表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妻をやめたら、冷徹侯爵が毎日求婚してきます  作者: 唯崎りいち
元妻の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/15

愛されない私はあなたを疑う

「ローザ、どうしてそんな顔をするんだ? 秘書が問題だったなら、もう彼女は俺の秘書じゃない。俺とは顔を合わせない場所で働いている」


 私は首を横に振った。


「そんなことして欲しいんじゃないの、秘書さんと仲良くして」


 ダリウスは怒っている。


「やっぱり、誤解してる。新しい秘書は男だ。でも、君が嫉妬するくらい仲良くするよ」


「……彼女は、名前はなんていうの?」


「教えない。君には関係ない人だ」


「でも、私のせいで秘書を辞めさせられて、怒っているでしょう?」


「そんことはない。嬉しそうに新しい秘書に仕事の引き継ぎをしていたよ。ああ、新しい秘書の名前はギルだ」


 それは知りたくない。


「ローザ、俺と結婚してくれ」


 ダリウスは、また毎日求婚しに来る。


『俺との結婚を受け入れる時間が必要だと思う』


 そう言っていたダリウスの余裕はなくなってる。


 私とダリウス関係は一歩後退した。




「夜会に行こう」


 ダリウスに言われて、私は迷った。


 一緒に夜会に行くということは、私とダリウスが親しい事を周りに知らせる事になる。


 私はダリウスと結婚しない。

 もう一人の運命の相手の秘書さんに譲る事にしたから。


 ずっと、愛されなくなる事に怯えいるばかりなら、一緒にいない方がいいもの。

 別に運命の相手がいるなら尚更。


 だから、親しいことを周りに知らせるのは適切じゃない。


 でも、私からダリウスに別れを切り出すのは無理だから、別の人に断ってもらおうと思う。


 ローレンスがたくさの求婚者から私を連れ去ったみたいに、ダリウスじゃない男性と結婚を決めてしまえばいいんだ。


 誰か、私を最初から愛さない人で、でも、誠実で、事務的に家族になれる人。


 私はダリウスには夜会に行くことを約束して、夜会で、私を愛さない男性を探す事にした。



 夜会に向かうダリウスの馬車の中で、私はニコニコしていた。


「君は夜会が好きだったのか? 俺と出かける事に、また喜んでくれるようになって嬉しいよ」


 ダリウスには誤解させてしまったけど……。


 運命の人がいるんだもの、私が他の人と結婚する事になっても大丈夫よね。


「ローザ! 久しぶりね」


 何人かの顔見知りが声をかけて来た。


 ローレンスとの離縁の話し合いを始めてから、ずっと夜会には来ていなかったから、私が顔を出したことに喜んでくれる。


 ダリウスと一緒な事に驚く人もいたけど、ダリウスが私のところに毎日求婚に行っていると言うのは有名な話になっていて、みんなに「おめでとう」と言われてしまう。


 違うのに。


 ダリウスが私の腰を抱いて微笑む。


 こんなんじゃ、他の男性との出会いなんて無理だわ。


 ローレンスは公爵で他の求婚者を蹴散らすほど強い相手だったけど、侯爵で今一番、事業が勢いに乗ってるダリウスは、蹴散らす方の人だった。


 侯爵様を前に、私に求婚する人なんていない。


 しかも、私のこと愛してないって、条件付きで。


 私はガクッと落ち込む。


「どうしたんだ、ローザ? 疲れた?」


 ダリウスが、私の考えていたことなんて知らずに、心配してくれる。


 私を椅子に座らせて、ダリウスも隣に座ってる。


「ダリウスは夜会を楽しんで来て」


 私は疲れてもいないのに、ダリウスと離れたくて言う。


「ローザのそば以上に楽しめる場所はないよ」


 ダリウスは離れてくれない。


 ただ、黙ってそばに居てくれるだけ。


 ただそれだけなのに、愛されている事が伝わって来る。


 熱烈なプロポーズで愛されている事を確信して結婚した前夫のローレンスは女性遊びが激しい人で、結婚した月には浮気していた。


 結婚生活の五年間。


 好きだったのはずっと私だけだった。


 ダリウスも、理由は私にあったけど、たくさんの女性と関係を持てる人だから……。


 ローレンスときっと同じだ。


 毎日求婚に来るなんて、ローレンス以上に熱烈で、愛が冷めてしまう日が来るだろう。



「ローザか」


 不意に私を蔑むような声が聞こえた。


 元夫のローレンスだった。


 知らない女性を連れている。


「それに、ダリウス! 君がローザと仲が良いとは知らなかったよ」


 ローレンスがダリウスに話しかけた。


 二人は知り合いだったの?


「やあ、ローレンス。俺は彼女と結婚するつもりだ」


 ダリウスが言う。


「良いんじゃないか? 僕の公爵家との取引でも十分儲けさせてやってるんだ、僕のお下がりの妻を君が欲しがるのも分かるさ。僕にはもう関係ない女だから、好きにすればいい」


 ローレンスは行ってしまう。


 私を侮辱する言葉に、ダリウスは反論しなかった。


「なんでなの?」


 私がダリウスに聞くと、ダリウスが言葉を濁した。


 ダリウスが私を好きなのは、5年前からだって言ってた。


 私がすでに人妻だったから諦めるために、沢山の女性と関係を持ったと言っていたのに、どうして、ローレンスと仲が良くて、私をお下がりみたいに譲って貰うの!?


 私はダリウスの手を振り払う。


 知り合いの夫人が夜会から帰るところだったから、馬車に乗せて貰う。


 ダリウスは追いかけて来たけど、夫人が私の様子に今夜は一人にさせるようにダリウスに言ってくれた。


「ローザ、また明日も会いに行きます」


 ダリウスの声が最後に聞こえた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ