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魔法想花の小さな庭園  作者: 流水一
2章ー発芽1日目ー
17/105

ミストレニアの花《改編版》

読んでくれてありがとうございます。来週にはまたはじめます。

段々と覚醒していく意識。

静寂の一言につきる、静まりかえった空気。

ただ耳に伝わるのは、自らの身動きする音が聞こえるくらいだった。


体に感じるちょっとした肌寒さで、掛け布団に手を伸ばすが届くところにはないようだ。

いや、掛かってないのか、それとも寝相が悪すぎたのか。


「寒い......」


口から溢すと同時に目をうっすらと開き上を向いた。


「知らないてん......うん、知りたくない天井だった。」


見つめた天井はーーー。


輝く金色で彩られていた。

木造の骨格に金の塗装がされているようで、なんか成金趣味みたいだ。

ハッキリ目が覚めたので、現在の場所を改めて確認した。





ここは、私の領域魔法【小さな庭園(リトル・ガーデン)】の中かな。

そして、私がいるのは庭園の入り口の門ではなく、庭園内に私の生活拠点として創造した建物内部に間違いないでしょう。


「内装まで金色とは思ってなかったなぁ。」


太陽の光が入り込んだらどんだけ眩しいのだろうか、と思いを馳せつつ、私が寝ていた畳から起き上がりました。

直寝でした。

ここに来るのは二回目だが、よくよく考えると出現ポイントってどう決めてるのでしょうか。

やはり、ランダム?

いや、外観はどうあれ、拠点を設置したから拠点スタートと考えるのが妥当でしょうね。

ゲームでもスタートは基本的に拠点でしたし。


「これを拠点と認めるのはちょっと思うところもありますが......」


直寝していたために、顔の頬に畳の痕が残っていることに触って気がつきました。

頬を擦りながら、外と室内を隔てる襖に向かいました。


ガタンという木造独自の音を鳴らし、金色の扉をスライドさせました。

この部屋に時計がないので時間はわかりませんが、感覚的には朝でしょう。


「......寒っ!?」


バン!!という豪快な音と共に目の前の襖を思いっきし閉めました。

さむっっっっっ!

なんですかこの寒さは、冬到来ですか?


そんなことを思いつつ、一気に冷えた体を擦り少しでも暖めようとしました。

覚悟を決めもう一度外を覗くと、見えた景色はーーー。


「雪?いや、水滴......これ霧なの?」


外が見える窓際に移動しましたが、肝心の景色は数m先も捉えられないほど真っ白で何も見えませんでした。


「......なんで!?」


呆気に取られ、次いで出た言葉は当然の疑問。

とりあえずは寒いので室内に避難しました。

うん、この拠点も役に立つじゃない、もしも、なければ霧の中で目が覚め凍える私......悪夢ですね。


「外は一回忘れて、室内を探索しましょうか?外よりは寒くありませんし。」


決意を声に乗せ、行動に移しました。

実際、創造したときって内部の事見たことないからイメージできなかったし、どういう風に構築されてるのか気になります。

まさか、中まで金一色とは.......その発想はなかった。

さあ、どんなモノが出てくるのか......とりあえず、上に行ってから下に降りましょう。


「なにがでるかな♪なにがでるかな♪」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



探索にかかった時間は3時間くらいかけてじっくり行いました。

私が最初にいた場所は、なんと五階......最上階でした。

なんで、最上階にも上り階段がついてるんですか!?

ええ、案の定、登って開けたら屋根に出ましたよ。ものすごく寒かったです。

でも、きっと本来はいい景色が見られるんでしょうね。

太陽が出てるときには、登りたくありませんが......理由?当然屋根も金だったからですよ。


これ誰が造ったんですかーホントに記憶を形にしたんですかー。

イメージを具現化するという行為......ずさんだとこうなりますか。


そして、元の場所に折り返した訳ですが、部屋は正方形をしていて、4方向に扉がついていました。

この部屋の特徴は、何もない所ですね。畳が敷いてあって、部屋の真ん中天井にソフトボールくらいの大きさの玉が有ること以外は何もないです。その玉は、電気の代わりのようで、『付け』と念じれば付き蛍光灯と同じ明るさを発揮してくれました。きっとこれ下の階にもありますよ。

階段は、部屋の右端の登り階段に対して、反対側に存在する下階段になっています。基本的に全部の構成で、階段の位置と電気代わりの玉の存在は確認しました。あとは段々下に行くほど部屋の大きさが、少しずつ大きくなっていきました。


構成はこんな感じでした。


屋根ー展望?

五階ー特にない。畳。

四階ー書斎、本沢山。種類問わず。フローリング。

三階ー会議室?席沢山。長机設置済み。フローリング。

二階ー庭園道具や資材、畑道具などの物置。コンクリート。

一階ー出入り口と大きな間取りの一部屋のみ、中心に庵がある。畳。あと鹿威しが壊れていました、修復は無理でしょう。


......うん、2、3、4階はオカシイ......分かる。

聞いて、コンクリートやフローリングはまだいいよ、でも、三階はダメだよ。

長机から椅子まで全部金色なんだよ。おかしいよね。

他の階では金は内装だけだったのに。私のカネに対する溢れんばかりのリビドーのせいか!?




気にしない、気にし、ない。

......無理。

三階は開かずの間に進化した。

精神的に。



「手紙が来てるかも!」


そう、あのロリショタ神様は見てくれていたはずだから、もしかしたら助力してくれるかもしれない。

そう思ったら、この寒さでも、なんとかなる気がした。

でも、なんでこんなに寒いのかな。霧のせい?

ちがう気がします。


一階から外に飛び出し、長い髪や体につく水滴のじめっとした感覚を不快に思いながら、数m先すら真っ白の霧の中を手探りで進んでいく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私が起きた所は庭園の入り口、つまり北側エリア。

厳密には東エリアとの境にあるなんちゃって日本庭園だったので、庭園の中心にそびえる大樹の根本を目指せば、そこに目的の赤ポストがある。

エリアの境に流れる水路だけが頼りです。

前が見えないので水路を伝いどんどん進んでいきました。


「前見えない、寒い、ムシムシする。」


愚痴をこぼして進み、しばらくして水路が円環状の流れに合流しました。

どうやら中心部まで来たようです。


ここから更に少し傾斜になっている丘を登りきらなければなりませんが、そこでこの領域にあり得ない気配を感じました。


「っ!だれです?」


中心部に近づくにつれて、霧の濃度が濃くなったのは体感でわかっていましたけど、霧に紛れるこの曖昧な気配をハッキリ感じたのは、今が初めてでした。天候がオカシイのは私の魔核のエネルギーの枯渇問題だろうと決めつけていましたけど、別の要因がありそうですね。

一回足を留め、周囲を注意深く観察します。

周りには真っ白な霧で覆われており、何も見えない状況ですが、この気配には害する意思を感じられません。

故に、接触を待ちました。

その結果ーーー。


『ーーーx♪』


「......歌?」


耳を傾け歌声が聞こえる方へと歩き出しました。

歌が聞こえるのは、大樹の方向でした。


庭園内すべて、また大樹まで包みかくしていたこの白い霧は、大樹から10mくらいで跡形もなくなりました。

後ろを振り返るとそこには真っ白な壁のような霧がその場にとどまっていました。


そして、ハッキリ聞こえる透き通るような歌声。癒やしの旋律。

それを奏でていていた人物が、大樹の前で歌いながら舞うように踊ってていました。


『!ーーsーーxーcー♪』


綺麗な旋律、見た人を魅了する舞い。息を呑み見とれてしまいました。

そうしている内に、踊っていた人物と私の目が合いました。

踊りと歌を辞めてこちらに向かってきました。


その人物は、人間とは思えない綺麗な顔の造形に薄紫の髪と、髪と似た色合いの着物を着ていました。


こちらを見つめる紫色の目が私の上から下までを品定めするように見つめてきました。

その視線にゾクリとして、冷汗が背中を伝います。


「ぇあ......あの、だ、誰?いえ、私にご用ですか?」


耐えきれなくなり、先に声をかけて、体を少しでも隠そうと身を引き、両手で覆いました。

私の質問と行動に一瞬ビックリした顔をしましたが、左手と右手を体の前で叩き『なるほど!』と呟きました。

何がなるほどなんでしょう?

先ほどとは違い、こちらに向かって笑顔を向ける大人の女性は自己紹介してくれました。


『はじめまして、でいいですね?私は植物精霊の一人、花の精霊ミストレニアです。以後お見知りおきを。』


「ぁっ、ご丁寧にどうも、私はこの庭園主のアンです。精霊様に会うのは生まれて初めてになります。」


頭を下げるミストレニア様の動き一つ一つに優雅さを感じて呆然としましたが、ここは、ボケッとせず挨拶を返しておきました。

口に手を当てて、クスクス笑うミストレニア様は、どうやってここに来たのかを話してくれました。


『昨日、アンさんが領域内に私の花を送りましたね?』


「え?」


ん?花を送った?ああ、孤立していた霧を吐く面白花!

そういえば、魔法を使うときに花びら2枚だけ使って、あとは送ってた。


「え、ええ、でも、この魔法【小さな庭園】は植えないとコンタクトがとれないし、庭園への入り口は開かない筈ですけど。」


そう、私が植えることで、はじめて私の座標と魔法線(マジック・ライン)が繋がり、庭園への入り口が開く筈です。

その後に契約を交わすのですが......

そして、私はまだ植えていませんし、送ったものが何処に保存されているのかもわかりません。

予想としては、大樹近くにある青いボックスが怪しいですけど。


私の疑問にミストレニア様は悪意の欠片もない笑顔で楽しそうに告げました。


『ええ、本来の手順ではそうですが、私はアンさんが、他の花ではなく真っ先に、私を手に取ってくれた時から見ていましたから......座標は問題ありませんでした。あとは、マジックラインによる接続と契約ですけど、アンさんがちっとも庭園に入れてくれる許可を出してくれないので、私の領域魔法【霧雨光雲(ミストレイ・クラウド)】で侵食侵入してしまいました。』


「こわっ!ちょ、侵食ってこの、これのこと?」


つまり、私の庭園の全体を覆っているこの霧が侵食してきた結果ってことですか?

こわ!


『はい、今はアンさんがいらしたので、濃度を下げていますが、本来は侵食されると気温すらマイナスまで下げてしまいますから手加減したのですよ。』


「す、すいません、こ、心遣い感謝します。つきましてはミストレニア様......侵食を止めていただけないかとお願いします。」


この人怖いんだけど、植物精霊様は恐ろしいです。

とりあえず、侵食を止めて貰ったことで、気温が上がり、霧も跡形もなく消えていった。

その光景にほっと息をはき、私にのし掛かるように抱きついているミストレニア様と契約を結ぶことにした。

結ぶ契約は相互契約。

お互いがWinWinな関係を築けるようにだけど......


『うーん、アンさんの初めての相手ですね。緊張します。』


「いや、契約がね!初めてってだけね。」


『では、あそこの一角を貰えますか?』


「へ?あそこ?」


ミストレニア様が指した場所は、金色の五重塔がある日本庭園の周辺一帯でした。

なんでそこなんでしょうか?自慢じゃないですが結構私の領域広いですよね?

選びたい放題なのに。

そう聞くとミストレニア様は薄紫の前髪を撫でつつニマニマして言いました。


『いえ、他の人に見られたくないのではないかと思いまして......』


「!そうです!見られたくありません。」


『私なら隠せますよ』


その言葉に、是非お願いします!!と頭を下げた。


『私の霧の中でアンさんを触りたい放題......はぁはぁ。』


そう呟いていたことは、黒歴史を隠せることで頭が一杯なため聞いていなかった。


そして、話は進みなんとミストレニア様は私の庭園に引っ越してくるらしい。

私にとっても、頼れる相手と常に会えるのは嬉しいことだし、はじめての植物精霊の契約者なので大歓迎だ。

私の庭園広いしね。

因みにミストレニア様の【霧雨光雲】の大きさは先ほど指定された領地くらいの大きさらしい。つまりなんちゃって日本庭園と同じ大きさで、今の私の庭園全体の大きさから見て、8分の1くらいだから、私の庭園が大きいことがわかりました。


『何もありませんでしたので守りがヨワヨワでしたよ。』


「うっ、でもですね?まだ生まれて2日目ですし。」


引っ越してくることで不具合がないのか一応聞いておきました。

何かあっても嫌ですから。

聞いた結果、不具合はないらしい。

私の庭園からでも移動や連絡は簡単らしい。

よかったです。



最後にミストレニア様の力を借りることが出来た。これはミストレニア様が庭園を離れていても、花が庭園内に植えてあれば、代わりに花を消費して使用できるみたいです。


使用できるようになったのは

魔法

【霧の(ミスト・クロス)

光子衰減(フォトン・アブソーバ)

スキル

『霞喰らい』

『霧の拡散』


の4つでした。







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