですかアン?」


「やっぱりそういう風につかうのか......」


そう言って、ミストレニア様に見せるが、何も映ってはいないと言われた。

神様特別製のアイテムですね。なくさないようにしましょう。


『ボクは言ったんだよ、ちゃんと向けて使った方がそれっぽいって、でも、ユーレがーーー。』


そういって愚痴をこぼす神様の話を訳すと、このポケ○ビは持ってるだけで、半径3mは自動識別で開かなくても頭の中に表示されるらしい。向けた場合は30mの距離までいけるとか......そして、表示されるのはこの世界のすべての情報を統括する世界基盤(システム)から、対象の情報をステータス化して引き出せるみたいです。ユーレに隠れて、相手の過去や所持魔法は引き出せないように改造しといた。と笑顔で言ってくれますが。



それでもこれどんなチート。

バレたらヤバイな。

チラッとミストレニア様を見ると、少しムッとした顔をしていた。

やっぱり、変に思いますよね。


「さっきまで言葉が分かっていたのですが、いきなり言語が代わり判らなくなりました。アンには伝わっているようですので、何故でしょう?内緒話ですか?」


「う、うんそんなとこかな、ははっ」


そういったら、さらに強く抱き締めてくるミストレニア様に四苦八苦しつつ、神様の映像を見る。


『あと、ボク見てて思ったんだけど、自分の生命値は見えた方が指標になると思うんだ。その世界では見えないことが当たり前なのかも知れないけど、ボクの世界でゲームに触れたことあるなら見えた方がやり易いと思うよ。無茶もしないしね。それとボクの権能を使うときはどのくらいの量持ってかれるか分からないでしょ?なので、そのデバイスに自分の魔核量とボクの世界のカタログと値段が分かるアプリを入れておいたよ。あれ、そっちではカードっていうんだっけ?』


そう話す神様は楽しそうだった。私に魔法について語っているときに似ていた。

ミストレニア様は言葉が解らなくなった辺りからぐれて、私から離れて霧を自分の周りに出して見えなくなってしまった。

......あとで機嫌とろう。



カタログって通販みたいですね。いや、でもそういう捉え方もあるのか。

魔力を値段に見立ててるんですね。これなら倒れないでしょう。

魔核もわかるみたいですし、あとで確認しましょうか。


『最後に言っておくけど、キミが昼間に現実世界で具現させた力は、ボクが与えた力じゃないよ。キミの固有スキルだよ。ないものを現実世界に呼ぶことはできないからね。キミの魔法の場合、魔法領域内にあるものじゃないと現実世界に持っていけないからね。逆もしかり、その世界に有るものを魔法領域に入れれるけど、その世界にないもの、存在しなかったものは入れられないよ。簡単に言うとキミが創ったポップコーン容れは領域に戻すことはできないし、魔法で創ったんじゃないというわけさ。ただ、その中で創造する庭園・造園道具は制限ないからね。カタログを確認してね。』


つまり、【想天花(緋色)】の力ってことですか......

フリードさんはなんで知っていたんでしょうか?


神様はそういえば、という顔をしていました。

嫌な予感がします。


『お、そうだ、ボクの名誉のために言っておくけど、あんなファンシーな五重塔はボクの世界には「わあああああああああああああ」』


そういって、手を振り神様が消えていきました。

最後に何てもんを......


さて、もうひとつ見てみますか......その前に、


『......』


「ミストレニア様、あの」


......手紙を見るのはしばらくかかりそうです。




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